ECサイトの売り上げや流入アップのための施策のひとつに、動画の活用があります。動画を取り入れることで、既存商品のアピールやSNSを通じての新規顧客の流入など、いろいろなメリットが得られます。
本記事では、ECサイトに動画を取り入れるメリットや動画の種類、動画の効果を発揮するポイント、動画を制作する方法について解説しています。ECサイトの売り上げを伸ばしたいときや、新商品などのアピールをしたい場合に、ぜひ参考にしてください。

目次
ECサイトの施策に動画を取り入れる4つのメリット
ECサイトの売り上げアップや流入を期待するための施策のひとつに、動画の導入があります。動画を使ったECサイト動画施策は、動画ECや動画コマースとも呼ばれています。ECサイトの施策として動画を取り入れるメリットは以下の4つです。
- ECサイト上での売り上げアップが望める
- ECサイトへの流入アップが望める
- ブランディングに有効
- ECサイト以外の媒体に流用できる
それぞれのメリットについて具体的に解説します。
1. ECサイト上での売り上げアップが望める
ECサイトは、実店舗と比較すると実際に商品を見たり、手に取ったりできないというデメリットがあります。ECサイトの閲覧者やお客様は、購入したあとに後悔したくない気持ちから、ECサイトに流入したものの販売まで至らないケースもあります。
動画には情報の伝達力が文章や画像よりも高く、サイズ感やイメージ、使用感など商品の情報をより詳細に伝えられるメリットがあります。ECサイト上でも実際に商品を見る、手に取るのに近い情報を伝えられ商品を活用する疑似体験も可能です。
ECサイト上でのお客様の不安を払しょくし、販売につなげられるでしょう。カート落ちが多い場合も、動画ECを取り入れることで売り上げにつながる可能性があります。
2. ECサイトへの流入アップが望める
制作した動画は、ECサイトの商品ページやトップページに設置するほか、SNSやブログなどの外部サイトにも設置できます。動画を通じてECサイトの外部からも流入が期待できるでしょう。
さらに、動画はECサイトのSEO対策の上でも有効です。動画をECサイトのコンテンツとして盛り込むことでページそのものの評価が上がる、または動画をECサイトで視聴することで顧客のページ滞在時間が伸びてECサイトの評価が上がります。
検索結果でECサイトが表示される順位も上がり、検索サイトからの新規顧客の流入も期待できます。
3. ブランディングに有効
動画は、文章や画像よりも多くの情報を盛り込み、詳細に伝えられるツールです。そのため、商品やブランドの魅力、企業や店舗としてのメッセージをお客様へ伝えるのに効果的なため、ブランディングにも有効です。
4. ECサイト以外の媒体に流用できる
ECサイトに掲載する動画は、ほかの媒体に流用しやすいメリットがあります。SNSなどのページに貼る、YouTubeなどの動画投稿サイトで公開するなど他Web媒体へ転用できるほか、実店舗の店頭や展示会のブース、説明会やイベントなどで流す商材としても利用可能です。
動画ECの種類と特徴
動画ECには、おもに以下の4種類があります。
- ECサイトに設置した動画
- 直接商品が購入できる動画
- リアルタイムの配信動画
- 広告動画
それぞれの種類について解説します。
1. ECサイトに設置した動画
ECサイトの商品ページやトップページ、会社概要ページなどに動画ECを設置する方法があります。
ECサイトに設置する動画には、主に以下の種類があります。
- 商品の使用方法や説明動画
- 360度方向から商品の外観が見られる動画
- 製造工程の紹介
- ブランドや商品のイメージ動画
- 経営者や製造者などのインタビュー
- お客様インタビュー
商品ページに設置することによって、お客様へ多くの情報を提供しコンバージョンへつなげやすくなります。企業のイメージ画像や製造者のインタビュー動画などは、ブランディングのために会社概要ページに設置することが多くなります。
実際に商品を購入したお客様のインタビュー動画は、第三者の意見や使用感などを伝えられます。ECサイトの閲覧者やお客様の商品購入前の不安などを払しょくするのにも有効です。
2. 直接商品が購入できる動画
直接商品が購入できる動画は、ECサイトではなく、ブログやSNS、オウンドメディアなどほかのWebサイトに設置します。動画をクリックすることで、商品の購入ページへ誘導できます。ブログやSNSなどのページで商品紹介をする場合は、動画を張り付けることで直接コンバージョンが望めるでしょう。
以下の媒体に直接商品が購入できる動画を掲載または投稿することで、拡散が狙えるのもメリットです。
- YouTubeで配信する動画として作成する
- Instagramのストーリーに掲載する
