【2020年】年末調整の変更点を解説!税金で損をしないための準備を始めましょう

【2020年】年末調整の変更点を解説!税金で損をしないための準備を始めましょう
「年末調整の時期になると慣れない書類作成ばかりで面倒」「毎年制度が変わって混乱する」・・・そんな風に考えた事はありませんか? 年末調整は払い過ぎた税金が戻ってくる可能性もある大切な手続きです。正しく理解して準備すれば案外簡単に片付けることができます。 今回の記事では2020年の税制改正による年末調整の変更点や、準備すべき書類について解説します。「年末調整で何をすれば良いかわからない」という人はぜひ参考にしてください。
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年末調整が必要な人はどんな人?

年末調整 必要?

会社から給与を支給されている人

年末調整とは、従業員が1年間で支払うべき所得税などの金額を計算し、過不足を調整する作業のことです。年末調整が必要になる条件は二つあり、両方とも当てはまる場合は年末調整が必要です。

  • 会社などの従業員として給与を支給されている
  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を会社に提出している

両方の条件に当てはまる場合、バイト・社員・パート・派遣など、すべての従業員が年末調整の対象になります。フリーランスであっても、副業やパラレルワークなどで会社と雇用関係を結んでいる場合は年末調整が必要です。

年末調整の対象外となるケース

ただし、会社に勤めていても年末調整の対象外となるケースもあります。
その場合は2月16日から3月15日までの間に「確定申告」という手続きを行う必要があるので注意しましょう。

1.その年の給与収入が2,000万円を超える
2.災害減免法が提要され、所得税の猶予または還付を受けた
3.アルバイトの掛け持ちなど、2か所以上の会社から給与を受け取っている
4.年の途中で退職した(病気や障害を理由とした退職で、年内の就職が難しい場合を除く)

3の場合の手続きはやや複雑で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している会社で年末調整を受けた後、さらに収入全体にかかる税額を確定申告する必要があります。

従業員を雇っている人

専業フリーランスとして会社に属さず働いている場合、基本的に年末調整を行う必要はありません。ただし、自ら従業員を雇っているフリーランスの場合は、従業員分の年末調整を行わなければなりません。

また、年末調整をした後はその結果を3か所に報告します。「給与支払報告書(源泉徴収票)」を各従業員の住所がある市区町村役場へ、「法定調書合計表」を税務署へ、従業員に「源泉徴収票」を渡しましょう。手続き期限は年末調整の翌年1月31日です。

2020年の年末調整で新設された制度は?

2020年 年末調整 新設制度
次に、2020年から新設される制度について見ていきましょう。

子どものいる所得者や障害のある所得者・扶養親族等に対する調整控除

子育て世帯や介護を行う人に対する措置として、2020年分の年末調整から「所得金額調整控除」という制度がスタートしました。

その年の給与年収が850万を超えている人で、以下の条件に当てはまる場合、給与収入の一部が課税の対象外となり、所得税額が軽減されます

  • 23歳未満(平成10年1月2日以降生まれ)の扶養親族がいる
  • 特別障害者が1人以上いる(本人、生計を共にする妻か夫、または扶養親族)

控除額の計算方法は次の通りです。

給与収入の額が1,000万円以下の場合:(給与等の収入額-850万円)×10%
給与収入の額が1,000万円を超える場合:一律15万円

※補足 給与収入が1,000万円を超える場合では、給与収入額を1,000万円として考えます。

未婚のひとり親が税控除の対象に

2020年の年末調整から、シングルマザー・シングルファザーに対する措置が拡大されました
従来は一度婚姻した後で離婚、死別した人、夫や妻の生死がわからない人が対象でしたが、新たに未婚のひとり親も含めたシングルマザーやシングルファザーへの措置として「ひとり親控除」が設けられました。

ひとり親控除が受けられるのは、以下の4つの条件を全て満たす人です。

  • 年末調整時点で婚姻していないか、夫・妻の生死が不明
  • 生計を同一にする子供がいる
    (他の人の扶養親族・同一生計配偶者ではない+総所得48万円以下)
  • 合計所得金額が500万円以下(給与収入のみなら年収678万円以下)
  • ひとり親に事実婚などの関係にある人がいない

事実婚関係については住民票の続柄が「見届けの夫(妻)」ではないことが要件になっています。ひとり親控除の条件を満たしている場合、35万円が課税対象外として控除され、税額が抑えられます。

ただし、ひとり親控除を受けるためには「令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を書き換えて勤務先に再提出する必要があります。該当する人はひとり親控除を申告する必要がある旨を職場に伝えましょう。

申告書の様式も一新

新たな制度が加わったことにより、従来の「配偶者等控除申告書」の内容も変わり、記載事項が追加されました。新しい書類は「給与所得者の基礎控除申告書 兼給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と言います。

