ジョブ型雇用のメリットとデメリット|メンバーシップ型とタスク型との違いも紹介します

ジョブ型雇用のメリットとデメリット|メンバーシップ型とタスク型との違いも紹介します
ここのところ、ジョブ型雇用制度を取り入れる大企業が増えています。 ジョブ型雇用は、従来型の雇用とは考え方が大きく違うため、導入するには特徴をよく理解して、十分な準備を行わなくてはなりません。 今回は、今注目されているジョブ型雇用の特徴とメリット・デメリットについて解説します。 ジョブ型雇用の導入例(正社員・副業)や、ジョブ型雇用のイメージでフリーランスを活用する例についてもまとめました。 ジョブ型雇用に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

ジョブ型雇用とは


ジョブ型雇用の特徴は、主に以下の4点です。

職務内容を明確に定義
成果で評価
勤務地ポスト・報酬は決まっている
・人の流動性は高くなる

これらの特徴について、順番に解説します。

職務内容を明確に定義

ジョブ型雇用は、特定のポストに対して人材を募集します。
そのため、職務記述書(JD)にて職務内容を明確に定義する、という点が大きな特徴です。

職務記述書には、どのような仕事内容で、その仕事を遂行するためにはどのようなスキルが求められるのかについて、職務内容を定義します。
職務内容は、職務領域と責任範囲とで定義し、細かくタスク化した仕事を書き連ねているわけではありません。
職務記述書は、職務領域を定義するとともに、領域外には動かさないということも明確に定義し、あくまでも「ポスト」に対する採用であることを明文化します。

成果で評価

ジョブ型雇用では、年齢や勤続年数に関係なく、成果のみで評価する仕組みです。
職務定義書では、用意しているポストが目指すべき成果目標と、効果測定の方法について定義し、評価基準を明確化します。

効果測定の定義は、定量的なデータで誰が行っても同じ評価が出せるような定義が必要です。
誰でも同じ結果が出せる評価基準で成果を評価することで、現在問題視されている、正社員と非正規社員の間にある賃金格差もなくなります

勤務地やポスト・報酬は決まっている

ジョブ型雇用は、基本的には空きポストを埋める、あるいは新規ポストの人材を募集する雇用形式です。
そのため、勤務地は固定で、ポストに見合う実力の人材を募集する、という仕組みです。

ジョブ型雇用では、報酬も明確に決まっており、成果の達成度合いによって、翌年の年収が決まります

人の流動性は高くなる

ジョブ型雇用を採用すると、人材の流動性は高くなります
その理由は、パズルのピースを入れ替えるような採用人事となるためです。

例えば、職務内容やポストとのミスマッチが発生する、あるいは退職によってポストの空きが発生するとしましょう。
従来は、ポストに空きが生じた場合、社内の人材から抜擢してポストの穴埋めを行い、ポストを社内の従業員が占めることとなります。

一方、ジョブ型雇用の場合は、ポストに対して募集をして、そのポストの相応しいスキルを持った人材を採用する仕組みです。
採用する人材は、求めるスキルを持った人で、社内の人材とは限りません。そのため、会社全体としては、従来よりも人の流動性が高まります。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い


ジョブ型雇用に対して、従来型の雇用を「メンバーシップ型雇用」と呼びます。
両者の違いはどこにあるのか、比較によって確認しましょう。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の比較

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いは以下の通りです。

ジョブ型 メンバーシップ型
採用
方法
通年実施 新卒一括採用
労働
契約
仕事依存 会社依存
仕事の

職務定義書にて明確に定義
仕事の幅は狭い
配属時点である程度決まるが
流動的明確な規定はなく
仕事の幅は広い
必要な
スキル
専門性の高さが必要
スペシャリスト
職務によりさまざまだが、
ジョブ型に比べると
幅の広さを求められる傾向
ゼネラリスト
転勤 なし あり
報酬 スキル依存 年齢や勤務年数依存
教育 自己研鑽が求められる 充実した社内教育を用意

ジョブ型雇用は、従来型のメンバーシップ型雇用とさまざまな点で違いがあります
また、採用時点からそのポストに応じたスキルを求めるため、スキルを積めていない新卒の若者には不利に働く面もあります。

メンバーシップ型雇用は従来型

メンバーシップ型雇用は、従来型雇用のことだと考えてください。
新卒を一括採用し、年功序列・終身雇用型で、社内で新入社員を育てていくシステムによって社内の人員を補充します。

社内のポストに空きができた場合は、若い世代から抜擢して上位のポストを与える仕組みです。労働契約は会社依存なので、社内のポストがなくなっても、別のポストへ移動して社員を雇い続けます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、どちらもメリットとデメリットがあり、これからの雇用をどうしていくかは検討の余地があります。

