提案文 :
秋と言えば、食欲の秋、読書の秋、そしてスポーツの秋。10月の初旬にもなれば、山の上ではすっかり秋の色合いになってくる。紅葉狩りとはいえ、見に行くためには重いザックを背負うのだから、これはもうスポーツといっていいのではないかと思う。
山に登ると気温はぐんぐん下がっていく。汗はたくさんかくけれど、指先は冷たい。都会の騒がしさはまったくなく、自然の音がそこここから聞こえてくる。木の葉のずれる音、とりたちのさえずり、小川のせせらぎ……。平地では9時間歩き続けるなんてどう考えてもありえないのに、山にくるとしっかり歩いてしまう。そうして朝から歩き続けて、ようやく目的地、涸沢のキャンプ場につく。足は重たいが、景色に見とれてしまう。キャンプ場に散らばるテントのカラフルさも見物だが、周囲を囲む山肌の紅葉はいつ見てもすばらしい。
設営の手続きを済ませてから、早速テントをはる。腰を下ろしてぼぉっと山肌を眺める。少し寒くなったので、簡易コンロを組み立ててコーヒーを入れる。山で飲むコーヒーは格別おいしい。とりわけ、立ち上る湯気のむこうに紅葉をみながらのコーヒーは、なににもかえがたい。ほっと一息つきながらコーヒーをすする。今年も来られてよかった。
2013-10-09 22:25:22