これは配偶者控除の申告欄に「基礎控除」の計算欄と「所得金額調整控除」の状況申告欄が加わったもので、右上に「基・配・所」と記載があります。

基礎控除とは、合計所得金額が2,500万円以下の人全員に適用される控除です。従来は何も書類を提出しなくても会社側で基礎控除を計算してくれましたが、2020年の年末調整からは、原則本人が会社に書類を提出して申告しなければ控除を受けられなくなりました

所得金額調整控除給与収入が850万円を超え、扶養している子供か特別障害者がいる人や、本人が特別障害者に該当する人が対象です。こちらも、何も申告していない場合は控除を受けられません。

「給与所得者の基礎控除申告書 兼給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記入例は国税庁のWebサイトから見ることができます。

2019年の年末調整から変更になった制度とその影響

年末調整 変更になった制度
次に年末調整で変更となった制度と影響を紹介します。

給与所得控除と基礎控除額の変更

年末調整で、ほぼ全ての人に適用されるのが「給与所得控除」と「基礎控除」です。2020年の税制改正ではこの2つの制度が変更されました。それぞれについて詳しく見ていきます。

給与所得控除

給与所得控除とは、1年分の給与の総額に対して決められる所得税の非課税枠のことです。
計算方法は給与収入の金額によって異なり、一般的に給与総額が低いほど非課税となる割合が高くなります。2020年の税制改正によって、給与所得控除の計算方法は次のように変更されました。
給与所得控除
出典:国税庁

年収が850万円以下の人は一律10万円の引き下げが適用されます。また、これまでは給与所得控除の上限額は220万円でしたが、税制改正後は上限が195万円まで引き下げられました。収入が850万円を超える場合は、10万円〜最大で25万円控除が引き下げられます

基礎控除

基礎控除は、所得金額の合計が2,500万円以下である場合に受けられる税控除です。
所得額(収入から給与所得控除額を引いた金額)に応じて一定額が非課税となります。

基礎控除は年収ではなく「所得」によって金額を決定します。年収から給与所得控除所得額の計算は給与収入の額によって異なります。
給与所得 計算方法
出典:国税庁

2019年までは収入の額に関係なく、どんな人でも38万円の基礎控除が適用されました。
しかし、2020年の税制改正では合計所得額が2,500万円以上の人は基礎控除を受けられなくなり、合計所得額が2,400万円より多い人は今までよりも控除額が少なくなりました

一方、合計所得が2,400万円以下の場合は従来より10万円多く控除が受けられます

基礎控除

年収が850万円より多い人は増税になる

給与所得控除と基礎控除の金額が変更されると、どのような人に影響が出るのでしょうか。

まず、年収が850万円以下の場合を考えてみましょう。年収がちょうど850万円の場合、受けられる給与所得控除・基礎控除の額は次のように変わります。

【例:年収850万円の人が受けられる給与所得控除・基礎控除の変化】

 

対象年 2020年〜 2019年まで
給与所得控除 195万円 205万円
基礎控除 48万円 38万円
控除額の合計 243万円 243万円

控除額の合計は2019年までと2020年で変わらないことがわかります。
給与所得控除が10万円引き下げとなりましたが、基礎控除が10万円引き上げられています。
年末調整では給与所得控除と基礎控除の両方が適用されるため、結果的に非課税となる金額には変更がありません

次に、年収が850万円を超える場合を考えてみましょう。
年収が900万円の場合に受けられる給与所得控除・基礎控除の額は次の通りです。

【例:年収900万円の人が受けられる給与所得控除・基礎控除の変化】

 

対象年 2020年〜 2019年まで
給与所得控除 195万円 210万円
基礎控除 48万円 38万円
控除額の合計 243万円 248万円

合計すると2019年よりも控除額が5万円少なくなり、非課税となる給与の範囲が狭まっている(=増税となる)ことがわかります。基礎控除は10万円引き上げられますが、給与所得控除の下げ幅が10万円よりも大きくなったためです。

ただし、年末調整では、年収や給与所得控除、基礎控除以外にも、扶養家族の状況や支払った保険料の有無などによって、他にも様々な控除が受けられます。年収が850万円を超える場合でも、所得金額調整控除など、別の控除制度の対象となる場合は所得税の額が変わらないこともあります。年末調整の前には、自分が対象となる控除がないかどうかを確認しておきましょう。

詳しい所得税の計算方法はこちら

ただし、勤務先からの給与以外に収入がない場合は特に影響がありません。しかし、給与収入のみの人でも850万円以上の所得がある人は実質的に所得税が増税されることになります。

寡婦・寡夫控除の要件変更、特別の寡婦の特例は廃止へ

一度結婚した後で夫や妻と離別・死別した人を対象とする寡婦控除・寡夫控除の考え方も変わります。
まず寡夫控除についてですが、従来の寡夫控除は一度結婚した人が対象でしたが、婚姻歴の条件が廃止され、35万円の控除が受けられる「ひとり親控除」と統合されます。

