確定申告を昨年退職した方に向け、分かりやすく解説

確定申告を昨年退職した方に向け、分かりやすく解説
確定申告と聞くと、何やら税務署に向け、難しい書類をいくつも提出するというイメージの方も多いようです。特に確定申告未経験の人にとってはハードルが高いものでしょう。そこで今回は、昨年退職し現在求職中の元サラリーマンを例に挙げ、確定申告をわかりやすく説明します。
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確定申告とは払いすぎた税金を、取り戻す手続きです

サラリーマンにとって、税金を取り戻すと言えば「年末調整」がそれに該当します。会社からの指示で扶養控除申告書を記入し、生命保険会社等から送られてきた控除証明書を添付して提出するだけの手続きで、12月(あるいは1月)の給料でいくらか税金が戻ってくる、といった感じでしょう。

対象となる家やマンションをローンで購入したり家族の出産や不慮の事故による入院等がない限り、サラリーマンは確定申告とは無縁の世界に住んでいたことになります。

ただ、昨年退職したサラリーマンで、年内の再就職が決まらなかったなどの理由で年末調整ができなかった場合、今年は確定申告を行なう必要があります。

仮にめんどくさい等の理由で確定申告を行なわなかった場合、損をすることになりますので、宝くじで数億当たったとかいうケースでない限り、しっかり確定申告をしておいたほうが良いでしょう。

なぜ確定申告で払いすぎた税金が戻ってくるのか

サラリーマンの場合、所得税は給与から自動的に天引きされています。その計算方法ですが、まず年間に支払われる給与から社会保険料などの控除金額を計算し、その人の年間の所得税額を「概算で」決めます。

それを毎月の給与から会社が差し引いて、個人の代わりに会社が国に収めているのです。ところが、年の途中で退職すると話が変わってきます。

例えば年間480万円の給与をもらっている人の場合、その480万円に該当する計算方法で税金を算出し毎月天引きしていました。ところが10月末で退職したと仮定した場合、年間給与支給額は400万円となりますよね。

実際は400万円の収入に対して、9月分の給与までは毎月480万円で計算した所得税を納税していたということなのです。考えただけで明らかに払い過ぎでしょう。

しかも、会社の計算では個人加入の生命保険等の控除を算入していませんので、本来年末調整で戻ってくるべき税金分についても払い過ぎのままということなのです。

退職時に受け取った書類は大切に保管しておきましょう

さて、これまでサラリーマンだった人はすべて会社任せで済んでいた税金に関する手続きですが、退職してしまったらそうも言ってられません。すべて自分で手続きを行なう必要があります。

まず、退職後に会社から届いた書類の中に「源泉徴収票」があるか確認してください、これは1年間会社があなたに支給した給与、そして控除対象となる社会保険額などが記入された大切な証明書類です。

これがないと始まりません。もしまだ届いていないという人がいたら、前の勤務先に問い合わせて確定申告の時期までに必ず送ってもらうことをお願いしましょう。

次に、生命保険会社等から届いた控除証明書も大切です。退職して年末調整しないから捨ててしまったという人も私の知り合いでいました。もし、紛失した場合は再発行してもらってください。

なお、退職後にハローワークから失業給付金の支給を受けている人もいるでしょう。この失業給付金は所得税の課税対象外ですので、気にしなくて大丈夫です。

確定申告で払いすぎた税金を取り戻す手続き

このように、昨年払いすぎた税金を取り戻す手続きが確定申告となるのですが、どのくらい戻ってくるかは個々の状況により異なってくるので一概には言えません。

それでも数万円が戻ってくるケースはかなり多くあるようです。さて、まず前章では会社から送られてきた書類等について説明しましたが、それ以外にも用意する書類は多々あります。

まず、退職後は国民健康保険に加入しますが、その際の保険金額が分からなければ支払い証明(納付書など)を用意する必要があります。

次に、戻ってくる税金の入金を希望する金融機関の通帳と印鑑も必要です。これら必要な書類を準備して確定申告の時期に住所を管轄している税務署へ行きましょう。

もちろん、ネット上で手続きが可能な仕組みもあります。しかし、最初の確定申告であれば税務署へ出向き、申告することをお勧めします。職員が丁寧に教えてくれますし、何より税金の仕組みを知る等の自身の勉強になります。

退職して初めてわかる税金の仕組み

このように、確定申告の手続きを進めることで、これまで会社任せだった税金の支払いについてやその仕組み等について、少しは知識がつくことと思います。

昨年退職し、現在無職のサラリーマンにとっては確定申告は税金を払う手続きではなく、税金を取り戻す手続きなのです(一部例外はあります)。

むしろ退職しないと頭に入ってこない知識だとも言えます。税金を取り戻すために、ある意味仕事していた頃よりも熱心に(?)国税庁や関連ホームページを見て勉強したりすることもあるでしょう。

退職を後押しする訳ではありませんが、何事も経験が大事です。一度は自分で確定申告を体験して、税金の仕組みを知っておいたほうが良いのではないでしょうか。

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