自社ECと大手ECモールのネットショップを組み合わせ、複数チャネル(販路)で販売するEC事業者が増えています。毎日発生する大量かつ幅広い業務を効率化する方法はないものかとお悩みの方も多いでしょう。
本記事では業務フローを効率化・自動化する方法や、実際に自動化する際の注意点をご紹介します。人材や専門力で補う方法のアイデアを得られるので、ECサイトを運営している方は参考にしてください。

目次
ECサイトの業務フローは大きく5つに分類できる
ECサイトの運営の業務フローは多岐にわたり、売り上げが高くなればなるほど膨大な仕事量をこなす必要があります。効率化を図らないと、各業務フローの担当者は毎日の業務に追われ、いくら時間があっても足りなくなるでしょう。
そこで業務フローをその性質ごとに分類して、有効な対策を考えることが大切です。ここでは、ECサイトの業務フローを大きく5つに分類して見ていきましょう。
- マーチャンダイジング(MD)
- Webマーケティング
- 商品情報登録業務
- 商品の受発注管理
- ECサイトの総合管理業務
1. マーチャンダイジング(MD)
マーチャンダイジングとは、小売業界や流通業界で使われるマーケティング用語で「商品化計画」や「商品政策」のことです。ECサイト運営におけるマーチャンダイジングでは、ユーザーのニーズとうまくマッチする自社商品を開発をしたり、シーズンニーズに適した商品を仕入れたりして商品の価値を高めます。
主なマーチャンダイジングの業務フローは、次のとおりです。
業務フロー | 内容 |
商品企画・開発 | ・ユーザーのニーズに応える商品の企画・開発およびセレクト ・オリジナル商品制作や仕入れを目的としたメーカー・卸業者との関係構築 |
在庫管理 | ・販売予測に基づいた商品の仕入れ ・在庫数の状況を管理 |
価格設定 | ・商品の入れ替えに伴う見切り価格の調整 |
販促(販売促進) | ・ECサイトでの店舗での陳列方法やタイミングの選定 ・販促計画の策定 ・販促イベントの企画・準備(広告バナー・特設ページ・LPなどの作成) |
マーチャンダイジングでは、自社ECサイト自体にオリジナリティやアイデンティティを付加する戦略を立て、売り切るまでを担います。販促計画などを策定し、データ予測に基づいた綿密な管理が必要とされる業務です。
2. Webマーケティング
マーチャンダイジングで価値を高めた商品の魅力を伝えるために、ユーザーを集めるのがWebマーケティングの役割です。マーチャンダイジングによる販促と、Webマーケティングによる集客の両輪でECサイトの売り上げ向上を目指します。特に販促イベントの告知は、Webマーケティングの重要な業務です。
一般的にマーケティングのトレンドは移ろいやすく様々な手法が登場していますが、自社の商品やターゲットに適したものを販促計画の策定時に選ぶようにしましょう。販促イベントの告知は最低でも1ヶ月以上前からスタートさせます。
ECサイトの集客に役立つ代表的な告知の方法は、次のとおりです。
- SNS
- リスティング広告
- 動画広告
- メルマガ
- アフィリエイト
- ブログ
- プレスリリース(ニュースメディア)
Webマーケティングは、多様化したニーズやトレンドを分析・把握する専門性の高い分野であることから、ECコンサルタントやフリーランスに相談しながら最適な施策を見つけるのがおすすめです。
3. 商品情報登録業務
新商品が入荷するたび、あるいは商品を入れ替えるたびに行う商品情報の登録は、手間のかかるルーティン的な業務です。ECサイトでは実店舗とは異なり、手にとってユーザーが商品を確認できないため、運営側が商品について文字・画像・映像などで説明する必要があります。
ECサイトの管理画面から商品情報を登録するにあたって、事前準備が必要です。この事前準備は、商品情報登録に必要な撮影・採寸・原稿の頭文字をとって「ささげ業務」と呼ばれています。ささげ業務のクオリティが低いと、マーチャンダイジングで商品の価値を高めても、なかなか売り上げにつながりません。
商品画像や原稿は、ユーザーが商品の購入を決める重要な要因ですので、クオリティを追求することが大切です。
4. 商品の受発注管理
B2C向けECサイトの配送は、1個口あたりの商品点数は少ないが配送先が多いという特徴があり、管理をできるだけシステム化したほうがミスを減らせます。ここでは、受発注管理の大まかな業務フローの例を見ていきましょう。
業務フロー | 業務の内容 |
商品の入荷・検品および | ・商品の内容・数量・規格を照合 |
棚入れ・保管 | ・湿気や温度などの保管環境の確認 ・商品と保管する棚の位置を管理 |
