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なぜ中小企業の求人に応募が来ないのか |【採用に悩む原因と解決策とは?】

都心・地方に関わらず、中小企業は求人応募がなかなか来ないため、採用に頭を悩ませることもあるのではないでしょうか。採用で悩まれている方のために、人手不足の現状や採用に苦しむ原因、現状を改善するために取り組むべき3つのポイントをご紹介。人手不足の解消は、職場の改善やリモートワークの導入、フリーランスの活用がカギです。つまり、応募数が根本の採用課題ではないのです。あわせて地方や中小企業のフリーランス活用事例もお伝えします。

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応募が来ないのは、「人手不足」という社会動向が影響

人手不足

人手不足が叫ばれる昨今。実際、どのようなことが起きて人手不足となっているのでしょうか。人手不足の現状について整理していきます。

動向1:労働人口は減少している

日本における15歳から64歳の生産年齢人口は、1995年の約8,700万人がピーク。
以降年を追うごとに減少し、2015年の地点では約7,700万人となりました。
今後は15歳から64歳までの生産年齢人口がさらに減っていくと予想されています。

就業者を10歳ごとに比較し、平成7年(1995年)と平成31年・令和元年の12月地点の男女25歳~65歳以上の就業者の変化は、次の通りです。

年数25~3435~4445~5455~6465歳以上
平成7年
12月
1,289万人1,323万人1,597万人983
万人
432
万人
平成31年12月1,109万人1,385万人1,596万人1,168万人929
万人

総務省統計局 労働力調査 長期時系列データ a-2 就業者【年齢階級(10歳階級)別】より

男女の25歳から34歳までの若年層の就業者は減少しているのに対して、
35歳以上の就業者数はここ20年で増加
特にシニア世代の就業者数は25年で500万人近く増えています

男女別の人数の変化は次の通りです。
<男性>

年数25~
34
35~
44
45~
54
55~
64
65歳
以上
平成7年
12月
809
万人
797
万人
931
万人
609
万人
270
万人
平成31年
12月
610
万人
770
万人
871
万人
655
万人
548
万人

<女性>

年数25~
34
35~
44
45~
54
55~
64
65歳
以上
平成7年
12月
402
万人
526
万人
665
万人
375
万人
163
万人
平成31年
12月
498
万人
615
万人
726
万人
513
万人
380
万人

総務省統計局 労働力調査 長期時系列データ 【月別結果―全国】a-2 就業者【年齢階級(10歳階級)別】より
男性と女性の就業者数の変化をここ20年で見ると、男性は54歳までが減り、55歳以降が増加。
対して女性は、全体的に就業者数が増えてきています

生産人口は減っているものの、シニア世代や女性の就業者数は増加傾向にあるのです。

動向2:地方から大都市圏への流出と少子高齢化

現在の日本は少子高齢化が進んでおり、若年層の数はより一層減っていく見込みです。
また若年層が一定数いても、地方の若者は大都市圏に流出する傾向があります。

地方の人手不足は、需要のある若年層が都市圏に流れるだけではありません。
地方に残った若年層は各地域で人気の企業や業界に集中。
各企業は少ない若年層を求めて、熾烈な人材獲得争いが行われています。

結果、求人を出しても応募すらない企業もあるほど、地方の人手不足は深刻です。

結果:中小企業は特に求人応募数が少ない

中小企業がどれくらい人手不足となっているのか、2019年3月卒の求人倍率を会社の規模数別に見てみましょう。

会社
規模
300人未満300~
999人
1,000~
4,999人
5,000人以上
求人
総数
462,900人156,200人143,000人51,400人
民間
企業希望者数
46,700人109,100人137,600人138,800人
求人
倍率
9.91倍1.43倍1.04倍0.37倍

リクルートワークス研究所「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」より

求人倍率は求職者1人に対して、どれだけの件数の求人があるのか表すもの。
(有効求人数÷有効求職者=求人倍率)1よりも多い場合は人手が不足しており、反対に1を下回る場合は就職が難しくなります。

