1/393の栄冠を掴んだロゴデザイン|ロゴデザインのコンペに勝つヒント2

1/393の栄冠を掴んだロゴデザイン|ロゴデザインのコンペに勝つヒント2
『THE LANCER』ロゴコンペの開催から選考、納品までの一部始終を公開します。どうしてロゴコンペを開催したのか、どんな提案があって、どのような基準で決めたのか。発注者はこうやってデザインを選ぶ、という参考になれば幸いです。
LANCER SCORE
40

発注者の選び方を知れば、勝率アップ間違いなし!?

いまご覧いただいている、『THE LANCER』というメディアのシンボルともなるロゴ。実はこちらは、ランサーさんに作成していただいたんです。ロゴデザインのコンペを開催し、多くの提案をいただきました。想定以上に多数のアイデアが集まり、嬉しい悲鳴をあげながら(正直、大変でした)採用するロゴデザインを決定しています。

発注者がどのような方法・視点で採用アイデアを決めるのか。あくまで『THE LANCER』編集部のケースになりますが、ひとつの事例としてご紹介します。発注側、選定者の思考を知ることで、これからの提案に活かせるヒントが見つかるかもしれません。

※本企画は前編と後編に分かれており、こちらの後編では「募集終了〜採用案の決定」のレポートとなります。

400件ものロゴを、とにかく見る。

ロゴコンペたくさんの提案

『THE LANCER』のロゴを作成してもらうために、ロゴコンペを開催しました。たくさんのアイデアから選びたかったことと、ひとりでも多くのランサーさんに『THE LANCER』というメディアと関わるきっかけを持ってもらい、一緒につくっていきたいと思ったからです。

1週間という短いコンペ期間ながら、驚きの393個もの提案をいただきました。正直、戸惑いが隠せません。「3桁の提案が集まったらすごいね」などと話していたのは、つい1週間前のこと。蓋を開けてみれば、400個近いロゴが集まってくるとは。

改めて、クラウドソーシングの威力を実感し、ランサーズに登録くださっているランサーさんのスピード&クオリティに感動しました。

「たくさん集まってよかったねー」と笑って終わりにできれば、どれだけ楽だったでしょうか。でも実際には、『THE LANCER』のシンボルとなるロゴを、たったひとつだけ選ばなくてはいけない。393個のどれもに、ランサーさんの考えや技術、ひらめき、努力、制作時間が詰まっているわけです。壁に貼りだしてダーツで決める…などという愚行は許されません。

編集部のメンバーは散り散りになり、それぞれがすべての提案に目を通すことになりました。翌日の同じ時間、同じ場所に集合。各自が気に入った10案とその理由を持ち寄ることになりました。

393個のすべてに目を通し、提案内容を熟読し、どれが『THE LANCER』のシンボルとして相応しいのかを決める。不眠不休も辞さない覚悟で、初回の選考会は終了しました。

素人がデザインを選ぶと、主観のぶつかり合いになる。

ロゴ選考会2日目。それぞれが「良い」と思ったロゴをスプレッドシートに入力して、全員で「あーだ、こーだ」言う時間になりました。5名で10個ずつを持ち寄るので、最高で50個までに絞られます。個人事の選考によって予選を通過したのは、41個のロゴ。9個については、復数の編集部員が選んだことになります。

ひとつもかぶらないよりは良かった。でも、まだ41個も候補に残っているのです。ここから、全員で一つひとつのロゴをつぶさに見ていきます。393個から選ばれた41個ですから、実際のところはどれも素晴らしかった。提案を見るたびに全員から「あー、いいねー」という声。

自分の選択した物ではなくても、良いものは良かったのです。ただ本音を言うと「いいねー、じゃねーよっ!決まらないだろ……」という気持ちもありました。。。

なかなか決まらない選考会。時間だけが過ぎていきます。やはりデザインに関しては素人が集まっているため、完全に好みでしか判断ができません。他人の意見にも存分に左右されます。これは危ない。そこで、もう一度基本に立ち返ることにしました。

依頼文章と補足資料を見直し、自分たちがロゴに込めたかった想いはなんなのか。素人ながらイメージしていたデザインの方向性はどれだったのか。確かに提案を見て「素敵だな」と感じるものばかりでした。でも基本に立ち返り、依頼内容との相違があるかを確認。明らかに違っていても、こちらの想定を超える提案だけを残していく作業に移ります。

二次選考として、41個のアイデアから30個前後まで絞られました。この30個に対して、もう一度、それぞれが自分の票を投じることに。一人5票と決めて、三次選考開始です。ここまで、かれこれ一時間半が経過していました。

デザイン選びで意識した、5つのポイント。

ロゴコンペ選考

三次選考までで気がついた、発注者側の選び方のポイントを整理してみます。

第一に、メデイアのロゴとして仕様できるクオリティになっているか。ほとんどすべてが素人にはつくれないデザインでした。数少ない、これは自分たちでもつくれる、メディアのロゴとして使うにはもう一歩、というものは最初の段階で除外されていたように感じます。

第二に、既存の他社サービスをイメージしないかを確認。提案いただいた中には、オリジナルでありながらも、既存の他サービスを想起するものがありました。使用している中で「このロゴって◯◯みたいだよね」と言われるのは避けたく思い、勘違いされる可能性のある提案は除外させていただいています。