受注 | ・決済完了の確認 ・受注したら出荷指示をだす ・商品手配 ・未引当注文の状況確認 |
ピッキング・出荷検品 | ・出荷指示に基づき倉庫の棚から商品を取り出す(ピッキング) ・出荷指示書通りにピッキングされたか確認 |
梱包 | ・納品書・送り状作成 ・チラシやノベルティなどの封入作業 ・ギフトラッピング |
発送 | ・配送業者への荷渡 ・発送完了メール送信 |
顧客対応 | ・顧客へのサポート ・返品対応 |
正確で迅速な発送は、高い顧客満足につながります。物量が拡大するにつれ、倉庫内での業務フローをどのように効率化するか検討することが必要です。
5. ECサイトの総合管理業務
総合管理業務とは、数値の管理、データ分析やIT業務のことです。ここでは、ECサイトの担当者が見るべき指標や、取り組むべきIT業務の例について見ていきましょう。
業務フロー | 内容 |
数値の管理 | ・売り上げ ・ECサイト運営にかかるコスト ・目標値設定および達成度管理 ・人的リソース |
データ分析 | ECサイトのアクセス解析 ・デバイス別データ ・リピート種別(新規顧客あるいは既存顧客) ・流入元(自然検索、有料検索、参照サイトなど) ・スクロール率 |
IT業務 | ・連携すべき外部サービスやツールなどの検討 ・ECサイトの不具合対応や新機能追加 |
EC業務フローを効率化・自動化する4つの方法
「商品情報登録業務」と「商品の受発注管理業務」がアウトソーシングを利用しやすく、ECサイト運営にまつわる業務フローを効率化するポイントです。ここでは、大量かつ幅広いECサイト運営業務を効率化する方法を見ていきましょう。
- 「商品情報登録業務」はアウトソーシングしやすい
- 一元管理できるASPの導入で「商品の受発注管理」を自動化する
- フルフィルメントサービスに「商品の受発注管理」を委託する
- コンテンツSEOで集客を仕組み化する
1. 「商品情報登録業務」はアウトソーシングしやすい
商品情報登録は、ECサイトに登録すべきコンテンツの準備ができていれば、作業自体は単純作業です。入力作業を得意とするフリーランスにアウトソーシングすれば、1時間あたりの登録件数が延ばせるでしょう。
よりスキルを必要とされるのが、コンテンツを制作する撮影・採寸・原稿作成の「ささげ業務」です。特に種類が多くシーズンごとに商品が入れ替わるアパレルを取り扱うECサイトでは、ささげ業務の負担は大きいと言えます。
そこで自社内でささげ業務の担当者を育成するよりも、専門性の高いフリーランスにアウトソーシングしたほうが効率化につながるでしょう。商品数やカット数が多い場合、撮影も画像の加工も手間のかかる作業となるほか、ブランドイメージに合わせた商品撮影・人物撮影が要求されるからです。
近年では物流拠点でもささげ業務が提供されており、販促キャンペーン用のイメージ撮影、ロケーション撮影などにも幅広く対応しています。
2. 一元管理できるASPの導入で「商品の受発注管理」を自動化する
複数のECモールに出店・出品していたり、展開するブランドごとに複数の自社ECサイトを運営している企業も多いでしょう。複数のネットショップで販売している商品の受発注を一元管理できるASPを導入すれば、次のような煩雑な業務フローを自動化できます。
- 受注処理
- 在庫連携
- 商品登録
- システム連携(WMS:倉庫管理システムなど
上述の商品の受発注管理業務を自動化できれば、出荷指示を自動で送れたり、出荷後に発送連絡メールを自動送信したりができます。一元管理システムを導入することで正確に出荷作業を行えるほか、在庫切れなどのトラブルによる機会損失を回避できるでしょう。
3. フルフィルメントサービスに「商品の受発注管理」を委託する
近年では、フルフィルメントサービスにECサイトの受発注管理業務を委託する手法も人気があります。利用した分だけを支払う従量課金制を採用し、初期費用やシステム利用料なしのサービスが登場したことから小〜中規模EC事業者の間でも注目を集めています。
フルフィルメントサービスとは受注・決済・ピッキング・配送などの一連の業務フローを総称する用語で、運送・倉庫事業者や大手ECモールが提供する、いわゆる物流アウトソーシングのことです。もともと大規模ECサイトでは当然のように導入していたサービスです。リソースが必要な出荷業務を自動化できるので人為的なミスを防止できるほか、リアルタイムで在庫状況が把握できるため業務の効率化を図れるのがメリットです。
誤発送などのミスが頻発している、あるいは配送業務にコストがかかり過ぎているとお悩みのECサイトは検討の余地があるでしょう。ただし一つひとつを目視して発送するのではなく商品管理をフルフィルメントサービス側に依存することから、劣化した商品を送ってしまわないように保管環境をチェックすることが大切です。