中小企業の定義は業種によって異なりますが、300人以下が当てはまります。
求人倍率9.91倍の中小企業は求職者よりも求人数が多く、人手不足が顕著です。

各業界ごとの人手不足状況

人手不足

中小企業のほとんどが人手不足を痛感する中、業界ごとの人手不足の状況はどうなっているのでしょうか。
各業界の状況をみていきましょう。

業種建設業製造業流通業金融業サービス・情報業
求人総数89,800人279,400人341,900人10,900人91,500人
民間企業希望者数9,400人141,600人27,200人52,500人201,500人

リクルートワークス研究所「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」より

金融業やサービス・情報業は求人総数をはるかに上回る希望者がいるのに対して、建設業・製造業・流通業は求人数の方が多いのが現状です。

建設業や製造業、流通業は人手不足が顕著といえるでしょう。

なぜ、中小企業に求人応募しないのか?

プレゼン

実際に地方や中小企業が採用で苦しむ原因はどんなところにあるのでしょうか。
地方や中小企業が採用に苦しむ原因について解説していきます。

応募しない原因1:
地方・中小企業の賃金では、働きたいと思えない

まず、地方や中小企業は、大企業に比べると資金が豊富にあるとはいえないでしょう。
会社経営のための資金を捻出するのが難しく、人件費を抑えるために賃金が多く出せない企業は少なくありません。
そのため、働く側にとって思うような賃金を支給していない企業が地方や中小企業で多くみられます

従業員にとって納得のいく賃金がなければ、生活は成り立ちません。
その結果、支給できる賃金が少ない企業に人は集まらず、採用が困難になります

賃金が低いと人が集まらないだけでなく、職場に定着しないことも。
働きたいと思える賃金がもらえなければ現状よりも待遇のいい会社に移るのは当然の流れ。
従業員が定着しないことも、人手不足の原因となります。

応募しない原因2:
地方や中小企業だと雇用が安定しない印象

就職希望者が企業を選択する際、安定を一番に考える方が多くなっています。
昨今では新型コロナの影響もあり、安定した会社へ就職したいと考える方はより増えるでしょう。

その結果、ネームバリューがあり安定したイメージのある大企業に就職希望者が殺到
一方地方や中小企業は、ネームバリューのなさから安定する要因が見えず選ばないという方は少なくありません

実際は雇用が安定していても、名前が知られておらず地方や中小企業は会社が倒産するかもしれないというマイナスイメージを抱いてしまい、敬遠される場合もあるのです。

応募しない原因3:
中小企業は業務量が広く多い

中小企業は業務範囲が広く、一人当たりの業務が多くなる傾向があります。
分業制の大企業との大きな違いです。

地方や中小企業のように規模の小さな企業がギリギリの人数で仕事を回していても、ひとたび人手不足に陥ればさらに業務量が増えてしまいます。

残った従業員にしわ寄せがいき負担が増えるだけでなく、さらに人が辞めればより業務量が増え、負のスパイラルになることも。

就職希望者からすれば業務量の多さを懸念し、人員に余裕のある大企業で働きたいと思うのは無理もありません。

中小企業が採用に悩まないために改善すべき3ポイント

改善すべきポイント

地方や中小企業にとって人手不足は死活問題です。
人が集まらず採用が例え困難だとしても、現状のままでは人手不足の解消はできません。

人手不足で悩む地方や中小企業のために、今後採用で悩まないために改善すべきポイントを3つご紹介します。

採用課題1:労働条件の改善

人手不足の解消のために大事な一歩となるのが、労働条件の改善です。労働条件の悪い企業は、他の施策を行っても人は集まって来ません。
地域の中でも働きたいと思える企業になれば、希望者はおのずと増えてきます

