TikTokを検討中のマーケティング担当者の多くは「若者向けだから自社のサービスとは合わない…」と考えているのではないでしょうか?実は近年、TikTokを取り巻く環境は変化しています。ユーザーの多くがITリテラシーや購買力の高い層なので、ビジネスで活用するのがおすすめというわけなのです。
この記事を読めば、TikTokがマーケティングに向いている理由がよくわかり、効果的に運用できるようになります。本記事では、TikTokをマーケティングに活用する理由、その手法や投稿のポイント、戦略の立て方について解説します。

目次
TikTokをマーケティングに活用する5つの理由
TikTokは、中国のByteDance(バイトダンス)社によって運営されているショート動画プラットフォームです。日本で2017年にリリースされたTikTokは、アプリ上で動画撮影・加工・投稿が簡単にできるとあって、若年層を中心に認知度を高めています。
2023年1月現在、TikTokはすでにプラットフォームとして定着しており、マーケティングのために利用をスタートさせるには絶好のタイミングです。ここでは、なぜTikTokをマーケティングに活用すべきなのか、その理由を次のとおり5つご紹介します。
- AIに強みのある中国のByteDanceが運営
- 流行中なのに競争相手がまだ少ない
- 情報が拡散されやすい
- 消費意欲の高いユーザーがTikTokには多い
- ユーザーがTikTokのレコメンドを信頼している
さまざまなSNSの中でも、特にTikTokがもつ特徴を把握するためにぜひ参考にしてください。5つの理由について、詳しく見ていきましょう。
1. AIに強みのある中国のByteDance社が運営
TikTokを運営しているのは、2012年に創立されたByteDance社です。AIに強みのある中国の企業であり、データサイエンスの精鋭を集めて、機械学習などの分野で研究開発を繰り返してきました。このAI分野における研究開発の成果が、TikTokの運営に活かされています。
マーケティング動画を配信する立場になったら、できるだけ多くの視聴者に観てもらうための施策が必要です。しかし、TikTokならAIが「おすすめ」として視聴者に届けてくれるので、動画の品質の良し悪しにかかわらずある程度の回数は再生される仕組みになっています。
そのため自社の動画が、「人の目にまったく触れない」という事態を避けられるわけです。数字を出すことが求められるマーケティング担当者にとっては、TikTokは取り組みやすいプラットフォームだといえるでしょう。
2. 流行中なのに競争相手がまだ少ない
ユーザー数が伸びている一方で、マーケティングでTikTokを活用できている企業はまだまだ少ないのが現状です。世界的に流行中でありながら、TikTokは他のSNSと比べると競争相手が少ない点を押さえておきましょう。
動画を投稿できるプラットフォームとして、他にYouTubeやTwitter、Instagramなどが挙げられます。しかし、参入者が非常に多いため、今から新しく参入してもチャンネル登録者数を増やして影響力を拡大するのは難しい状況です。
つまりライバルの少ないTikTokなら、新規にマーケティング利用を検討している企業にもビジネスチャンスがあるといえます。
3. 情報が拡散されやすい
TikTokは、アプリを立ち上げると動画が流れてくる仕組みです。アプリ内でのユーザーの行動からAIがおすすめ動画を表示させるために、情報が拡散されやすいという特徴があります。テレビをつけるとテレビCMを目にするのと同じような状況が、TikTokでは起きているというわけです。
また動画の質が高いと見なされると、自社のフォロワー以外のタイムラインにも表示されます。そのため、自社を認知していないユーザーにも情報を届けられる可能性が高いといえるでしょう。
一方、YouTubeや雑誌などのメディアにおいては、視聴者や読者が自分で検索するなどしてコンテンツを選ぶ必要があります。またTwitterやInstagramにおいては、拡散力や拡散のスピードに影響を与えるのはフォロワー数です。
TikTokなら、知名度がなくフォロワーがまったくいない状態からでも、多くの視聴者に向けて自社の動画が表示される可能性があります。