女性の場合、事実婚関係の相手がおらず、合計所得金額が500万円以下である人に限定して寡婦控除が受けられるようになります。今まで寡婦控除を受けていた人も、対象から外れることがあるので注意しましょう。

また、これまでの年末調整は「扶養する子供がいる」「合計所得が500万円以下である」という条件を同時に満たす寡婦を「特別の寡婦」として取り扱う制度がありましたが、2020年からは他の寡婦控除と統合され、廃止されます。

変更点のまとめ

  • 寡夫控除:ひとり親控除に統合
  • 寡婦控除:要件に「事実婚なし」「合計所得500万円以下」が追加
  • 特別の寡婦:廃止
    • 扶養親族等の所得額の要件が変更

      扶養親族の所得条件も変更されました。また、本人が勤労学生の場合の所得条件も変更されています。

      2020年の年末調整では、これまでの所得条件から一律10万円ずつ引き上げとなりました。
      今まで扶養親族に該当しなかった人も控除の対象となり、所得税を低く抑えられる可能性があります。年末調整時は家族の年収のことも考えておきましょう。

      ただし、給与所得控除額と基礎控除額も同時に変更されているため、家族の収入が給与だけの場合は該当・非該当に影響はありません。

      年末調整のために準備すべき書類を紹介

      年末調整 準備すべき書類

      令和2年分 給与所得者の扶養控除等 (異動)申告書

      「扶養控除等 (異動)申告書」は、年末調整から翌年最初の給料日までの間に、従業員全員が会社に提出するべき書類です。つまり、令和2年分の扶養控除等 (異動)申告書はすでに会社に提出していることになります。

      ですが、年の途中に結婚・離婚した場合や、親や子供を扶養することになった場合など、状況に変更があった場合は書類を書き直して提出する必要があります。

      【扶養控除等 (異動)申告書に記入するべき家族)

      • 妻か夫の合計所得が48万円以下→源泉控除対象配偶者
      • 満16歳以上で合計所得が48万円以下の親族→控除対象扶養親族
      • 満16歳未満の扶養親族

      なお、共働き家庭など家族で二人以上の人がそれぞれ年末調整を受ける場合は、同じ親族を重複して記載することはできませんので注意しましょう。

      また、2020年の税制改正により、ひとり親控除に該当する場合も申告が必要です。申告するには、「扶養控除等 (異動)申告書」を手書きで修正します。
      確認はこちら

      家族の状況に変化がない場合でも、会社側から確認するように指示されることがあります。その場合は、何も変更がないことを伝えて書類を返却しましょう。

      令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書

      従来の「配偶者控除等申告書」に所得金額調整控除と基礎控除の申告欄が追加されました。今年から提出書類に加わった新しい様式で、さらに複数の内容が一体化した複雑な書類です。書き間違いに注意して提出しましょう。

      書類の左上に基礎控除、右上に配偶者控除、下に所得金額調整控除の申告欄が配置されており、それぞれの欄に記載すべき人は次のとおりです。

      • 基礎控除:本人の合計所得が2,500万円以下
      • 配偶者控除:本人の合計所得が1,000万円以下、かつ同一生計配偶者の合計所得が133万円以下
      • 所得金額調整控除:給与収入850万円以上、かつ 本人・同一生計配偶者・扶養親族のうち誰かが特別障害者または23歳未満の扶養親族がいる

      令和2年分 給与所得者の保険料控除 申告書

      この書類は今年中に生命保険や地震保険などの保険料を負担した場合に提出します。
      申告には各種保険料の証明書類が別途必要です。証明書類は10月頃、保険会社から自宅に郵送されます。紛失してしまった場合は早めに保険会社に連絡してください。

      令和2年分 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

      10年以上のローンを組んで住宅を購入・新築・リフォームした場合に適用される税制優遇を受けられる申告書です。ただし、最初の年だけは年末調整では申告せず、確定申告をすることになります。

      マイナンバーを証明できる書類

      年末調整で提出する書類のうち、「扶養控除(異動)申告書」「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」にはマイナンバーを記入する必要があります。

      特に、勤務開始から最初の年末調整や、扶養家族のマイナンバーを初めて申告する際は、書類に記載した番号とマイナンバーが一致していることを職場の担当者に確認してもらわなければなりません

      マイナンバーカードを持っている場合、それを見せるだけでマイナンバーの証明ができます。
      マイナンバーカードをまだ持っていない場合は、通知カードかマイナンバー記載のある住民票の写しに、運転免許証や健康保険証などの身元確認書類を添えて確認を行います。

      年末調整の書類準備は早めに始めよう

      年末調整 書類準備 始めよう
      今回の記事では、2020年の税制改正と年末調整の変更点についてお伝えしました。
      特に大きく変わった点はひとり親控除や所得金額調整控除などの制度新設です

      これまで控除を受けられなかった人も、申告すれば税負担を軽くできるようになりました。自分が控除の対象になるかどうか、勤務先から配られた書類にじっくり目を通して確認してください。
      関連:年末調整に必要な書類

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