クライアントとの値段交渉のコツ

クライアントとの値段交渉のコツ
値段交渉は、フリーランスの収入に直結する重要なポイントですが、なかなか「この価格で!」と押し切れないのが現実ではないでしょうか。そこで、クライアントもフリーランスも納得できる、そのような価格交渉のノウハウについてご紹介したいと思います。
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フリーランス=代表ということ

フリーランスが顧客(クライアント)と報酬、つまり値段交渉をする上で大切なことがあります。それは、フリーランス自身が交渉の“代表”であるという点です。要は、フリーランスは自分で価格に関する全ての交渉を行わなければならないのです。

当たり前のことかもしれませんが、誰もこの交渉を代行してくれません。ただし、自分はフリーランス・個人、顧客は会社・組織という立場かもしれませんが、支払いと受け取りという点で考えれば、立場は対等だと考えるべきです。

言うまでもなく、値段交渉は他の誰でもない、フリーランス自身の収入に直結します。まずは自分が代表だと言う認識を持って、堂々と価格交渉に臨むべきだと言えます。

金銭的な最終決定者

値段において、金銭的な最終決定者と交渉することは非常に重要なことです。もちろん、具体的な仕事は担当者とすることになりますが、値段については決定権を持った人物が別に存在する場合がほとんどです。それは、会社において担当者の上長・上位に相当する人物であり、課長・部長・取締役などの職位の人が挙げられるでしょう。

値段交渉は、一般的にキックオフミーティング(開始時点)で行われるのが基本ですが、その際に決定権を持った人物の同席を依頼することをお勧めします。価格交渉は最初が肝心です。そこで全てが決まると言っても過言ではありません。金銭的な最終決定者とコンタクトを取ること、それが値段交渉のコツのひとつだと言えます。

なぜ値下げを要求されるのか

見積を提示すれば、多くのクライアントから値下げを要求される場合があります。それはなぜでしょうか?

理由は、予算的な面もありますが、クライアントもリスクを抱えているからです。そのリスクとは、フリーランスが提示した見積通りの金額で依頼して、望むような成果が得られない可能性がある、ということです。つまり、クライアントはそういったリスクを少しでも低減するために、値下げを要求するわけです。

値段交渉においては、フリーランス自身の要求も大切ですが、クライアントの立場・考えを理解することも大切であり、交渉を円滑にするものであることを覚えておいてください。

初期における予算/要件定義の重要性

値段交渉は着手前、初期に行われることがほとんどですが、そこで予算/要件定義についてクライアントと合意を取ることは重要なポイントです。

納品・支払いなどにおけるトラブルは、この予算/要件定義において「思い違い」や「誤解」があったために起きていることが多いのです。だからこそ、初期段階でのこうした確認・合意は、可能な限りしておくべきと言えます。

ここで大切なことは「自分は“A”だと思っているが、クライアントは“B”だと考えているかもしれない」と考えることです。この「かもしれない」について、クライアントとのコミュニケーションを促進させることで、お互いに納得のいく予算/要件定義の合意へとつながっていきます。

また、こうした予算/要件定義を、業務と並行して行うケースもありますが、これはあまりお勧めできません。

途中で変更があることは構いませんが、もし曖昧なまま仕事を進めた場合、交渉がもつれる可能性があるのです。それが、未払いなどにつながるケースも稀にありますので、注意しなければなりません。

暫定でも構いませんから、お互いが合意した予算/要件定義で仕事を始めることを強くお勧めします。

値段交渉の極意

最後に、誰でもできる値段交渉の極意をご紹介いたします。それは「お互いの利益を追求する姿勢」です。

フリーランスは少しでも高い報酬が欲しい、クライアントは少しでも予算を抑えたい。その両方が戦って勝者を決めるのであれば、リスク同士の衝突であり、敗者が生まれてしまいます。

そうではなく、両方が勝者、つまりWin-Winの関係、利益が合致するような方向性を目指していくのです。

そのためには、まずフリーランスが自分の情報や考えを全てオープンにすることが第一歩となります。一般的な相場の話をするのではなく、自分の技術や実績が、クライアントに対しどのようなメリットを生むのかという説明をするわけです。

そして、その価値を生み出すためには、どれだけの費用がかかるかという点を、包み隠さず、正直に話します。

こうしてフリーランス自身の考えを全て示した上で、なぜ予算が厳しいのかをヒアリングしてみましょう。ここまですれば、ほとんどのクライアントの方々は理由を話してくれるのではないでしょうか。

ポイントとなるのは、この次の部分です。腹を割った話ができた後で、「それじゃあ仕方がないですね」とフリーランスが引き下がるのではなく、「さらに予算を乗せることで、成果物により高いクオリティや付加価値を生み出す方法を考えませんか?」という提案をしていくのです。

クライアントのほとんどは、値段交渉において「予算を抑えたい」という想いと、「良い成果物を得たい」という想いの板ばさみに実はなっています。ですから「その問題を解決する方法を一緒に見つけませんか?」と提案し、「お互いの利益を追求する姿勢」を示せば、必ず良い方向へ値段交渉は進んでいきます。

価格交渉もコミュニケーションの一環です。ここでは、相手の立場を考えて積極的に提案をすることが成功の秘訣だと言えるでしょう。

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