労働条件の改善として、

  • 賃金の見直し
  • 労働時間の見直し
  • 福利厚生の充実
  • ITツールの導入で労働時間の短縮とコストの削減

などが挙げられます。

中でも取り掛かりやすいのが、ITツールの導入
人手を増やす前に、既存の社員の効率をITツールで上げることで、人材不足をカバーできる可能性があります。

またITツールにより浮いたコストは、賃金アップや職場環境の改善の費用などに回すことも可能です。

採用課題2:リモートワーク・テレワークの推進

企業が求める若年層の数は減っているものの、女性やシニア世代の就業者は増えています。
そんな女性やシニア世代の中には、

  • 子育てや介護に追われている
  • 働きたいけれど地方に住んでいる

というように、働く意欲はあるけれど従来型の働き方ができない方々もいます。

人材不足の解消は、フルタイム雇用にこだわらず働く意欲のある層を取り込むことが重要です。
そのために、会社から離れていても働けるリモートワーク(テレワーク)の推進などを検討しましょう。

在宅で仕事ができる仕組みを作り、さらに時短制度を組み合わせれば、年々増えている女性やシニアの就業者層を取り込めます。

現在、新型コロナの影響によりリモートワークはさまざまな企業に浸透。
株式会社エス・ピー・ネットワークの「新型コロナウイルス影響による在宅勤務(テレワーク)実態調査(2020年)」によると、7割以上の方が新型コロナが落ち着いた後も在宅勤務を継続した方が良いと回答しました。

リモートワークを推進することで雇用のハードルを下げ、「通勤はできないが、在宅なら働きたい」という層にアプローチし、就職希望者の数を増やしましょう。

関連:テレワーク化の働き方改革/成功事例

採用課題3:フリーランスに仕事を依頼する

人材不足の解消するには正社員雇用にこだわらない、ランサーズに登録しているようなフリーランスの人材を活用するのも一つの選択肢です。

通常の正社員雇用だと、地方や中小企業はなかなか人は集められないもの。雇用や週5日勤務にこだわらず、フリーランスの方や副業の方に週2・3日だけお願いするなど柔軟な働き方を示すことで、人材不足をカバーできます。
フリーランスの活用は、人材不足の解消だけではありません。従業員の業務の負担を軽減したり、各々の持つ経験値やノウハウを利用して自社では足りない分野を補えたりできます。

▼「フリーランス」に関する記事
フリーランスの人材活用を始めるには?メリット・デメリットや注意点
について

またフリーランスならば通常の雇用よりも手続きが少なく、スピーディーに活用が可能。必要な時に必要なだけ利用もでき、コストも抑えられます。

中小企業のフリーランス活用事例

フリーランス活用

地方や中小企業の人材不足解消のフリーランスの活用が一つの手だとしても、経験のない方だとイメージが湧かないと思われます。
そこで、地方や中小企業でフリーランスを活用している事例についてご紹介します。

  • 株式会社タスカジ

東京都にある株式会社タスカジでは、足りないと認識していた広報を補うためにフリーランスを活用。メディア戦略やプレスリリース、タレントマネジメントなどを行えるフリーランスに業務を依頼しました。

その結果、テレビ番組の「スッキリ」「沸騰ワード10」などに取り上げられ、露出アップ。さらに自社サービスのタスカジ関連の書籍を次々と出版(年間9冊)させ、認知度もアップさせました。

  • 株式会社竹屋旅館・株式会社Otono

静岡県にある株式会社竹屋旅館が、地元の観光地の魅力を伝える音声ガイドを制作する株式会社Otonoを分社化。
音声ガイド制作の際、フリーランスの声優やライター、副業の方を活用。制作した音声ガイドは静鉄グループや静岡ひかりタクシーをはじめ、立ち上げから約1年半で20件以上の導入実績をあげました。

中小企業が採用に悩まないためには社内の改善と柔軟な雇用形態がカギ

フリーランス活用
人材不足が叫ばれる中、地方や中小企業の採用のやり方や考え方が従来のままですと、今以上に人を集めるのは困難です。

人材不足を解消するためには、賃金や労働条件の改善と並行して、フリーランス人材を柔軟に活用するのがカギ。
クラウドソーシングのランサーズでは、幅広い職種のフリーランスが登録しています。

労働条件の改善と柔軟な雇用形態を実現することで、地方や中小企業であっても人手不足や採用に悩まない企業になるチャンスです。

デザイン・開発・動画編集・SNS運用など、経験豊富なプロにカンタン依頼