また、他の提案者と近しいコンセプト、イメージでの提案をいただくことも。そんなときに受ける印象として、後から出した提案は「昨日のあれに似てるな」というもの。似たようなアイデアの場合、最初にいただくほうが印象に残ります。ただし先のイメージを超えるような、直感的に素敵と思える提案をいただくと、近しいイメージの代表案として記憶に残っていきます。圧倒的なスピードで出すか、圧倒的なクオリティで出すか。選考材料のひとつとなりそうです。

第三に、デザイン以外の提案内容を吟味する。どのような想いを込めて、どんな意図があるのかを丁寧に提案してくださるランサーさんが多かったです。一つひとつ「なるほどー」という納得できるものや、新しい視点をいただくことができました。

第四に、ランサーさんの実績とプロフィールを見る。良いと感じる提案をくれたランサーさんに対して、提案内容ではなく一人のランサーさんとしての興味がわきます。どんな実績がある人なのか。得意な仕事は何なのか。過去の発注者とはどのようなやりとりをしていたのか。編集部には「一緒につくる」という意識が高かったため、ランサーさん個人にも興味を抱いたわけです。

他の依頼者がどう捉えるかはわかりませんが、少なくともプロフィールを充実させておくことに損はありません。受注した場合や提案する場合には、依頼者と丁寧で真摯なやりとりをなさっていると好感度が上がります。

第五に、依頼した内容から逸脱していないかをチェック。三次選考を通過した提案の中には、依頼していた内容と外れるものもありました。でも、「こちらの依頼が間違っていたんじゃなか?」と思えるほどの納得いく提案だったケースのみ。基本的には依頼内容で定義したレギュレーションが守られているかも重視しました。

あまりに乖離した提案を選ぶと、依頼内容に対して信用されなくなると思ったからです。また、依頼段階で自分たちの意志は固めていたので、そこから大きくブレることはありませんでした。

以上の五点が、選考する際に意識していたことになります。やらないとマイナスになるわけではありませんが、デザインの使用方法まで提案してくださると好評価でした。実際の使用シーンを想像できるロゴ使用イメージを画像にしてくださるなど、提案内容・見せ方への工夫。「名刺に入れてもいいね」「こういうキャップやTシャツなどのグッズにするのも面白い」と盛り上がれるイメージ付きの提案をいただく場合もあり、プラスの効果があったと感じています。

393個から選ばれた、たったひとつのデザインが決定!

三次選考を通過することになったのは、10個の提案でした。ひとり5票を投じた選考により、上位10個に絞られたのです。厳選に厳選を重ねられた10のロゴデザインたち。ここから採用させていただく、たったひとつの提案を選ぶことになりました。

10個の提案を、改めて丁寧に読み込んでいきます。一つひとつに意見を出し合い、自分たちの想いとの接点を見つける作業です。それぞれの提案に対して議論を行ない、徐々に全員の意見が同じ方向に向かっていきます。30分が経過した頃、10個の提案が5個まで絞られました。

ここまで来ると、どれが採用されてもおかしくない状況です。5個からひとつを選ぶというよりも、5個から4個を落とすという、何とも苦しい作業が発生しました。

「これはアイコン部分が良いけど、文字の部分はあっちのほうが良いだよね」「アイコンと文字のバランスはすごく良い。でも他のと比べるとインパクトに欠けるんじゃない?」「え?っていうかインパクトなんて求めてなかったよね」「シンプルなのが良いよ、ジョブズも言ってた気がするし」「素人ってシンプルが良いとか安易に言うよね」「安易って言うなっ!」「安易でしょ。だいたい君は日頃から……」「それはいま、ぜんぜん関係ねーじゃんっ!」「はいはい、落ち着いてくださーい」

少しだけ、編集部の空気が悪くなりました。それもこれも、提案されたデザインがどれも良くて、選べないほどのクオリティだったせいです。

喧々諤々とした議論の末、ついにたったひとつのロゴが決定しました。選ばれたロゴが、じゃじゃじゃーーーん。こちらのデザインになります(既にメディアで公開されていますが)。

採用されたロゴ

いかがでしょうか。『THE LANCER』という文字の視認性が良く、書体もシンプルでありながら、太すぎずも力強さを感じました。アイコン部分では、『THE LANCER』の「L」をモチーフにして「形式張らない、自由に選べる道」を表現していただいたそうです。

このようにして、約2週間におよぶロゴコンペは幕を閉じました。採用報酬の1案、参加報酬の10案を選定し、ランサーさんにご連絡。採用案については、アイコン部分の「L」を細くする修正をお願いし(しかも何度も何度も、都合9パターンもお願いしてしまいました…)、無事に納品していただきました。

今回ご紹介したのは『THE LANCER』のロゴを選ぶ際のポイントと流れ、現場の様子。他のコンペ案件は異なる選考を行われているかもしれませんが、ひとつの事例として参考にしていただけたら幸いです。

最後になりましたが、393個ものご提案をいただき、ありがとうございました。今回は厳選なる選考の上で、採用案を決定しています。これからもデザインや記事ライティングなどをランサーさんに依頼して、このロゴとメディアを一緒に育てていきたいです。引き続き、『THE LANCER』をよろしくお願いします。

RECOMMEND
関連記事