ジョブ型雇用を採用する企業が増えている背景


ジョブ型雇用を採用する企業が増えている背景について解説します。

Society 5.0時代の到来

現代は、人間中心の課題解決・価値創造型の社会「Society 5.0」時代を迎えていると言われています。

すべてのものはインターネットにつながり、第4次産業革命をもたらしています。

変化が激しい時代では、同じ人材を数十年雇用し続けるメンバーシップ型雇用だけでは、必要なスキルを持った人材の確保が立ち行かなくなりつつあります

そのため、積極的に外部からスキルを持った人材を雇用するジョブ型雇用が必要になる、と考える企業が増えています。

正社員と非正規社員の格差是正

ジョブ型雇用によって、ポストに対する職務や賃金が決まります

勤続年数が報酬とは切り離されるため、正社員と非正規社員の格差が是正されます。

同一労働同一賃金の原則を成立させる方法のひとつとして、ジョブ型雇用による人材の確保は最適な手段です。

賃金だけでなく、福利厚生の面でも、ジョブ型雇用は正社員と非正規社員の格差を是正する効果があります。

高度IT人材不足の解消

みずほ情報総研株式会社は2019年に「IT 人材需給に関する調査 調査報告書」を発表しました。
この報告書によると、IT需要の伸びが中位と仮定した場合で2030年のIT人材は44.9 万人不足すると算出されています。

特に、AIやIoT技術などの高度IT人材が不足する見込みで、高度IT人材の獲得は激化の一方です。
外部から高度IT人材を確保したい、と考える企業が増えていることも、ジョブ型雇用の採用が広まっている背景となっています。

ジョブ型雇用を採用するメリット


ジョブ型雇用を採用するメリットはさまざまです。
中でも代表的なメリットについて3点取り上げます。

必要とする専門人材の獲得

ジョブ型雇用を採用すると、自社が必要とする専門人材を獲得しやすくなります
職務内容・勤務地・必要なスキル・報酬を明確にすることにより、希望のスキルを持った人材を採用できるためです。

特に、自社の分野とは別分野の専門スキルを持つ人材を確保したい場合、ジョブ型雇用は有効な採用方法と言えます。

イノベーションの創出

ジョブ型雇用によって採用した人材は、年齢や経歴など多種多様です。
外部から従来では自社にいなかったタイプの人材を獲得することで、新たな気づきが生まれやすくなります。

その結果、新しいアイデアの発見や、イノベーションの創出にもつながる効果が期待できます。

教育する必要がない

メンバーシップ型雇用では、人材の教育にかなりコストがかかっていました。
新人研修は、3ヶ月ほどかける会社も少なくありません。
新人研修が終わった後も、業務に直結するさまざまな教育制度によって、社員を育てるのがメンバーシップ雇用の特徴です。

ジョブ型雇用では、すでに求めるスキルを持った人材を獲得するため、教育コストを企業側で持たなくてすみます

ジョブ型雇用を採用するデメリット


ジョブ型雇用にもデメリットはあります。
主なデメリットを2点紹介します。

人材を会社都合で動かしにくくなる

ジョブ型雇用は、あくまでもポストに対しての雇用です。
そのため勤務場所の変更や別のポストへの移動を命じることはできません

また、職務内容も職務定義書にて定義した範囲外は任せられません
メンバーシップ型雇用では、基本的に人事異動に制限がないため、従来の感覚ではポストや勤務地を移動させられないと考えてください。

従来制度の改革が必要

ジョブ型雇用を導入するためには、従来制度の改革が必要です。
職務内容および評価制度の整備、給与体系の見直しなど、従来の人事に関する制度は大幅に変えなくてはいけません。

また、ジョブ型雇用のための制度を新設する必要もあり、制度の整備はかなりの負担が考えられます。

ジョブ型雇用での正社員採用事例


ここからは、ジョブ型雇用を正社員採用制度に取り込んだ事例を3例紹介します。

日立製作所

日立製作所では、デジタル人財や経験者採用、通年入社・採用などを盛り込んだ2021年度の採用計画を発表しました。
経験者採用は、新卒2:経験者1から新卒1:経験者1と採用枠を拡大し、ジョブ型雇用による採用を進めます。

また、「ファーストキャリア人財」として従来の新卒採用制度を残し、デジタル人財採用コース(高度IT人財の確保)、職務別採用コースを新設。
新卒採用でも、職種を選んで応募できる形を整えて、高度IT人財をデジタル人財として確保するような仕組みを整えています。

さらに、新卒採用において、通年入社を可能とした点も目新しい試みです。

資生堂

資生堂は、2015年よりジョブ型雇用を管理職に対し積極的に進めてきた先進的な企業です。
職務内容の定義では、「戦略の立案」や「売り上げの達成」など、ポストによって達成目標が細かく決まっています

達成目標には期限も設けられていて、達成状況にとって、次の給与やポストに反映される、という仕組みです。
2021年には、管理職のみ対象だったジョブ型雇用を、一般社員にも拡大予定です。

KDDI

KDDIも、ジョブ型雇用に積極的な企業です。
2020年度新卒採用よりジョブ型雇用を取り入れていましたが、2021年度よりさらに拡大。
ジョブ型雇用の割合を11領域120名(全体採用人数の約4割)とする予定です。

