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アパレルECサイト構築のメリットと方法、課題と解決への施策を解説

オンライン上で取引が完結するECサイトは、幅広い業種で展開されています。一方、フィッティングや風合いなど購入に当たって実物を手に取る必要のあるアパレル業界では、ECサイト展開は不向きとイメージされがちです。近年では、アパレル業界でもECサイトの市場規模が拡大しています。

本記事では、実店舗に加えてアパレルのECサイトの構築や運営を検討している人のために、アパレルECサイトを構築するメリットや方法を解説します。アパレルECサイトの持つ課題を踏まえた、失敗しないためのポイントや対策方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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アパレルECサイトを構築する6つのメリット

アパレルECの在庫
「スタッフから接客を受ける」「商品のフィッティングや風合いを見る必要がある」など、アパレル業界は実店舗での接客が利益と深く関わる業種です。ECサイトとの相性が悪い業種というイメージがありますが、アパレルでECサイトを構築すると以下の6つのメリットが得られます。

  1. 機会の増加による利益
  2. 非対面非接触ニーズを充足できる
  3. 潜在的なターゲットの発掘
  4. ブランディングができる
  5. 業務の効率化ができる
  6. コストの削減につながる

それぞれのメリットについて解説します。

1. 機会の増加による利益

アパレルに限らず、ECサイトはインターネット環境があればいつでもどこでも買い物ができるメリットがあります。以下の顧客層にも、ECサイトならアプローチできます。

  • 実店舗で買い物をする場合、営業時間内に店舗へ足を運ばなければいけない
  • 仕事などで忙しく実店舗に行く時間が持てない
  • 自宅の周辺に実店舗がない

顧客の利用機会の増加にともない、利益の増加にもつながります。

2. 非対面非接触ニーズを充足できる

アパレル業界全体の市場規模は減少傾向にあります。株式会社矢野経済研究所による「国内アパレル市場に関する調査」によると、2015年のアパレル業界の市場規模は9兆3,609億円だったのに対し、2016~2019年は微増減を繰り返しながら横ばい傾向が続きます。2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、市場規模は7兆5,158億円、前年比だと81.9%と大きく減少しました。

市場規模は減少傾向にある一方、アパレル業界のEC化率は上昇傾向にあります。経済産業省が発表する「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年度の衣類、服飾雑貨カテゴリのEC化率は19.44%で、前年度比5.57ポイントの大幅な増大となりました。

アパレル業界のEC化が高まった背景には、ECモールやECサイトプラットフォームサービスの登場など、幅広い業種がECサイトを構築しやすくなったことがあります。

さらに、2020年からの新型コロナウイルス感染症の影響により、非対面非接触による対応が求められるようになりました。アパレル業界でも、非対面非接触の対応ニーズを充足するために、EC化が進められています。

3. 潜在的なターゲットの発掘

アパレルには、ブランドや商品の持つイメージによって顧客が獲得できる一方、「価格が高そう」「年齢的に合わない」など、ブランドや商品のイメージによって顧客へのハードルを高めてしまうことがあります。

実店舗にはなかなか足を運べない、という層もECサイトなら気軽に閲覧できるため、新しい顧客層の発掘にもつながります。

4. ブランディングができる

ECサイトを展開することで、ECサイトからも自社ブランドの商品イメージや情報展開ができるブランディングが実現可能です。

ECサイトは、SNSやオウンドメディア、ブログなどのオンライン上でのプロモーションとの親和性も高いため、ECサイトを商品販売だけでなく、ブランディングのためのツールとしても活用できます。

5. 業務の効率化ができる

ECサイトを運営することで、以下の業務効率化の上でのメリットもあります。

  • 在庫の拠点をひとつにまとめる
  • 販売スタッフのシフト管理が不要になる
  • 売上管理業務が一元化できる

6. コストの削減につながる

ECサイトを構築することで、実店舗で発生していた以下のコストを削減できます。

  • テナント料
  • 光熱費
  • 在庫倉庫の賃料
  • スタッフの人件費

アパレルECサイトの種類による構築方法

アパレルECのコーディネート
アパレル業界でも、ECサイトを構築することで多くのメリットが得られることが分かりました。ECサイトによるメリットを多く受けるには、自社ブランドや規模に合ったECサイトの構築が必要です。

アパレルECサイトは、種類別に以下の3つに分けられます。

  1. 自店舗型ECサイト
  2. モール型ECサイト
  3. 個人経営型ECサイト

これからアパレルECサイトを構築したい人のために、アパレルECサイトの種類による構築方法を解説します。

1. 自店舗型ECサイトの特徴と構築方法

自店舗型ECサイトとは、自店舗を持つメーカーやブランドが直販で展開しているECサイトのことです。

おもな自店舗型アパレルECサイトには以下のものがあります。

  • UNIQLO、しまむらなどファストファッション系
  • アダストリア、ベイクルーズなど複数ブランドを展開するメーカー
  • adidas、NIKEなどのスポーツメーカー系
  • ベルメゾン、ベルーナなど通信販売系

