トマト箱で人と気持ちがつながる――。宮崎在住のグラフィックデザイナー

トマト箱で人と気持ちがつながる――。宮崎在住のグラフィックデザイナー
ランサーズに登録して、自分らしい働き方を体現している人たち=「ランサー」。たくさんのランサーの中から、活躍目覚ましいランサーを表彰するのが『Lancers of the Year』です。6回目を数える2020年の『Lancers of the Year2020』は、新型コロナウイルス対策のために初のオンライン開催となりました。盛況のうちに幕を閉じたオンライン開催を記念し、受賞ノミネートをされた中からオンラインやメールで取材協力をいただいたランサーの皆さんの軌跡を紹介します。第4弾はグラフィックデザイナーとしてご活躍のそばにgraphica(ソバニグラフィカ)さんです。
LANCER SCORE
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Lancersに出会って――デジタルで人とつながる。そばにgraphicaさんが得た”自由”

グラフィックデザイナーとして、地元・宮崎やランサーズでのデザインの仕事で活躍されているそばにgraphica(ソバニグラフィカ)さん。

ひと頃は都内の企業でも働いていたソバニさんですが、人に揉まれ続けることから自由になりたいと試行錯誤を続けるうちに「自分なりの自由」を手に入れて、今ではフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する毎日を楽しんでいます。

ソバニさんが手に入れた「自分なりの自由」とは――。はるか北海道のクライアントとの温かな交流から、オンラインで自分らしく人とつながれる可能性を見出したソバニさんに、話を伺いました。

当初はピンとこなかったランサーズのサービス

――フリーランスとして活動する前は、パッケージデザインの会社などに勤務されていたと聞きました。

そばにgraphica(ソバニグラフィカ)さん(以下、ソバニ):はい、地元・宮崎の印刷会社などでデザイン業務に就いたのち上京して、大手メーカー向けのパッケージデザイン専門の会社でやはりデザイン業務をしていました。

ランサーズに登録したのは、会社を退職して再就職を検討していたときに通ったIT訓練校で、隣に座っていた方からランサーズというサービスがあることを教えてもらったことがきっかけですね。

ランサーズのサイトを初めて見たときは、従来の公募サイトが先進的なものになったのだろうくらいに捉えていました。登録して数日はコンペ案件を眺めて過ごし、生活費の足しになればと思って提案してみることにしました。

――ランサーズに登録したての頃は、あまりピンとこなかったんですね。

ソバニ:そうですね。今でこそランサーズをフル活用している私ですが、活動のコツをつかむまでは、あまり意欲的に利用していなかったんです。一時はランサーズの活動を休止していたこともありました。

休止を経て、ランサーズのシステムにもう一度向き合うことにしました。少しずつ提案を重ねて、徐々に参画する案件を増やしていくうちに、ランサーズがつくる世界に大きな価値を感じるようになったんです。しがらみとか人物に関係なく、成果物だけを見てもらって、報酬が発生し評価されるランサーズの世界に。

好きなパッケージデザインの仕事が9割

ソバニさんが手掛けたパッケージの数々

――対面だと相手の印象に左右されることがあっても、オンラインでは相手が見えない分、しっかりと成果物の出来で評価してもらえるというメリットがありますね。ソバニさんは、ランサーズではどのような仕事に携わっているのでしょうか。

ソバニ:私はグラフィックデザイン全般に対応していますが、その中でも取り組んでいて楽しいのはパッケージデザインなんです。そこで今ではパッケージデザインに特化して活動していますね。

取り組むコンペ案件の9割がパッケージデザインの案件ですし、直接依頼でいただく案件も9割がパッケージ関連やその販促物です。

以前は食品関連の案件が多かったのですが、今では化粧品関連でも採用いただいています。

――最初からパッケージデザインに絞って活動されていたのですか。

ソバニ:登録した当時は、ロゴやノベルティにパッケージと、取り組める範囲の案件へまんべんなく提案していました。コンペはシビアなもので、最初の頃は不採用の方が断然多かったですね。

そんな中で、会社員時代でも多くの時間を注いできた、自分の好きなパッケージデザインの仕事をメインに活動しようと切り替えました。

自分のデザインを採用してもらおうという姿勢から、「いい意味で楽しもう」という姿勢に変えたんです。無意味にクライアントに媚びることなく、これまでの経験則をふまえて自分らしく表現したものが相手に響くか、検証してみようと思いました。

