名刺のサブリミナル効果 | どうも気になる……
もらった名刺群のなかに、どうも気になる名刺がある。そんな経験はありませんか。個人事業主の方のものだが、どこか「一風変わっている」。そんな印象を残せたら、あなたの名刺は立派な広告媒体です。
色使いだったり、フォントの奇抜さだったり、従来の名刺とは違う「味」が印象に残る。そんなことがあるものです。それはこれまでの名刺文化の集大成に思えます。気になるのが、単にイメージだったら、どれほど凝っても限りがあります。
むしろ、凝りすぎて嫌みになる恐れさえある。個人事業を目指して副業を拡大させていくなら、入り口の名刺という媒体の概念をがらっと変えたらどうか、魅力的なITサービスが多い今の時代、こんなことはできないのか、という提案をしてみたいのです。
情報を載せた名刺があれば……
「IT音痴だから許せる」とのご批判を覚悟で、私は経験に照らしてこんな提案をしてみたい。つまり、名刺と称する広告媒体にこちらの仕事の骨組み、資質、特徴をサンプル化して埋め込めないか、という話なのです。
例えば、物書きなら想像できることですが、自分の書きっぷり、文体、受ける印象など、英語なら英語圏で読まれての親和感がどうかなど、ひと言で説明できない部分を、差し出した名刺から読み取ってもらえれば、こんな有難いことはない。
無精な話とお笑いかもしれませんが、そんな名刺ができるものなら、かくいう私はいの一番で手に入れたい。これは何も物書きに限らない、限らないどころかむしろ映像やデザインの世界での媒体効果のほうが抜群でしょうね。
さらに、音響関係ならさらに効果的でしょう。耳をつければ聞こえるデータなら、名刺交換した場での話し合いに即、弾みがつこうというものですから。
「何も名刺だけでなくても」というご意見は……
こうして書きながら、「そんなことは先刻実現しているよ」というコメントが聞こえるような気がします。実現していないまでも、データは名刺に埋め込まなくても別途提供できる、というご意見も。
確かにそうかも知れない。初対面に及ぶまでのプロセスによっては、たしかに仕事につながるデータをあらかじめ用意して、名刺に添えて差し出せばいいじゃないか。
ごもっともなご意見だが、企業の後ろ盾のない個人事業を目指す身としては、、まずは人間的な「絆」をつくるために、初対面の一工夫が必要じゃないか、とそう思うのです。
初対面の心理を読み取ること
ここで、改めて原点に戻って考えて見ましょう。名刺を交換するという儀式は、初対面のプロトコールです。まして、ここでは個人事業につながる状況での名刺交換ですから、大会社を背負っての話とはまったく別な話です。
第一印象が決め手になることが多い。押しつけがましくなく、なにげなく、さりげなく、初対面のときに重要なキーワードです。交わす話の内容は、差し出した名刺のなんたるかを話したあとは、あなたの側からはもっぱら仕事に関する考え方、姿勢、もっと言えば哲学を語ることです。
お相手は様子からあなたの人間像を、後刻あなたの名刺のデータからあなたの能力と資質を読み取ります。仕事というのは、所詮は人間のつながりだということをお話ししたかったのです。
企業は人なり 名刺文化の裏側
今でこそそんなことはないでしょうが、その昔、履歴書の筆跡が決め手で仕事を取ったり逃したりしたものです。もちろん毛筆で書くんだが、代筆だとあとでばれるので、なんども書き直しては提出したものです。
つまり、まず入り口で毛筆の動きに書いた人物を「読み取ろうとした」ということです。人物を読み取る材料が履歴書の「毛筆力」だった。話が飛躍しますが、企業は人なり、個人事業を企てるにも、こっちの人間を見てもらわなければいけません。
何しろ後ろ盾の大会社があるわけではないから。お相手との接点はすべてが大切。当然、名刺はただの紙切れなんかではない、立派な接点ですから、活かさなければいけません。
一片の紙の名刺がワープロで打った履歴書なら、お話ししてきたデータ入りの名刺、まあデジタル名刺とでも呼びましょうか、これはかつての毛筆の履歴書に匹敵します。
「毛筆力」というデータが入っていた昔の履歴書、その効果は抜群だった。デジタル名刺がもうできているなら、私のお話は座興に終わります。それでも、個人事業を企てる人に名刺の意味を改めてお話できたことに、私は満足しています。少しでも、私の記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。