4. 消費意欲の高いユーザーがTikTokには多い
博報堂の「コンテンツファン消費行動調査2021」によると、TikTokは依然として若年層に強いプラットフォームです。しかしTikTokユーザーの平均年齢は34歳であり、ティーンエージャーが利用しているエンタメ系アプリという認識は過去のものといえるでしょう。しかも2019年以降、毎年、平均年齢は上昇していることが分かっています。
また注目すべきは、TikTokユーザーのITリテラシーは高く、コンテンツへの支出に積極的だという点です。実際に近年では、情報拡散による「TikTok売れ」が話題になることもあります。TikTokユーザーの多くは消費意欲が高く、決済サービスなどにも関心が高い点も見逃せません。
5. ユーザーがTikTokのレコメンドを信頼している
TikTokでは、検索をしなくてもアプリを立ち上げるだけで思いもよらないコンテンツに出会える「おすすめ視聴」が人気です。しかも、このレコメンド機能を通じて提供されるコンテンツに対して「予想外の出会い・発見」だとポジティブにTikTokユーザーは捉える傾向があります。
TikTokのレコメンドへの信頼が高いことから、たとえコンテンツが広告であっても、受け取りやすい環境になっているというわけです。
マーケティングで活用する際の注意点3つ
ここではマーケティングにおいてTikTokを活用する際の注意点について、次のとおり3つご紹介します。
- 売り上げに直結する施策はとりにくい
- 炎上リスクがある
- 音楽利用時には著作権に配慮する
では、それぞれの注意点について見ていきましょう。
1. 売り上げに直結する施策はとりにくい
商品購入やサービスの申し込みといった、コンバージョンに直結する施策はとりにくい点が挙げられます。ユーザーとの距離感が近いTikTokは商取引という感覚が少ないプラットフォームなので、販売よりは集客向きだといえるでしょう。
そこで売り上げにつなげるには、Instagramと連携させたりECサイトへの導線を確保したりすることが重要です。つまり投稿した動画がTikTokで注目を集めたからといって、すぐに売り上げに反映されるとは限りません。TikTokユーザーと自社の商品・サービスとの親和性を高めるためにも、動画の再生回数を伸ばしてフォロワーを集める地道な施策が必要です。
2. 炎上リスクがある
TikTokだけに限りませんが、SNSを活用したマーケティングでは炎上のリスクがあることも十分に理解しておく必要があります。TikTokで炎上が発生すると、企業イメージの悪化やブランド毀損(きそん)が起こりうるからです。また事態をうまく収束できないと世間から大きな反発を受け、クレームが増えたり売り上げが低下したりする恐れもあるでしょう。
炎上の原因になりやすいのは、配慮に欠けた誤解を招く発言などです。炎上対策はTikTokの運用担当者だけに任せきりにするのではなく、あらかじめ社内で運用ルールやコンセプトを決めておくようにしましょう。
3. 音楽利用時には著作権に配慮する
TikTokで配信する動画に、流行に応じたBGMを採用したいからといって音楽を無断使用すれば、著作権の侵害にあたります。TikTokで楽曲を利用する際には、著作権を侵害しないように十分に注意してください。
後述しますが、自社のビジネスアカウントを運用して投稿をする際には、膨大な「商用楽曲ライブラリー」の利用が可能です。JASRACなどから公式に提供されている楽曲ばかりが揃っています。商用楽曲ライブラリーの音源を動画のBGMに使用していれば、基本的に問題は生じません。
TikTokでマーケティングを実施する手法3つ
誰でも気軽にショート動画を投稿できるTikTokですが、企業が活用できるマーケティング手法にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは企業のマーケティング部門の担当者向けに、次の3つの手法をご紹介します。
- ビジネスアカウントを開設して自社で情報発信
- TikTok広告に出稿する
- インフルエンサーを起用する
それぞれの手法について見ていきます。
1. ビジネスアカウントを開設して自社で情報発信
