ノマドって結局何なの?定義を調べてみる
ノマドの定義を考えてみることにした
『THE LANCER』を読んでいると、よく「ノマド」という言葉を目にします。私は『THE LANCER』を見るまではノマドという言葉の存在さえ知りませんでした。ノマドとフリーランスは混同されがちですが、自分がノマドかフリーランスかということにも興味がありません。
自分の働き方を指して何というのかということそのものにあまり興味がないのです。色々なライターさんがノマドについて書いていましたが、それを読むこともありませんでした。
しかし、今回記事を書く機会を頂き、ノマドという言葉の定義について調べてみたところ、人によって考え方が異なり、何をもって定義とするのか非常に曖昧である感じを受けました。ここでは、様々にある考え方の中でも、最も一般的と思われる定義を考えてみることとします。
ノマドの定義を広辞苑で調べてみる
私の仕事の相棒でもある広辞苑は、ノマドについてこう言っています。「①遊牧民。②流浪の民。定住民に対していう。ドゥルーズとガタリは、ノマドが、空間を分割せず、固定した中心を成り立たせず、また階層性をしりぞけることによって国家的秩序をしりぞける存在であることを指摘。」
「遊牧民」と言われると、モンゴル民族のようなイメージが湧き、また「流浪の民」と言われると、旧聖書におけるモーゼ登場以前の、故郷を追われたユダヤ人のようなものを彷彿とさせます。
しかし、単にそのような解釈を知ったのみでは、現代日本におけるノマドを理解するには不十分な気もします。ノマドのビジネス的解釈を考える必要があるでしょう。
ネットにおけるノマドの定義とは?
ネットでノマドの定義について調べてみると、広辞苑の解釈より発展したものとなっており、多分に現代的解釈が加えられています。ノマドとは遊牧民のことであるとしつつ、同時に「いつも決まった場所ではなく、カフェや公園、顧客のオフィスなどで場所を選ばず仕事をする働き方」としています。
つまり、会社に所属し、いつも自分のデスクで仕事をこなすというのではなく、自分の働きやすい場所で、あるいはその時々で最も都合の良い場所で仕事をこなす働き方であるということです。
働く場所に自由を追求したワークスタイルということができます。ネットで一般に流布している定義は、評論家の佐々木俊尚氏の著書『仕事するのにオフィスはいらない』の中で定義されたものを採用しているようです。
ネットを駆使して場所を問わずに仕事をすること
さらに、現在ノマドという言葉には、単に場所を選ばずに仕事をするということだけではなく、「ノートパソコンやスマートフォンなどを駆使して、ネットを使うことで場所を選ばずに仕事をする」という意味が含まれています。
もし場所を選ばずに仕事をしているだけであれば、まだこの言葉が登場する以前に小説家が温泉地や喫茶店などで原稿を書くこともノマドということができるのですが、当時はまだノマドという概念は存在していませんでした。
あくまでもネット環境が普及し、最近ではスタバやホテルのラウンジなどでも仕事ができるようになってから登場したのです。したがって、現代におけるノマドの定義を考えるに当たっては、「“ネットを使って”場所を選ばずに」という意味が含まれるものと思います。
ノマドという言葉の定義は進化する?
ここまで書いてきて思ったことがあります。はたして、ノマドという言葉の定義を考えることに意味はあるのでしょうか。どうも、私にはあまりないように思われます。
ノマドという概念は、ネット環境が広く流通してから普及したものであり、現代の技術に即した定義となっています。
言葉の語源的意味から汲み取れる定義は変化することがないでしょうが、そこから発展する考えを含めた意味の定義は、今後の科学技術の進歩やそれに伴うビジネスの変化、そして人々の働き方の変化によって異なる解釈が加えられるようになっていくことでしょう。
「自分はノマドワーカーだ、ノマドの定義はこうだ、だからそれに即した働き方を追求すべきだ」などと考えることは無意味で、呼称や定義にとらわれずに自分に合う働き方をしていたら結果的にそれがノマドだった、というような感じがいいのではないかと思うのは、私だけでしょうか。