また、新卒採用も一括採用から通年採用に移行し、入社時期を4月と10月の2回行うよう変更します。

ジョブ型雇用での副業人材採用事例


ジョブ型雇用で正社員を採用するだけではなく、副業人材を採用する動きもあります。

ジョブ型雇用を副業人材確保で利用している事例を3例ピックアップしました。

ライオン

ライオンは、転職サイトより個人に業務委託する形で、外部企業で働く副業人材を募集しました。
職務内容は、新しく解説されたマーケティング部門「ビジネス開発センター」で働く「ビジネスインキュベーター」。

ビジネスインキュベーターの職務は、ビジネス開発(新規事業の立ち上げ)です。
これまで商品開発のノウハウを蓄積してきたライオンですが、ビジネス開発においては手薄でした。

そこで、優秀な外部人材を副業・兼業で募集することで、自社に不足している優秀な人材を、ジョブ型雇用で確保することを試みた事例です。

Yahoo

Yahooでは、「ギグパートナー」と称した副業人材を、ジョブ型雇用形式で募集しています。

募集ポジションは以下の7ポジションです。
・ヤフーの戦略アドバイザー
・ヤフーの事業プランアドバイザー
・新規メディアサービス企画
・新規コマース事業戦略
・グループシナジー戦略
・テクノロジースペシャリスト
・オープンポジション

業務は基本的にオンラインで、ポジションごとに求めるスキルや報酬を明確化しています。
他社の人材を引き抜くのではなくその能力を一部借りることで、従来では集まらないような人材を確保することを目的としています。

ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバ―・ジャパンでは、自社業務の副業・インターンシップにチャレンジできる新しいプラットフォーム「WAAP」を開設。
ユニリーバ・ジャパンで働きたい人がいつでも応募できるシステムを構築しています。WAAPでの応募は365日・24時間いつでも可能です。

また、個人からの応募だけでなく、提携パートナー(企業・大学)からの出向・インターンシップ応募もできます。
自社の人材確保用にプラットフォームを作って対応している珍しい事例です。

ジョブ型雇用と中小企業


ジョブ型雇用には素晴らしいメリットがたくさんあります。
しかし中小企業が導入するには負担が大きい側面もあり、即導入するにはハードルが高いかもしれません。

ここでは、中小企業がジョブ型雇用を導入する難しさや、ジョブ型雇用に代わる解決方法について解説します。

制度の整備やポストの用意が重荷に

ジョブ型雇用制度は、デメリットでも触れたように、制度の整備に大きなコストがかかります。
中小企業にとっては、制度の整備自体が大きな負担となることが考えられます。

また、正社員として雇い続けるためのポストも、中小企業は多くの数を用意できません
中小企業がジョブ型雇用を取り入れる前にはこれらの問題を検討する必要があります。

ジョブ型雇用よりもメンバーシップ型雇用の方が合理的だという判断なら、そのままメンバーシップ型雇用を残すのもひとつの選択肢です。

タスク型雇用でフリーランス活用も

ジョブ型雇用を副業人材に利用するか、「タスク型雇用」の方が、中小企業には相性が良いかもしれません。
タスク型雇用とは、スポット的に人材を確保する雇用形態のことです。

例えば、アメリカにおけるtタクシーとUberの関係は、タスク型雇用を理解するのに分かりやすいかもしれません。タクシー運転手はジョブとして成立している職業です。

しかし、タクシー配車システムUberができたことにより、システムに登録している人が、注文に応じて個々のタスクとして仕事を取る形に大きく変化しました
タスク型雇用でスポット的に人材を確保するには、フリーランスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

クラウドソーシングなら、欲しい分野の人材の実績や評価を確認できるメリットもあり、欲しい人材をアサインしやすくおすすめです。

高度な技術を持つ人材をフリーランスから活用した事例


ジョブ型雇用でスポット的に高度な技術を持つ人材を採用した成功例として、2つの事例を紹介します。

約3倍の集客を実現!エクセライク会計事務所

エクセライク会計事務所では、集客のノウハウを持つ優秀なWebマーケターと在宅ワーカーをランサーズでアサインしました。
Webマーケターからは、マーケティングオートメーションツール導入のアドバイスを受け、Web集客力を強化した結果、約3倍の集客を実現

また、在宅ワーカーに事務作業を依頼して、コア事業に自社リソースを集中することもできました。

主力製品のパッケージデザインをコンペで募集!株式会社わかさ生活

パッケージデザインや工業デザインも、専門スキルを持つデザイナーに外部委託しやすい分野です。
わかさ生活では、主力製品のパッケージデザインを、ランサーズのコンペ形式で募集しました。

その結果、期待以上のクオリティで多くの応募作品が集まり、満足いく結果を得られたそうです。
また、自社デザインに比べて斬新なアイデアが多く見られた点もメリットとして挙げられていました。

ランサーズの活用で専門人材の確保を

ジョブ型雇用は、専門人材を確保しやすい、新しい雇用形態の一種です。

しかし、ジョブ型雇用をすぐに取り入れることが難しい場合、ジョブ型雇用で副業人材を募集するか、タスク型雇用としてスポットで人材を活用する仕組みも取り入れてみてはいかがでしょうか。

ランサーズには、専門性の高いスキルを持った人材が豊富に登録されています。

スポット的に専門人材を活用したい場合は、ランサーズを利用したフリーランスの活用も検討してみてください。