フリーランスの世界：憧れだけで飛び込まないために

フリーランスは不安定な仕事

会社員を辞め、フリーランスという立場を求める人は次第に増えてきています。毎日の会社勤めから解放され、自分のやりたい仕事を自由にしたいと望む人は今後も増え続けると予想されます。

しかし、フリーランスの世界は不安定で厳しいもの。夢を追ってフリーランスになったはいいものの、自分の理想通りに仕事が進まず立ち行かなくなってしまうケースが多いのが現状です。

憧れだけではフリーランスとして生計を立てることはほぼ不可能です。フリーランスになる前に、フリーランスとはどんなものなのかを理解し、マイナスの側面や気をつけておくべきことを理解しておきましょう。

フリーランスというと「自由」なイメージがあるものですが、実際フリーランスとして働くと、思ったほど自由ではないことに気づくはずです。

会社のように、就業規則や上司、部下というものに縛られることは確かにありませんが、フリーランスになったとしても、クライアントをはじめとする人間関係の中で仕事をしているのですから、自分勝手に進めていいわけではなく、お互いの協力と同意のもとに仕事をする必要があります。

また、フリーランスは仕事の時間や進め方を自分で決めることができ、裁量の幅が大きくなることも魅力のひとつですが、仕事の責任は全て自分にあります。個人事業主としての責任の重さをしっかり把握しておきましょう。

責任と社会的常識の上に自由があることは、普通の会社員とあまり変わりません。フリーランスが会社員より自由だからといって、期待しすぎることのないようにしましょう。

会社では事務や営業、経理といった仕事はそれぞれに分かれているため、自分の役割だけに集中することが可能ですが、フリーランスになったらその全てを自分でこなす必要があります。

いくら仕事のスキルが高くても、営業ができなければ仕事は取れないし、経理ができなければ、経営が逼迫して破綻してしまう可能性もあります。事務も雑務もすべて一人でこなせてこそ、フリーランスとして成功できるということを理解してください。

フリーランスになって間もない頃は、収入がとても不安定です。会社員のように定期的に収入があるわけではないですし、仕事を複数こなしてもすぐに収入を得られるわけではありません。

しかし、収入がなくても仕事をする上での必要経費は発生します。もちろん、生活するためには食費や光熱費も必要です。フリーランスになってから生活に行き詰まってしまうことのないよう、ある程度の蓄えはしておきたいものです。

フリーランスになったからといって、自然に仕事が舞い込んでくるわけではありません。勉強会や研修会、セミナーに積極的に参加して人脈を作るとともに、フリーランスとしての技術を磨き、幅広い知識を持っておくことが大切です。

新聞やテレビ、インターネットを使ってニュースに目を通し、世の中の情勢を知っておくこと、経済に関心を持つこと。フリーランスであり続けるためには、常に何かを学ぶ姿勢が必要です。そうして自分自身の能力を高めることで、仕事を得やすくなったり、作業効率が上がったりします。

たとえ仕事がなくても、収入がなくても、フリーランスとしてやっていくからには、自分はプロだという高い意識が必要です。自分の能力を過信することは危険ですが、これで生活するのだという気概と自信を持つことも必要です。その道のエキスパートとして、自覚を持って仕事をしましょう。

希望を持ってフリーランスの世界に飛び込んでも、また会社員に戻ってしまう人は少なくありません。フリーランスの世界は自由もありますが責任が重く、大変な世界でもあります。

ただし、全てを一人でこなし、自分の好きな仕事をして人生を切り拓いていくことは、何物にも代えがたい大きな財産となるでしょう。フリーランスという生き方には、ほかでは経験できないほど大きな「学び」があるのです。常に向上心を持ち、一歩ずつ着実にフリーランスとしての道を歩んでいきましょう。