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ECサイト制作が対象の補助金は?資金不足の対策方法を解説

新型コロナウイルス感染症の影響で、実店舗だけでなくEC化を進める事業者も多くなりました。ECサイトの制作には費用が発生しますが、補助金を活用することで費用面での不安を解消できる可能性があります。ただし、補助金の支給を受けるには、各補助金ごとの支給条件を満たし、正しい方法で申請することが必要です。

この記事では、ECサイト制作が対象となる5つの補助金の概要や支給対象となる条件、支給額、申請方法を比較し、解説します。ECサイトの制作資金が不足したときの対処方法も解説していますので、これからのECサイト制作にぜひ役立ててください。

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ECサイト制作で補助金を利用する前に把握しておきたい5つのポイント

ECサイトの補助金相談
ECサイト制作で補助金を受ける前に、以下5つのポイントを把握しておきましょう。

  • 審査が必要
  • 補助金は後払い
  • 事業の開始時期や期間の条件がある
  • 補助金同士の併用ができない場合がある
  • 手続き~交付までの流れを把握しておく

それぞれのポイントについて解説します。

1. 審査が必要

補助金とは、国や自治体が税金などの公的な資金から支給するお金です。補助金と同じく公的資金から支給されるお金に助成金があります。助成金は条件を満たして申請したほぼ全員に支給されますが、補助金は採用枠が決まっているため申請した全員が支給されるわけではありません。

ECサイト制作が対象となる補助金も、それぞれに採用枠が決まっています。審査に通過し、採択となった事業者にのみ補助金が支払われる点に注意しましょう。

2. 補助金は後払い

補助金は、公募期間内に申請した後に審査が行われ、採択されると交付されます。つまり後払いです。ECサイト制作のために使用する資金として、補助金は使用できません。ECサイトを制作したうえで、制作にかかった費用を補助金として申請することになります。

ECサイト制作の費用は、まず全額を手持ちの資金から捻出できるようにしなければいけません。

3. 事業の開始時期や期間の条件がある

ECサイト制作が対象となる補助金を受ける場合、事業の開始時期や期間が条件として設けられていることがあります。スタートアップ企業は対象とならないものがあるので注意しましょう。

4. 補助金同士の併用ができない場合がある

ECサイト制作が対象となる補助金は複数あります。ただし、補助金同士を併用して申請できないものもあります。

たとえばIT導入補助金は、ほかの補助金との併用は認められていません。複数の補助金を受けるのではなく、申請前に自社の規模や事業内容と申請条件を確認し、適切な補助金を選んで申請する必要があります。

5. 手続き~交付までの流れを把握しておく

補助金は、交付までに以下の流れが必要です。

  1. 申請する
  2. 採択される
  3. 交付申請を行う
  4. 申請内容で事業を実施(ECサイトを制作する)
  5. 補助金の交付を受ける
  6. 領収書や証拠書類は5年間保管する

必要な流れを把握して、スムーズに手続きを進めましょう。

ECサイト制作が対象となる5つの補助金

ノートパソコンと部屋
ECサイト制作が対象となる補助金には、以下の5つがあります。

  1. IT導入補助金
  2. 事業再構築補助金
  3. ものづくり補助金
  4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 自治体による補助金

それぞれの概要を解説します。

1. IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業が自社の課題やニーズに合うITツール導入のための経費の一部を補助する補助金事業です。通常枠(A類型とB類型)と低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C類型とD類型)に分かれています。

ECサイト制作は「業務の非対面化を前提とし、異なるプロセス間での情報共有や連携を行うことで補助事業者の労働生産性の向上に寄与するもので、連携型ソフトウェアとしてITツールを導入する際に選択する類型」と定義されている、低感染リスク型ビジネス枠C型に該当します。