自店舗型ECサイトを構築する方法には、以下のものがあります。

  • ECサイトプラットフォームサービスを利用する
  • 自サーバにサイトを構築する

ShopifyやMakeShopなどのECサイトプラットフォームサービスを利用して構築する方法は、自サーバを持つ必要がなくアパレルECサイトが構築可能です。利用したいサーバの容量や機能数に応じた月額利用料やプラン料を支払う、または機能やデザインなどのオプションを都度追加購入する必要があります。

自サーバにサイトを構築する場合、主に以下の3つの方法があります。

  • ECサイト構築のソフトウェアを購入して構築する
  • 無料のオープンソースを利用して構築する
  • 0から開発する(フルスクラッチ)方法がある

サイトにオリジナリティが出せるためブランディングしやすいなどのメリットがある一方、メンテナンスの手間がかかる、納期や費用がかかるなどのデメリットがある点に注意が必要です。

2. モール型ECサイトの特徴と構築方法

モール型ECサイトとは、ひとつのサイトに複数のECショップのページが集まっているECサイトです。

モール型ECサイトには、以下のものがあります。

  • Amazon
  • 楽天市場
  • Yahoo!ショッピング
  • PayPayモール
  • ZOZOTOWN
  • Rakuten Fashion

Amazonや楽天市場のように幅広いジャンルのショップが集まるモール型ECサイトもあれば、ZOZOTOWNのようにアパレルに特化したモール型ECサイトもあります。

モール型ECサイトは、該当するモールに出店料を支払うことで自ECサイトのページを構築できます。アパレルECサイトの構築方法としても比較的安易ですが、ブランディングがしにくいデメリットがあります。高い集客力が得られる一方、競合も多いこともデメリットです。

3. 個人経営型ECサイトの特徴と構築方法

個人経営型ECサイトとは、チェーン展開をしていない個人経営のアパレルECサイトが該当します。自店舗型ECサイト、モール型ECサイトいずれでも構築可能です。実店舗を持たずECサイトのみで運営しているところも多く、アパレルショップの運営コストをおさえられるメリットもあります。

競合は少ない一方、自社ブランドや商品の知名度を上げるためのマーケティングやプロモーションを行わないと、ECサイトの集客自体が望めません。

アパレルECサイトの5つの課題と解決方法

マネキンコーデ
アパレルECサイトはメリットが多くある一方、アパレルという業種が持つ特徴がECサイト構築や運営でマイナスになってしまうことがあります。おもなアパレルECサイトが持つ課題や問題点には、以下のものがあります。

  1. 集客が難しい
  2. 返品リスクが高い
  3. ターゲット層が限られている
  4. CtoCの台頭
  5. 実店舗のショールーム化

それぞれの課題を解決方法とともに解説します。

1. 集客が難しい

自ブランドやメーカー、商品の知名度が低い場合はECサイトを構築しても集客が難しくなります。はじめは集客力の高いモール型ECサイトで自サイトを構築し、ある程度の集客が望めるようになったら自店舗型に切り替える、またはモール型ECサイトと併用する方法が有効です。

SNSやオウンドメディア、自サイトアプリの開発などブランディングのためのプロモーションやマーケティングも同時に行うことで、よりECサイトへの集客が望めるでしょう。

2. 返品リスクが高い

実物を手に取れないECサイトの商品は、購入後「イメージと違った」「サイズが合わない」などの理由で返品される可能性が高くなります。これらの点が懸念されることから、アパレルECサイトに流入があっても、顧客への販売機会損失となる場合があります。

返品リスクをおさえるためには、以下の方法が有効です。

  • サイズやイメージが合わなかったら返品できる、オンライン上でも試着ができる
  • フィッティングツールを導入する
  • 身長や体重、体型を明記したスタッフが試着してサイズ感を公表する

オンライン上でも、顧客が商品を安心して購入できる取り組みが必要です。

3. ターゲット層が限られている

自宅の近くに実店舗がある場合には、ECサイトを利用しないという場合が多くなります。また、アパレルの持つ商品やブランドのコンセプトによって年齢、雰囲気、価格帯などを対象としたターゲットは限定されてしまいます。

より広いターゲット層を発掘するには、越境ECも検討すると良いでしょう。日本国外にも販売経路を広げることで、海外のターゲットの流入や販売機会にもつなげられます。

4. CtoCの台頭

CtoCとは、個人対個人の取引のことです。アパレル業界でのCtoCの機会には、オークションサイト、フリマアプリが該当します。個人間でアパレル商品の取引が気軽に成立してしまうため、ECサイトはもちろん実店舗で商品を購入する層が減少してしまっています。

CtoCへ対抗するためには、以下の方法が有効です。

  • 自店舗やECサイトで購入することで得られるアメニティやサービスを付ける
  • クーポンを発行するなどリピート集客を狙う
  • CtoCによる売上で新しく商品を購入する層を狙う