4. コンテンツSEOで集客を仕組み化する
Webマーケティングも、コンテンツSEOで仕組化すれば自動化できます。コンテンツSEOとは、ユーザーにとって役立つ良質なコンテンツを継続的に発信することで、検索エンジンからの自然流入を期待して集客するマーケティング手法です。コンテンツSEOは、他の広告手法と比べると集客効果を長く持続できることから、見込み客を自動的に集客し続けてくれます。
そこで時間が経過しても価値を失わず、集客に貢献し続けてくれるような、質の高い情報を提供するコンテンツを制作することが大切です。制作し公開された後は、コンテンツ自体の維持管理費用はかかりません。自社で削除しない限り公開され続け、ECサイトの優良顧客の育成やブランディングにも貢献することから、コスパの高いマーケティング手法と言えます。
ただし即効性はなく、コンテンツが少ない間は集客力も乏しいことを知っておきましょう。フリーランスを活用して良質な記事を量産することで、集客の仕組化を加速させるのも有効な集客方法です。
EC業務フローを自動化する際の注意点
ECサイトの競争力を維持するためにも、膨大で煩雑になりがちなECサイトの運営業務の自動化は避けては通れません。とはいえ、ECサイトの業務フローを自動化する際には注意点もあります。ここでは2つの注意点について見ていきましょう。
- 顧客に対して品質を確保できるかリスクを見極める
- 必要以上の施策を実施しない
1. 顧客に対して品質を確保できるかリスクを見極める
商品の受発注管理業務を自動化した後も、顧客に対して配送サービスの品質を確保できるのか事前によく検討することが大切です。委託先を選ぶ際には料金の比較も重要ですが、EC領域に実績があるかどうか、自社ECサイト運営にとって最適なサービスかどうかもチェックしましょう。
大手の物流各社やECモールが提供するフルフィルメントサービスは、出荷業務を自動化し、スケールメリットを生かして売れ筋商品の大量販売にも正確かつ迅速に対応できます。今までのように商品ごとに異なる配送業者を使い分ける必要がなくなるため、コストや業務上の負荷を軽減可能です。
メリットの一方で、配送は基本的に顧客満足度に直結する重要な業務フローだということも忘れないようにしましょう。配送サービスのレベルが規格以下であれば、大手ECモールにおいては出店できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
2. 必要以上の施策を実施しない
Webマーケティング施策で言えることですが、必要以上の施策を取り入れて自ら負荷を増やないよう留意することが大切です。リスティング広告、SNSやメルマガなどの運用は、集客面で効果があります。しかしECサイトの運営にあたってリソースが少ない状態で、気になる施策を必要以上に実行するのはやめておきましょう。
集客面で不安があるとマーケティングありきで様々な施策を実施しがちですが、より効果が高い施策だけに絞り込む決断も重要です。複数のマーケティング施策に費やしていた時間を削減したら、その時間を商品企画や販促イベントに回すほうが売り上げ向上につながります。
ランサーズを利用して、フリーランスに依頼
EC事業の効率化を目指すなら、ランサーズを利用してフリーランスに依頼するのも有効な方法です。フリーランスは「特定の企業・団体・組織に専従しない独立形態で、自身のスキルや専門知識を提供して対価を得ている人」と定義されており、高い専門性をもつプロフェッショナル人材のことを指します。
ランサーズはフリーランスが集う日本最大級のプラットフォームです。専門性の高い分野で経験を積んだフリーランスなら業務フローの効率化をはじめ、自社の困りごとや要望に対して柔軟に対応できます。ランサーズがフリーランス探しを代行することも可能なので、外注は初めてという方も一度ご相談されてはいかがでしょうか。
ECサイトの業務フローを見直し効率化を目指そう
ECサイトの売り上げを向上させるためには、日々の運営業務である「商品情報登録業務」と「商品の受発注管理業務」の効率化や自動化を目指しましょう。業務の負担を軽減できれば、マーチャンダイジング業務に注力する時間が確保できます。
商品の魅力を高める商品開発や販促イベントにエネルギーを注ぐためにも、自社のECサイトにまつわる業務フローを見直すことが大切です。業務の効率化は、専門性の高いフリーランスに依頼することでも達成できます。ECサイトの業務フローを改善されたい方は、ぜひランサーズにお問い合わせください。