IT導入補助金の支給条件や交付額は以下の通りです。

支給条件・中小企業・小規模事業者等
・交付申請時点で日本で登録されている個人または法人で、日本国内で事業を行っている
・交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上
申請に必要な手続き・gBizIDプライムアカウントの取得
・.独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言
・交付申請書類の記入と提出
・交付申請の際、1申請事業者につき、1つの携帯電話番号の登録
・補助事業の実施による労働生産性の伸び率をふまえた数値目標の作成
・生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間、給与支給総額)、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)等の報告
・申請期間内のITツールの契約
補助金交付に必要な達成目標

※事業計画終了時点で未達の場合、補助金の一部または全額の返還が求められる場合がある

・事業計画期間で、給与支給総額を年率平均の1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業または小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間に、事業場内最低賃金(事業場内における最低賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
補助金申請額・C類型-1…30万~300万円未満
・C類型-2…300万~450万円以下
補助率・2/3以内

IT導入補助金は、IT導入支援事業者とともにITツールの選定から申請まで行います。対象となるIT導入支援事業者とITツール検索は以下のページからできます。

IT導入支援事業者・ITツール検索 | 中小企業・小規模事業者のみなさま

gBizIDプライムアカウントは以下から取得できます。gBizIDプライムはIT導入補助金以外の補助金制度の申請にも使われているため、取得しておけばほかの補助金申請時にも便利です。

gBizIDプライム申請書作成

「SECURITY ACTION」宣言は以下より行えます。

SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業の再構築が必要になった中小企業を支援するための補助金制度です。通常枠のほか、補助率の高い緊急事態宣言特別枠も設けられています。特別枠へ申請し、不採択となった場合でも通常枠に一定の加点が加えられ、採択に有利な状態で審査を受けられます。

事業再構築補助金の概要は以下の通りです。

支給条件・中小企業または中堅企業
・2020年4月から連続する6カ月間のうち、任意の3カ月間の合計売上高が、コロナ禍以前(2019年または2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少、かつ2020年10月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月間の合計売上高が、コロナ禍以前の同3カ月の合計売上高と比較すると5%以上減少している
(特別枠は、上記に加えて緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~9月までのいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月と比較して30%以上減少)
・新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
申請に必要な手続き・gBizIDプライムアカウントの取得
・交付申請書類の記入と提出
・認定経営革新等支援機関と事業再構築にかかわる事業計画を策定
補助金申請額・通常枠…100万~1億円(従業員数により異なる)
・緊急枠…100万~1,500万円
補助率・通常枠…中小企業2/3以内、中堅企業1/2以内
・緊急枠…中小企業3/4以内、中堅企業2/3以内

事業再構築補助金を受けるには、事業再構築に関わる事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があります。認定経営革新等支援機関は以下から検索できます。なお、認定経営革新等支援機構が金融機関を兼ねている場合、金融機関のみの選定で問題ありません。

認定経営革新等支援機関電子申請システム 中小企業庁|https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

事業再構築補助金は、2020年4月以前より事業を行っている事業者が対象です。スタートアップ企業や新規事業立ち上げのためにECサイト制作を行う場合は対象外となります。

次回の公募は2022年1月予定です。

ものづくり補助金

正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたって直面し続ける制度変更に対応するための設備投資を補助する制度です。革新的サービス開発や生産プロセスの改善にECサイト制作が該当する場合、補助の対象となります。

ものづくり補助金には一般型とグローバル展開型があり、海外市場開拓目的で越境ECサイトを制作した場合は、グローバル展開型に該当します。なお非接触ビジネス型は2021年12月現在公募を停止中です。

ものづくり補助金の概要は以下の通りです。

支給条件・中小企業または従業員数が300人以下の特定非営利活動法人
・単価50万円(税抜)以上の設備投資を行っている
・過去3年以内に類似の補助金交付を2回以上受けていない
申請に必要な手続き・gBizIDプライムアカウントの取得
・交付申請書類の記入と提出
・補助事業実績報告書の作成と提出
補助金申請額・一般型…100万円~1,000万円
・グローバル型…1,000万~3,000万円
補助率・一般型…1/2、小規模事業者2/3
・グローバル型…1/2、小規模事業者2/3