5. 実店舗のショールーム化

実店舗では実物を見たり試着したりするだけ、実際の商品は値段の安いECサイトで購入するという実店舗のショールーム化が問題となっています。実店舗の売上損失のほか、実店舗の販売スタッフのモチベーションも下がってしまいます。販売スタッフの実店舗以外での販売機会や露出機会を増やすなどの対策方法が有効です。

アパレルECサイトの利益向上に有効な施策

インスタグラムアプリ
次に、課題解決のほかにも利益向上にも有効な、アパレルECサイト運営と一緒に行いたい有効な施策を解説します。

アパレルECサイトの利益向上のために有効な施策は以下の4つです。

  1. オムニチャネル
  2. オンライン接客
  3. サブスクリプション
  4. SNSマーケティング

それぞれの施策について解説します。

1. オムニチャネル

オムニチャネルとは、販売経路の統合化を指します。

実店舗、ECサイトのほか、SNSのページやアプリなど自社で展開するすべての販売経路を統合することで、以下のメリットが得られます。

  • 販売方法を問わず購入体験が得られる
  • 顧客の利便性の向上
  • 業務の効率化

アプリを通じて購入した場合ポイントが付与されますが、自社サイトや実店舗での購入はポイントが付かないなど、同じ商品を購入した場合でも販売経路によって顧客への不利益が生じる場合があります。オムニチャネルによって顧客へのシームレスな販売体験が実現可能です。顧客は実店舗、ECサイト、アプリ、SNSなど自由に販売経路を選択でき、販売機会の増加による売上向上にもつなげられるでしょう。

ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取る、実店舗で予約や取り置きをお願いした商品をECサイトから購入する、といったことも可能です。顧客の利便性も向上します。

在庫の一元化、売上の一括管理など、店舗側の業務効率化につながる要素もあります。

2. オンライン接客

オンライン接客とは、リモートツールやビデオ会議ツール、チャットツールなどを介してオンライン上で接客体験を提供するサービスです。

オンライン接客には以下のメリットがあります。

  • 顧客の接客機会の増加
  • 潜在層へのアプローチ
  • 非対面非接触での接客体験が実現できる

オンライン接客は、顧客が自宅にいながら店舗のスタッフからコーディネートの提案や商品選びのアドバイスが受けられます。育児や介護中、仕事が忙しいなどの理由で店舗に向かうのが難しい層にもアプローチできるでしょう。

オンライン接客は、顧客が自宅でリラックスした状態で利用できます。以下の潜在層への販売機会にもつながるでしょう。

  • 商品やブランドのイメージから、自分の雰囲気や年齢にはそぐわないとハードルの高さを感じている層
  • 「購入してもサイズが合わないかもしれない、似合わないかもしれない」と思っている層 など

オンライン接客はリモート環境での接客体験のため、非対面非接触での接客体験が可能です。なお、実店舗は足を運べばいつでもスタッフからの接客が受けられますが、オンライン接客は接客機会のセッティングが必要です。

オンライン接客に必要なツールのほか、接客日時をセッティングするための予約システムの導入も忘れないようにしましょう。

3. サブスクリプション

サブスクリプションとは、定額サービスのことです。アパレル業界では、サブスクリプションサービスとして月額定額を支払うと、月ごとに異なる洋服や靴などのコーディネートアイテムがレンタルできるサービスを提供しているメーカーやブランドが増加しています。

サブスクリプションはレンタルのため、購入前のお試しや、既存の拭くとのコーディネートを楽しみたい層から人気です。気に入った商品はそのまま購入して自分のものにもできます。

4. SNSマーケティング

SNSを使ったマーケティングは、ECサイトの利用機会増加につなげる自社のブランディングに効果的です。

アパレル業界のおもなSNSマーケティングには以下のものがあります。

  • Instagramを使った商品紹介やスタッフコーディネート紹介
  • Twitterを使った新商品入荷やセールの告知
  • オウンドメディアによるコーディネートアドバイスやスタッフ紹介
  • YouTubeチャンネルの解説と動画配信

SNSは気軽にアクセスできるツールのため、新規層の発掘からリピーターへのアプローチまで実現できます。ただし、SNSマーケティングにはECサイトの流入経路をふまえた施策が重要です。SEOマーケティングやアクセス解析などを利用し、効果的なマーケティングにつなげましょう。

アパレルECサイトは今後も多くのニーズが期待できる

オンライン販売との親和性が低いとイメージされやすいアパレル業界も、ECサイトを活用することで新しい顧客層の獲得や売上の増加につながります。自社のブランドや販売規模に合ったECサイトを展開すれば、新たな販売経路が確保できるだけでなく、ブランディングのツールとしても活用できるでしょう。

アパレルECサイトを通じてのアクセスや利益を増加させるには、自社に合ったECサイトの構築と同時に、有効な施策を行うのも重要です。ECサイトの構築から商品登録、撮影などのサイト作成から、アクセス解析、SEO対策、動画撮影や編集まで、フリーランスにはアパレルECサイトの構築や運用、マーケティングに関するスポット的な依頼も可能です。ぜひ活用してみましょう。

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