いま振り返ると、そうした転換が結果として他の人の提案をじっくりと観察する機会となり、自身の成長やスキルアップにつながったのだと思います。

他の人のデザインを見てスキルアップ

ソバニさんが手掛けた化粧品パッケージ

――他の人のデザインをじっくり見ることがスキルアップにつながったのですか。

ソバニ:はい。私はパッケージデザインの中でも食品が得意で、化粧品は少々不得意でした。コンペには化粧品の案件も多くて、他の人のデザインを見て自己研鑽しながら、果敢に提案を重ねてずいぶん化粧品のデザインも勉強できました。

今では私の化粧品の過去提案を見たクライアントが、化粧品パッケージデザインを直接依頼してくださるまでになりました。

4年前に思い描いて、遠い未来のように思っていた状況が現実になっています。

――過去のデザインを見たクライアントは、きっと安心して依頼されているのでしょう。ソバニさんの地道な努力がいま、結実されたんですね。ランサーズの仕事のほかに、地元・宮崎の仕事もされていると聞きました。

ソバニ:はい、やはり地元の仕事でもパッケージデザインをメインにお引き受けしています。例えば雑貨店やオイル専門店の商品パッケージなども承っています。

”トマト箱”でつながった北海道のクライアントからのお礼

北海道のクライアントとのつながりを生んだ”トマトの箱”のデザイン

――ランサーズで活動するなかで、特に思い出深いご経験はありますか。

ソバニ:2015年に再稼働して間もない頃、私が提案した”トマトの箱”のデザインが北海道のクライアントに採用されたことがありました。

あくる日、そのクライアントから「出来上がった箱の仕上がりに感激したので、その箱に自慢のトマトを詰めて送りたい」というメッセージが送られてきました。

後日、きれいに箱詰めされた見事なトマトが届いて、その箱の中にはA5サイズのメモ用紙も入っていました。それは、ボールペンで書かれた手書きのお礼の手紙だったんです。

お互いに顔も声も何にもわからない、デジタルの中で出来上がった仕事だけでつながった世界なのに、こんなにも温かいお礼の言葉を手にすることができるなんて――。

想定を超えた、感動の出来事でした。

そこから私の仕事への姿勢はさらに変わりました。「楽しみながら、しっかりとクライアントに応えたい」という意識が強まって、デザインのアウトプットがさらに人から喜ばれるものへと進化したのではないかと思います。

得られたのは「私なりの自由」

自分の好きな場所で仕事をするソバニさん 撮影: 川原 朋子

――遠く離れた北海道と宮崎。デジタルの中で進んだ仕事から、温かい出会いやつながりが生まれるなんてすばらしいですね。ランサーズの仕事に取り組まれる中で、ソバニさんにとって他にも変化はあったのでしょうか。

ソバニ:そうですね。時間や場所にしばられなくなったのはもちろん、人にも直接会うこともあまりなくなりました。

実は私は、人に揉まれ続けたり、関わり続けたりすることがあまり好きではないんです。仕事上の人とはそれほど会うこともなくなって、ずっと求めてきた「私なりの自由」を得ることができました。

もちろんコミュニケーションが好きで、常に人と対面で関わりたいという方もたくさんいらっしゃるでしょう。それは健全なことですし、社交的な日常も素敵です。

でも私にとっては、そうした関わりはどちらかと言うと疲れを感じるものです。そんな気質の方は私の周りにもいますし、おそらく全国にいらっしゃるでしょう。

そんな方にも、自分らしい働き方や物理的・心理的に距離のとれる働き方を体感してもらいたいです。

――ご自身の特性に合わせて、いかようにも働けるのがランサーズの仕事の魅力なんですね。ソバニさんは今後どのような働き方を追及していきたいと考えていますか。

ソバニ:パッケージデザインにいっそう特化して、商品を包むシーンで課題や悩みを抱えるクライアントに貢献できたら、自分の存在の意義を実感し続けられるかなと思っています。

自宅にこもるだけでなく、これまでも近所や国内外のさまざまな場所で、どんな対応やアウトプットができるか検証をしてきました。さまざまな土地に足を運んで、その土地の商店に置いてある商品や店頭を観察する意図もあります。

移動する範囲や時間による制限を広げて、”時間と場所とシガラミに縛られない極み”をさらに追求していきたいですね。

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