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が直面する制度変更のために、販路開拓を行った場合の経費を補助する制度です。商工会議所の会員、非会員問わずに応募できます。

支給条件・従業員数20人以下の小規模事業者または一定要件を満たす特定非営利活動法人
・医師や歯科医師、助産師、または系統出荷による収入のみの事業者は除く
申請に必要な手続き・交付申請書類の記入と提出
・補助事業計画の作成と提出
補助金申請額・50万円(2020 年1月1日以降設立または開業届を出した場合は100万円)
補助率・2/3

小規模事業者持続化補助金の最終受付締め切りは、2023年2月初旬頃予定です。

自治体による補助金

自治体が独自に行っているECサイト制作を対象とした補助金もあります。住んでいる、または事業所のある自治体に独自の補助金制度がないかを確認してみましょう。

たとえば兵庫県では県内の事業者を対象に「中小企業によるECサイト活用販売への支援事業」を展開しています。

申請前直近の月間売上が、令和元年または令和2年の同月と比べて20%以上減少した事業者が新たにECサイトを立ち上げて販売事業を行う場合、上限16万円まで対象経費の1/2以内で補助金が交付されます。

ECサイトの制作資金が不足しているときの対処方法

ECサイトの補助金相談
補助金は後払いのため、ECサイトの制作資金は先に確保しなければいけません。また、ECサイトの制作資金は支払えたものの、補助金の審査で落ちてしまうと資金繰りが難しくなる可能性があります。ECサイトの制作資金不足しているときには以下の方法を試してみましょう。

  1. ECサイトの構築方法を見直す
  2. フリーランスへスポット依頼をする

それぞれについて解説しています。

ECサイトの制作方法を見直す

自社サーバの立ち上げやECサイトの開発費用などが多くなっている場合、制作方法を見直すと資金をおさえられる可能性があります。

  • ECサイトのタイプを見直す
  • ECサイトの構築方法を見直す

サーバ内に自社ECサイトを構築する場合、サーバの立ち上げ費用やレンタル費用、メンテナンス費用などが発生します。資金をおさえるために、サーバ不要で利用できるモール型ECサイトやECプラットフォームサービスを利用するのも有効です。

モール型ECサイトの代表例は以下の通りです。

  • Amazon
  • 楽天市場
  • Yahoo!ショッピング
  • PayPayモール

ECプラットフォームサービスの代表例には以下のものがあります。

  • Shopify
  • MakeShop
  • カラーミーショップ
  • BASE

最初はモール型ECサイトやECプラットフォームサービスでECサイトを立ち上げ、事業規模に応じて自社サーバを立ち上げるのも良いでしょう。

ECサイトを構築する場合、0から開発するフルスクラッチではオリジナリティが出せるものの、構築費用や納期も多くかかります。デザインや機能に独自性を持たせたいなどのこだわりがなければ、パッケージやオープンソースでECサイトを構築する方法を選ぶと、ECサイトの製作費用をおさえられます。

フリーランスへスポット依頼をする

ECサイト制作は、ホームページ制作会社やWebデザイン会社のほか、フリーランスへも依頼できます。フリーランスはECサイト制作すべてを任せることはもちろん、サイトデザインだけ、商品登録だけ、などスポットでの依頼も可能です。

必要な分だけフリーランスへ依頼することで、ECサイト制作の全体的な費用が見直せるでしょう。

ECサイト制作は補助金をチェックしておこう

ECサイト制作が対象になる補助金の申請前のチェックポイントや、各補助金の概要、ECサイトの制作費用が不足している場合の対策方法について解説しました。販路拡大や売上アップのためにECサイトを制作する場合、対象となる補助金を利用することで資金面での負担が小さくなります。

補助金とともに資金面でメリットを得るためには、事業規模や資金に合う制作方法にするべく計画を見直したり、フリーランスへの依頼を検討したりするのも有効です。

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