自社でTIkTokを利用してブランドの認知度を向上させたいなら、個人アカウントではなくビジネスアカウントの開設がおすすめです。ビジネスアカウントなら、マーケティングに必要な次のような機能を使えるようになります。
- フォロワーを分析できるようになる
- 直接フォロワーと連絡ができるようになる
- ウェブサイトリンクに自社サイトを記載できるので、動画視聴後の導線を確保できる
分析ツールを活用して、ターゲット層・戦略の見直しや動画の質の向上に役立てましょう。また必要に応じて、個人とビジネスのアカウントをいつでも切り替えることが可能です。切り替える際に、承認手続きなども特に必要ありません。
2. TikTok広告に出稿する
まだ参入企業が少ないTikTok広告(TikTok For Business)は、ユーザーからの広告に対する嫌悪感が少ない点がポイントです。TikTok広告は、次の2種類に大別できます。
- オンライン運用型広告
- 純広告
オンライン運用型広告は、いわゆるセルフサービスの広告です。TikTokの広告アカウントを作成してツールを使えば、少ない予算からでも自社で広告を運用できます。
一方の純広告を出稿するためには、TikTok for Businessの担当営業に問い合わせをしなくてはいけません。主に次のような広告の種類があるので、目的に合わせて最適なソリューションを選びましょう。
TikTok広告でできること | 広告の種類 | 特徴 |
---|---|---|
商品やブランドの認知獲得 | ・TopView ・起動画面広告 ・Brand Premium ・One Day Max | ・左記はリーチプロダクトとも呼ばれ、よりユーザーの興味を引くためにTikTokクリエイターを起用することも可能 |
第三者の声による情報拡散 | ・ハッシュタグチャレンジ | ・「共感」と「参加」を促すTikTokならではの広告 ・自社で独自のハッシュタグを設定し、そのハッシュタグを活用した動画をユーザーが制作することで認知度を高める ・消費者自身が制作する「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」が生まれやすいとして注目されている ・多様な目的やフェーズで効果的に使える手法 |
デジタルでの疑似体験 | ・ブランドエフェクト | ・2D、3D、ARなどに代表されるクリエイティブコンテンツを配信できる ・没入感があり、ブランドの世界観や機能をユーザーに体感的に提供できる手法 |
3. インフルエンサーを起用する
TikTokerと呼ばれるインフルエンサーを起用して、フォロワーへの影響力を活用することも検討しましょう。インフルエンサーにPR投稿を行なってもらうことで、数万人規模で確度の高い見込み客へアプローチできます。
これはインフルエンサーとフォロワーの間にある、「ファン」あるいは「推し」と呼ばれる関係性を活用する手法です。ただしTikTokでは、他のSNSのようにインフルエンサーのフォロワー数が再生数に直結するわけではない点も知っておきましょう。
インフルエンサーの選定の際には依頼する目的を明確にし、自社商品・サービスと親和性が高いかどうかを慎重に見極めることが大切です。
動画投稿時に意識したい3つのポイント
マーケティングを成功させるためには、自社の動画が拡散されることが重要です。ここでは、動画投稿時に意識したい3つのポイントを次のとおりご紹介します。
- アルゴリズムによる評価も意識する
- 一般のユーザー目線の投稿を意識する
- 他の集客チャネルへの導線を確保する
ではそれぞれのポイントについて、見ていきましょう。
1. アルゴリズムによる評価も意識する
「おすすめ」フィードに表示されると、多くのTikTokユーザーに動画を視聴される機会が増えます。そのためTikTokのアルゴリズムに評価され、おすすめに表示されることを意識しながら動画を制作することが重要です。
質の高い投稿だとAIが判断する基準は、主に「多くのTikTokユーザーが反応している」「視聴時間が長い」の2つが考えられます。つまり「おすすめ」フィードにレコメンドされやすい動画は、次の要素をクリアしているのです。
- 再生完了率が高い
- 「いいね」「コメント」「シェア」など多くの共感を得ている
- ハッシュタグが適切に設定されており多くの視聴者を集めている