- Twitterにキャッチコピーと動画のみをつぶやく
3. リアルタイムの配信動画
リアルタイムで動画を配信する方法もあり、これはライブコマースとも呼ばれています。YouTubeのライブ機能などを使用し、視聴者と双方向のやりとりができるため、視聴者に親近感を与えられるのがメリットです。
ただし配信日時を設定した上での限定的な配信となるため、動画配信時間を知らなかった視聴者からの視聴は望めません。ECサイトやSNSなどで、動画の配信予定などを別途告知しておきましょう。
4. 広告動画
広告動画は、Webサイト上での商品やサービス、企業のプロモーション動画を指します。Webサイトの媒体内に表示されるインストリーム広告と、バナー広告などで表示されるアウトストリーム広告があります。掲載料を支払って広告として掲載するのはもちろん、自社メディアやSNSのページなどに表示させることも可能です。
動画ECの効果を上げる7つのポイント
売り上げアップや流入を増やす、ブランディングを達成したいときは、動画の制作や設置において以下のポイントをふまえておきましょう。
- ターゲットを設定する
- 目的を設定する
- 起承転結または起承結の構成にする
- スムーズに再生できるデータ量にする
- 適度な長さにする
- 興味をひく仕掛けを入れる
- 制作した動画は分析して改善する
1. ターゲットを設定する
ターゲットを設定し、誰に向けた動画を制作するかを明確にします。性別や年齢、職業や趣味、悩みなどをふまえて、細かくペルソナを設定しましょう。ターゲットを設定することで、制作する動画の目的や構成が定まります。
2. 目標を設定する
動画の目的によって、動画の内容や適切な尺度などが異なります。おもな動画の目的は以下の通りです。
- 商品に興味を持ってもらう
- 企業やブランドに興味を持ってもらう
- 商品の売り上げにつなげる
- ECサイトへの流入を増やす
- 新商品や新サービスの周知
- セールやキャンペーンなどの限定的な告知
まずは動画の目的を設定してから、動画の制作に入りましょう。
3. 起承転結または起承結の構成にする
動画の目的に合った構成を組みます。起承転結を意識した構成にすると、視聴者に情報が伝わりやすい動画制作につながります。
- 動画の冒頭にブランド名や商品名、キャッチコピーなど目をひくものを持ってくる
- 次に商品やサービスを視聴者へわかりやすく、簡潔に説明する
- 実際に商品やサービスを利用している様子を紹介する
- 商品の購入につながるまとめを入れる
動画の尺度や目的によって、転を省略しても問題ありません。
4. スムーズに再生できるデータ量にする
動画は、多くの情報を視覚的に訴求できるメリットがある一方、テキストや画像に比べるとデータが大きくなります。あまり動画のデータが多すぎるとなかなか再生せず、動画を視聴する前に離脱される可能性があります。
さらに、動画を設置することでECサイトやWebページが重くなってしまい、お客様や視聴者がストレスを感じて逆に売り上げや流入が減少してしまう原因にもなるでしょう。スムーズに再生できたり、ECサイトやWebページの操作や閲覧に支障のないデータ量にしたりするのが重要です。
目的をしぼって動画を制作することも、大切です。たとえば、動画でなければ情報を伝えるのが難しい商品のみを、動画制作の対象とするのも有効ではないでしょうか。音を鳴らす、表面加工の効果など、動画で伝えたい内容をまとめて制作しましょう。
5. 適度な長さにする
動画の目的に会った尺度を設定します。短すぎると商品やブランドの情報や魅力を充分に伝えられません。長すぎるとお客様や視聴者が飽きて離脱する原因となります。
- 興味をひきたいときは15~60秒の長さにする
- 広告動画は最初の5秒を重視する
- SNSに合わせた尺度を考える
- 説明動画、使用方法などは45~90秒の長さにする
ECサイトのトップページやWebページに設置する動画、広告動画は、商品やサービス、企業に興味を持ってもらうのが目的です。60秒以内の短い尺度にしましょう。再生時間が長いとECサイトから離脱される可能性があります。
広告動画の場合、「ファーストビュー」と呼ばれる最初の5秒が肝心です。最初の5秒で見るべき動画かどうかを視聴者が判断します。動画の冒頭の5秒に、インパクトやストーリー性を盛り込みましょう。
SNSに設置する場合は、以下のようにSNSごとに適度な尺度が異なります。動画を設置するSNSに合わせた尺度にしましょう。
- Instagram … 30秒
- Twitter … 45秒
- Facebook … 1分
- YouTube … 2分以内
説明動画や使用方法の動画は、ある程度商品やサービス、企業に興味を持っているお客様や視聴者が多く目にするため、ある程度長めの動画でも問題ありません。ただし、分かりにくい、ただ長いだけの動画は離脱されてしまうため、端的に要点が分かる動画を制作しましょう。
