翻訳依頼、必ず押さえるべきポイント

翻訳依頼、必ず押さえるべきポイント
外国語で書かれた書籍や記事、プレスリリース、報告書などを翻訳したい場合、どのような翻訳者を選び、また、どのようにして翻訳された文章をチェックしていくのでしょうか? 翻訳をはじめて依頼するときに押さえるべきポイントを、翻訳書を担当されている、株式会社スペースシャワーネットワーク 書籍出版事業部の荒木 重光さんにお伺いしました。

翻訳者の選び方

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まず発注時に大事なことは、翻訳者選びです。翻訳者選びのポイントとなる、以下の2点を確認します。

専門知識を持っている

1つ目の選定ポイントは、翻訳するジャンルに詳しい人を選ぶことです。翻訳する原文は、ジャンルごとに細かく分かれています。書籍翻訳であれば、小説や科学、健康、音楽などです。読者は、「専門知識が欲しい」「そのジャンルが好き」といった理由で、翻訳された文章を読みます。専門知識を持っていないと、読者の求める情報の勘所がわからなかったり、正しい情報をもとに訳したりすることができません。たとえば、訳された文章のなかで歴史の整合性が取れていないとき、知識がなければ修正できません。最低でも「そのジャンルが好き」という気持ちを持った人にお願いしなければ、「嫌々、訳された文章だな」と読者に悟られてしまうことがあります。

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読ませる文章を書くことができる

2つ目の選定ポイントは、(日本語として)こなれた文章が書ける人を選ぶことです。たとえ納品スピードが遅くとも、面白い文章を書くことができる人は、読者を楽しませることができます。また、読みづらい文章は、読み進めるのに苦痛を感じさせます。「面白い文章か?」「スラスラ読める文章か?」などをチェックするために、翻訳者にテスト案件(オーディション)を行うことが一般的です。複数の人にテスト案件を実施してみると、同じ原文でも、さまざまな文章で訳されてくるので、理想的な文章を見つけやすくなります。

校正(ネイティブチェック)を行なう

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翻訳者から納品されてきた原稿には、「校正を入れること」が理想です。とくにWeb上の記事は乱れやすいので、注意して校正しましょう。校正は、校正ができる社内の人に頼む(もしくは自分で行う)か、アウトソーシングします。校正のコストを下げたい場合に、翻訳者に校正とセットで翻訳を頼むときもあります。校正とは、以下の2パターンを指します。

( A )翻訳された文章として正しいのか、誤字脱字のチェック
( B )記事に対する専門家のチェック

これらの( A )( B )を人に任せる場合、校正者を増やし過ぎない工夫をします。確認作業の人数が増えれば増えるほど、「誰が正しく訳せているのか?」という議論になりがちだからです。もしも複数人に依頼しなければならないとき、発注担当者は文章の確認がスムーズに終わるよう、それぞれの担当者に指示を与えることが役割となります。

丸投げをしない

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発注するときは、翻訳者や校正者が、気持ちよく仕事できるような環境づくりを心がけます。原文がある翻訳では、ゼロベースから文章をつくり出すことをしません。しかし、一つ一つの言葉を他言語に置き換えていくので、それなりの集中力がいります。そのことを忘れて、「ただ原文を訳すだけだから簡単だろう」と、短すぎる納期でスケジュールを組んでしまうとミスが起こりがちです。

また、「完璧な状態で納品されることが当たり前だ」と思わないことです。たとえば、「校正者に依頼したので、もう大丈夫だろう」という気持ちでいると、誤字脱字を見落とす危険があります。「納品物は完璧じゃないので、しっかりとチェックしよう」と緊張感を持って、納品物の確認をしましょう。

発注側も専門知識を学ぶ

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もう一つ、依頼するときに心がけることは、発注側も専門知識を身につける努力をすることです。そもそも翻訳を依頼するときに、原文についての情報を知らないと、「こんなふうに訳して欲しい」と指示することができません。

また、プロの翻訳者や校正者は、発注側が「原文に興味があるか、ないか」を見抜きます。発注側の仕事に対する熱量を感じなければ、翻訳者たちのモチベーションが下がる可能性もあります。なので、もしも未知のジャンルの翻訳を発注することになったときは、専門知識をコツコツ勉強することです。「もっと良い翻訳文にしたい」という気持ちが伝われば、パートナーたちと、クオリティーの高い文章をつくりやすくなります。

まとめ

翻訳は、原文を別の言語に置き換える仕事です。誤訳されていないことはもちろん重要ですが、それだけではなく、読者にわかりやすく伝えようとする工夫が必要なのです。発注側の立場になったとき、今回ご紹介したポイントを押さえて、読み進めたくなるような文章に仕上げていきましょう。


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