副業から独立起業の準備マニュアル

副業から独立起業の準備マニュアル
起業はしたい、とはいえいきなりの起業はハイリスクすぎる……。そんな背景からか最近は「副業から起業」というスタイルが主流となっています。副業から起業するためにはどんな準備をしたらよいのでしょうか? 注意点や必要な手続き等について見ていきましょう。
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副業時代にクレジットカード | 独立前には半年分の生活費

副業と独立で大きく変わるのは「収入」です。副業の時点では生活費を確保する仕事があって、傍らで副業を行なうのですから、必要とされる資金には余裕があります。

独立後は生活資金と事業の運転資金の全てを事業で稼ぎ出す必要があります。もうひとつ在職中と決定的に変わるものに「社会的信用」があります。大企業の社員勤続〇年といった肩書きを離れると、途端に社会的信用を失ってしまいます。

独立後は新規のクレジットカード審査も簡単には通りません。健康保険などの社会保障の面では全て自己負担になりますから、その分出費は増える計算となります。

一歩間違えると「お金に困る状況」に陥る危険性は高いということです。資金難や生活苦のリスクを避けるための準備として、

・離職前に事業用クレジットカードを2枚くらい作っておく
・万一の緊急資金として、半年分程度の生活費相当の金額を確保しておく

などが金銭面で困窮しない予防策になります。事業用のクレジットカードは業務に必要な備品購入に使う事で、経理事務の軽減や、私生活と仕事を分けるのに役立ちます。

青色申告はいつから? 副業中か独立後かは取引規模で判断

副業でも事業を行なっていれば個人事業主、個人事業単独の収入が20万円以上なら確定申告が必要になります。個人事業の確定申告は一般の白色申告と青色申告があり、青色申告を行なう場合は前年の3月15日までに税務署に起業届を提出しなければなりません。

以前は「小規模の個人事業であれば白色、本格的に事業を拡張するなら帳簿をつけて青色」等と言われていました。しかし、近年は副業をする給与所得者の増加や、税制の変化から、白色でも記帳義務が設けられ厳格化の傾向があります。青色申告のメリットは

・最大65万円の青色申告特別控除
・配偶者を専従者にできるため節税効果が高い
・記帳の手間は白色と大差なくても10万円の控除が利用できる
・青色から白色への変更には届け出は不要
・赤字の繰り越し、開業費の算入など青色だけの利点がある

などで、経理事務負担が苦痛でなければぜひ利用したい制度ではあります。なるべくなら最初から青色申告を行なうのがベターです。

開業時点でパソコンや机などの耐久消費財を多数購入した場合は、特に有利です。判断に悩む場合は税理士の無料相談などを利用するのが良いでしょう。

副業中・独立直後はオフィス費用を小さく

副業でもある程度軌道に乗ってくると「専用の場所」が必要になってくるものです。独立起業となるとオフィスの必要性は信頼や公私の区別という点からも非常に気にかかるものだと思います。

青色申告の届け出をするにしても事業所の場所を明記することが必要になりますから「オフィスが必要」という考えは自然とも言えます。一方で、オフィスを構えるとなると気にかかるのは家賃や光熱費などの「固定費の支出」です。

副業であれば売上が少ないときは、本業の収入から補てんすることもできますが、独立して一本でとなればそういうわけにはいきません。独立後の事業を安定させるには固定費はできるだけ少ない方が良いのです。

業務内容にもよりますが、一人親方のフリーランサーであれば「自宅兼事務所」として現在の住居の一部を完全に事務所スペースとして利用できるようにするか、あるいは時間制で「客間を月~金の8時間だけ事務所使用」のような方法で利用することで当初は乗り切る方法もあります。

税務上は按分処理で経費計上可能です。レンタルオフィスやコワーキングスペースを上手に利用するのも良い方法でしょう。

独立後はもちろん副業でも名刺と電話番号は区別する

オフィスなどのハコモノと違って「副業でもあったほうがいい」「独立するなら絶対必要」なものは営業アイテムとなる名刺や、連絡先電話番号です。

対面でのやりとりがあまりないような条件の仕事であっても、時間がたつにつれて必ず名刺や電話が必要な場面が出てきます。独立後は配った名刺の数が将来の売上に影響してくると言われるほどですから、できれば副業時代から屋号などを決めておいて独立後も継続的に利用できる形を取れれば理想的でしょう。

副業でも事業用の電話番号があると信用度がアップします。と言っても、かかってくるか来ないかわからないのに、固定回線はもったいないもの。要は専用の番号があれば良いと考えるなら、「MVNO」を使った1万円スマホでも良いのです。

使い勝手はあまりよくないですが、「Fusion CSIP」などのIP電話サービスや、事業用に「Skypeアカウント」を作ってSkype電話を取得するのも一つの方法です。

副業開始~独立前から生活費と事業費は区別するクセをつける

副業を始めた当初は、事業費と生活費の区分なんていわれても「よくわからない」のが普通かもしれません。しかし、副業であっても事業は事業。

できるだけ早打ちから「仕事のお金」と「個人のお金」の区別をはっきりさせるようなクセを付けるようにしましょう。そのためには、

・事業用銀行口座
・事業費用のサイフ

を、副業開始の時に作っておくことが望ましいです。事業用のクレジットカードの引き落としも事業用口座から落とすようにして、給与などの個人のお金と分けて扱います。

給与や預貯金などの個人のお金から事業用に出費するときも、一旦、事業用口座にお金を入れてから引き出すようにすると、なお望ましいです。事業用のサイフは「事業に必要な出費をしたら、必ずレシートか領収書をもらう」クセを付けるために有効です。

独立したら領収書は金券同様に大切に扱わないと、節税効果が上がらずガッツリ税金を払わされることにつながります。

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