6. 興味をひく仕掛けを入れる
尺度の長い動画やライブ配信の場合、途中で視聴者が飽きないための仕掛けを入れることで離脱を防げます。以下のような仕掛けを入れてみましょう。
- クイズを入れる
- アンケートを入れる
- ECサイトでの購入時に割引などが受けられるクーポンやキャンペーンのコードを告知する
7. 制作した動画は分析して改善する
制作した動画をECサイトやWebページ、SNS、動画投稿サイトなどで設置、配信した後は視聴者の動向を分析し、売り上げアップや流入増加のために改善します。
以下のポイントで動画の視聴データを分析して改善点を探り、より良い動画制作に活かしましょう。
- 平均離脱率と直帰率を分析する
- 再生時間を見直す
- インパクトやメッセージ性があるか確認する
- 再生維持率を意識する
動画の改善点を探る上で欠かせないのが、平均離脱率と直帰率です。平均離脱率とは、動画のどの部分で視聴者全体の何%が離脱したかを表した数値になります。
直帰率とは、最後に動画を視聴したあとそのままサイトを離脱した視聴者の割合を表わした数値です。いずれも動画解析ツールなどで分析できます。
平均離脱率を出すことで、動画のどの部分で離脱する視聴者が多いかがわかります。直帰率が高いと、動画がECサイトやWebページの離脱の原因となっている可能性が高いため、動画の構成や内容の見直しが必要です。
離脱率と関わりが深いのが動画の再生時間です。ある一定の箇所で離脱率が高いときは、再生時間が長い可能性があります。離脱率は低いものの、商品の購入など目的が達成できていない場合は、情報が視聴者へ伝わり切れていない可能性が高いといえます。再生時間を少し長くして、動画に情報を盛り込みましょう。
最初の5秒など冒頭での離脱が多いときは、動画で視聴者をひきつけていません。インパクトやメッセージ性があるかを確認しましょう。再生維持率とは、何%の視聴者が最後まで動画を視聴したかの数値です。再生維持率を意識して動画改善をすると、離脱しにくい動画制作につながります。
動画をただ制作、設置しただけでなく視聴者の分析やアクセス解析を行い、動画の改善や新しい動画制作に活かすのも重要です。
動画ECを制作する方法ごとのメリットとデメリット
動画ECを制作する方法には、以下の2つがあります。
- 自社で制作する
- 外注する
それぞれのメリット・デメリットを解説します。
1. 自社で動画ECを制作するメリットとデメリット
動画を自社で制作するときのメリットは以下の通りです。
- 手軽に動画撮影ができる
- コストがかからない
動画はスマートフォンなどでも手軽に撮影できます。自社で撮影することでコストをおさえられるのがメリットです。
動画を自社で制作するときのデメリットは以下の通りです。
- スキルが必要
- 手間や時間がかかる
- 機材やツールの準備が必要
自社で本格的な動画を制作する場合には、知識やスキルが必要です。動画を制作するための手間や時間もかかる上、機材やツールを自社で用意しなければいけません。自社での動画制作は、コストはおさえられる一方、動画制作や改善でほかの業務のリソースが不足する可能性もあるでしょう。
2. 外注するメリットとデメリット
動画制作会社などに動画制作を依頼する方法もあります。動画制作を外注するメリットは以下の通りです。
- 目的に応じた動画制作ができる
- スキル不要で動画制作ができる
- 手間や時間がかからない
動画制作を外注すると、動画制作のノウハウを身に付けたプロが動画制作を行います。売り上げアップ、本格的なブランディングなど目的に応じた動画制作を実現できるでしょう。手間や時間がかからないため、動画制作にかかるリソースをほかの業務に回せるのもメリットです。
動画制作を外注するデメリットは、コストがかかることです。ただし、動画制作に使う機材やツールの購入費用、リソースの確保をふまえれば、コスト以上のメリットが得られます。
動画制作を外注する先は、動画制作会社のほかにフリーランスへ依頼することもできます。フリーランスは動画制作のほか、改善やSEO効果を上げるための動画の分析も依頼可能です。継続依頼はもちろん、目的に応じたスポットでの依頼にも対応しています。
ECサイトの売り上げや流入増に動画を活用しよう
本記事では、ECサイトの売り上げやブランディングのために動画を導入するメリットについてご紹介しました。動画の種類や動画ECの効果を上げるためのポイント、動画の制作方法ごとのメリット・デメリットもあわせて解説しました。
動画は、ECサイトの運営に有効な施策です。売り上げや流入が見込めない場合には、動画を活用してみましょう。フリーランスへ依頼すれば、動画制作のほか動画の分析も可能です。
