脳梗塞の父・高齢の母と暮らすために、東京から岩手へ | 在宅ワークの可能性

クラウドソーシングとの出会いは会社員時代
東京から高齢の両親の元に戻ったのは約5年前です。30年ぶりの地方生活には、給与面その他を合わせて正直戸惑うことばかりでした。すぐに正社員の職を得られたものの、当初からそのまま最後まで勤めるというイメージがどうしても持てなかったものです。
おそらくは、現在の状況が予見されたこと、そして退職年齢までいてもその後の人生には何の保障もなかったからでしょう。両親が健在でいるうちは暮らすところも定まっていますが、極寒の北東北にひとりで一生家を守れるとは考えられません。いずれにしても、年金だけで暮らすことは将来的に難しいと思い、早めに在宅ワークの真似事を開始しておけば、きっと将来役に立つだろうという頭でおりました。そんなときに出会ったのが、クラウドソーシングサイトです。
クラウドソーシングで進化していた個人向け在宅ワーク
実は15年ほど前も在宅ワーカーをしていたことがあります。当時は元受の会社を通して仕事を頂いていました。その頃のようなつながりを望めない地方暮らしの現状で、安全確実に仕事を受注できるシステムの存在は、まさにIT時代の贈り物だと感じます。個人で仕事を受注するのにはとにかく不安が付きまといます。報酬の支払いについて確約があり、また多彩な案件を試せるのもクラウドソーシングの魅力です。
私がクラウドソーシングを始めるにあたり「とりあえずできそうだ」、と選んだのはライティングでした。デザインなどにも心惹かれるものがありましたが、何しろフルタイムの仕事の合間に作業するのはとても無理です。文章を書くことであれば帰宅後やすき間の時間にも、コツコツと進めることができます。記事を書く経験はあったものの、クライアントの要求にしたがった仕事をするのは久しぶりです。OJTのつもりで、報酬の多寡にかかわらず地道に続けました。それでも、お小遣いが増える喜びとともに評価をいただけたことが、何よりも励みとなりました。
父の病から退職が契機となり本格的な在宅ワーカーへ
在宅の仕事を始めてから1年半ほどたつ頃に、直接依頼を頂けるようになりました。応募しなくてもお仕事ができるということは、一層の励みと自信になります。ただ本業が忙しく、次第にタイトスケジュールになってきていた時期で、在宅の仕事をこなす時間は増えていませんでした。
契機となったのは、父の2度にわたる脳梗塞です。それまでは家内全般をしきっていた父は、自力で生活することも難しくなり、ついには施設への入所が決まりました。その頃は仕事の忙しさもピークで、入退院から施設への移動は一切親せき任せでした。しかも父が倒れ、救急車で運ばれる事態となっても、当時の仕事がお役所がらみだったため、病院に駆けつける事もできませんでした。また、高齢でひとり取り残されている母のことも心配です。あれやこれやで限界を感じた時、決め手となったのは在宅ワークでも何とかいけるのではないかという思いでした。
在宅ワークで両立した自分の仕事と家族の生活
今、在宅ワーカーになって本当に良かったと感じています。相変わらず父の件で、月に数回は緊急の用件が発生し、そのたびに母ひとりでいたならどうなっていたのかと思うばかりです。母は火の扱いも危うくなっており、食事の支度もすべて私任せです。
父の代役の行事参加もありますが、在宅ワークならば日々生じる雑用をこなしながら、自分のペースで仕事ができます。もちろん会社員時代よりは案件の引き受けも多くなり、業務スキルとしてもかなり向上できているのではないかという充実感もあります。
しばらくご無沙汰していたデザイン系ソフトのブラッシュアップも開始しているので、いずれはロゴ作成などにも応募してみようと考えているところです。本格的な在宅ワーク開始から半年たちました。在職中の給与からはまだやや足りませんが、安定しないまでもなんとか必要経費は賄えている状況です。今後はペースがつかめてきているので、将来に向けて収入の安定と増加を目標に定めています。
在宅ワークでかなえられる未来を伝えていきたい
クラウドソーシングを利用した在宅ワークのよさは、何の準備も要らずにすぐに始められるところだと思います。いきなり起業は難しくとも、私のように仕事をしながらできる案件をこなすことで、どのくらい稼げるのかの目安ができてきます。
いずれは退社を考えているのであれば、早めに手をつけ、最初は金額にこだわらずにとにかく実績を上げてゆくことが良いと思います。また、育児や介護で外に働きに行けない人にも、心強いワークスタイルです。最初は例え月に数千円であっても、マイナスに戻ることはありません。ゼロからのスタートですきま時間を使って積み重ねることが、自分自身へのエールとなります。どんなに小さな仕事であっても、自分だけの社会とのつながりを持つことは、精神的な支えになります。そこで個人的に認められるということが、とても重要だと私は考えています。
クラウドソーシングは、従来ならば素人の参入が無理だった分野にも手を出すことができます。プロかどうかは別として、作品が気に入ってもらえればドアは開きます。夢を持つ人は、在宅ワークとの両輪で可能性が回り出すかもしれません。地方にあって、仕事の単価が大都会と同じであることも魅力のひとつです。
私自身の未来への希望と、両親の生活の解決をもたらしてくれた在宅ワークという働き方の、さらに広がる可能性を強く信じています。クラウドソーシングを最初に知った頃よりも、バックに大企業を感じる案件が増えてきました。シニア枠の仕事も今後大きくなってゆくのではないでしょうか。幅広い世代に告知され、私のように自分と家族の人生の解決につながることを願っています。