SNSの運用が初めてで相談に乗ってくれる人を探しているなら、SNSマーケティングのコンサルティングをフリーランスに依頼してみてはいかがでしょう。フリーランスとタイミングがあえば、TikTok運用時の疑問点を即日解決してもらえるかもしれません。
2. 一般のユーザー目線の投稿を意識する
独自性のある面白い動画づくりはもちろんですが、一般ユーザー目線で制作しましょう。TikTokユーザーに広告だと意識させないように、コンテンツを通して体験を提供するという観点で動画を投稿することが大事です。
TikTokでは一般的に親しみやすいコンテンツが好まれ、ユーザーが「お気に入りや推しをベースに他者とつながっていく」傾向にあります。そこで、あまり公式感がでないように注意して、短い尺の中で「面白さを表現する」ことが重要です。
どうすれば、動画を観るなどのアクションをTikTokユーザーが起こしてくれるのか。この点を考えて、ぜひ工夫を凝らしてみてください。動画広告制作に迷ったら、スキルの高いフリーランスに依頼するのも1つの方法です。
3. 他の集客チャネルへの導線を確保する
TikTokは、圧倒的な拡散力が魅力です。そこでブランドの認知を拡大することを目的に、動画を投稿したり広告を出稿したりしましょう。重要なのはプロフィールにブランド公式サイト、Instagram、TwitterやYouTubeなど他の集客チャネルへの導線を確保しておくことです。
誘導先をチェックするメリットをプロフィール文に記載したり、「続き」を見たくなるような動画の終わり方にしたりしてみましょう。ユーザーにしてほしいアクションを具体的に促すCTA(Call To Action:行動換気)は効果がありますので、動画内でぜひ実践してみてください。
TikTok運用時のマーケティング戦略の立て方
ここでは、TikTok運用時のマーケティング戦略の立て方について見ていきましょう。
マーケティングの目的を明確にする
マーケティングと一口にいっても、さまざまな目的があります。例えば、次のような目的のことです。
- ブランドイメージを向上させたい
- ブランドへの親しみを感じてもらいたい
- ブランドの知名度を上げたい
- 自社のECサイトでの販売促進につなげたい
それぞれの目的によってアプローチの方法は異なるので、どのような目的でTikTokを活用するのかをまず明確にしましょう。
ビジネスアカウントのコンセプトを綿密に設計する
自社のビジネスアカウントを運用する際には、アカウントのコンセプトを綿密に設計した上で運用を始めるようおすすめします。「誰に向けて配信・提供するものなのか」という詳細なターゲット選定は、ビジネスアカウント運用の要です。
視聴者の年齢層をはじめ、場合によっては住んでいる地域に至るまで細かく入念に定めることで、特定の層に強く響く動画を制作できます。その結果、ユーザーの視聴時間が長くなりフォロワー数などの増加につながるというわけです。
ライバル企業が配信しているようなら、コンテンツの種類や再生数の伸びを調査して自社アカウントのコンセプト設計に役立てるといいでしょう。
「TikTok売れ」を前提に商材を設計する
自社の商品やサービスのネーミングの段階から、「TikTok売れ」を目標に掲げてコンセプトを設計することも検討してみましょう。TikTokと自社の商材の相性がよいことも、設計段階で考慮しておく必要があります。
自社の商材に関連した動画がユーザーによってどんどん作られて、ハッシュタグ付きの動画が拡散されるために必要な要素は何か、「TikTok売れ」の成功イメージを膨らませて細かな点を詰めていくことも試してみてはいかがでしょう。
TikTokでマーケティングを始めよう
TikTokのビジネスアカウントは投稿動画を分析できることから、TikTok経由で集客をしたい企業におすすめです。マーケティングにTikTokを活用すればブランドの価値を高められるので、ビジネスの成長につながります。
今後もTikTokはアップデートを重ねて、マーケティングツールとしても人気がでることが予想されるプラットフォームです。早速ビジネスアカウントを開設して、マーケティング施策を展開してみてはいかがでしょう。
動画制作や運用にまつわる支援が必要な際には、フリーランスとのコラボも検討してみてください。
