WebマーケティングからSNS広告、企業PRや採用動画など、ビジネスシーンに欠かせない動画コンテンツ。動画コンテンツをはじめて作成する場合には、どこからどのようにはじめればよいのか、また検討から公開までに要する時間など、分からないことが多く不安に感じることもあるでしょう。動画作成の進め方がわかればスムーズに進めることができ、必要な時期までに動画を完成させることができます。
この記事では動画作成の初心者向けに、基本フローとポイントをご紹介します。
動画作成の基本の流れ
企画・ターゲティング
動画作成は、まず「企画・ターゲティング」からスタートします。企画・ターゲティングは「どんな動画を作成するか」のベースとなるもので、建物で言えば「土台」のようなものです。土台である企画・ターゲティングがしっかりしていないと、動画の趣旨がはっきりせず良い動画を作ることが難しくなります。
企画・ターゲティングでは、「誰に」企画「どのようなことを伝えたいのか」を明確にしていきます。具体的には下記の「5W2H」について、決めていきましょう。
【企画・ターゲティングで決める内容】
- WHO 誰に向けて(ターゲットオーディエンス)
- WHY なぜ動画を作成するのか(提供する視聴価値)
- WHAT 何を伝えるのか
- HOW どう伝えるのか
- WHERE どこで見せるか、どこで撮影するか
- WHEN いつ見せるか、いつ撮影するか
- HOW LONG 動画の長さはどれくらいの長さにするか
動画の方向性として、実写なのかアニメーションなのかなど、表現手法もここで検討します。動画規模にもよりますが、企画・ターゲティングに要する時間は1〜2週間みておきましょう。
構成を作成する
次の工程では、企画趣旨とターゲティングに基づき構成を作成します。
構成とは動画のあらすじのようなもので、建物で言うと「骨組み」にあたります。動画の骨組み部分がしっかりしていないと、動画の最終目的を果たすための流れをつくることができず、伝えたいメッセージがしっかりターゲットに伝わりません。
構成は動画の最終目的を果たすため、動画にこめるメッセージを元にストーリーに落とし込み、起承転結の流れを作ります。「起」で動画の導入(イントロ)、「承」で問いかけや紹介、「転」で伝えたいメッセージのクライマックス、「結」でエンディングを迎えるように作成します。
通常構成は「絵コンテ」と呼ばれる、動画をコマ割りにして右側にコマの説明が書かれているもので作成されますが、文字だけの「字コンテ」で作成される場合もあります。どんな流れ・シーンにするかコンテを作成しながら、同時にナレーションや撮影・挿入素材の有無なども検討していきます。
また動画の構成を検討する場合には、「見る人が分かりやすい構成か」ということに注意しましょう。きれいでカッコいいイメージ重視の動画でも、ターゲットにしっかり伝えたいメッセージが伝わらなければ意味がありません。
ターゲットの年齢や性別・志向などによって分かりやすさの度合いも異なりますので、企画・ターゲティングを意識した構成を作成します。
撮影
撮影が必要な動画の場合は、構成に基づいて撮影を行います。
撮影が必要な場合動画では画面に映るものが全てとなるので、撮影する構図は非常に重要です。そのため背景や撮影場所などはしっかり撮影前に検討するようにしましょう。
実際の撮影前に「ロケハン」を行います。ロケハンとはlocation huntingの略で、撮影場所探しや下見・カメラアングル等の確認に行くことです。ロケハンにより撮影場所を決め、撮影場所の手配や許可取得、撮影角度、必要な機材などの撮影に必要な要素をさまざまな角度から検討します。
撮影と一口に言っても、場所やシーンによって必要な機材や変わります。例えば晴れた屋外では不要なライトは室内での撮影は必要ですし、高度がある動画を撮影するのであればドローンやクレーンなどが必要になることもあります。
撮影を外注する場合ロケハンは外注先がやってくれますが、自分で撮影をする場合はもちろん外注先に撮影を委託する場合でも、動画制作の担当者としてロケハンには同席しておいた方が良いでしょう。同席していない場合、実際の撮影時にイメージと異なっていたとしても撮影場所を簡単に変更することは困難です。
撮影場所は公園や路上など、自社内以外で撮影する場合は撮影許可の取得が必要ですが、許可が下りるまでに時間がかかる場合もありますので、余裕をもって許可申請・取得を行います。また撮影にモデルや俳優が必要は場合は、撮影前に手配をします。
撮影前には「香盤表」と呼ばれる当日の段取りをスケジュールしたものを作成します。香盤表には各シーンごとに出演する人物や裏方の動き、機材などを時間ごとに細かくまとめたもので、撮影を円滑に行なうために必要不可欠です。ロケハン、モデルや俳優・機材の手配が完了すれば、香盤表に基づいて撮影を行います。
撮影が屋外の場合は天候に左右されることもあるので、予備日を設けましょう。
カメラマンなどスタッフの費用は1日換算で計算されるので、撮影やロケハンは通常まとめて行います。
関連:カメラマンの撮影費用相場
編集作業
撮影素材など、動画を編集する素材がそろったら編集に入ります。ナレーションが動画に必要な場合は、編集前にナレーション録音を済ませておきましょう。編集作業に入るためには撮影した動画素材・スチル素材・資料映像・ロゴ・図・ナレーション音声など、動画に使用する素材一式が必要です。
1:編集素材がそろったら、まずは粗編集
粗編集とは「使える素材」「予備素材」「ボツ素材」を選別することです。「使える素材」と「予備素材」を選別し、パソコンに取り込んでいきます。
2:粗編集後の仮編集
使う素材を選別後、1回目の編集「仮編集」を行います。仮編集は構成案に沿って素材を切り貼りしたラフなもので、細かく編集せず流れを確認する目的で行われます。ある程度挿入したいBGMなどが決まっていれば、仮編集時にざっくり動画と合わせて雰囲気を確認します。
3:仮編集がOKとなったら本編集
仮編集で全体の流れがOKとなれば、使用する部分のカット・並べ替え・レイヤー処理など、「本編集」へ入ります。効果音やBGMの挿入など、音関係の作業は本編集時の最終工程時に実施していきます。
動画作成を外注する場合通常動画の修正は2〜3回程度なので、それ以上の修正は追加費用対象となることもあります。修正指示を出す場合は、作業者が分かりやすいように具体的に指示をしましょう。
4:書き出し作業、レンダリング
動画の編集が終わったら、MP4・MPEG・MOVなど再生媒体に応じたフォーマットに書き出しをする「レンダリング」を行います。動画の使用目的によっては動画のメニュー付け作業など、オーサリングと呼ばれるも必要です。
動画作成の重要なポイントを知っておこう!
動画作成の重要ポイント①:作成した動画を見てもらうことが大切!
動画作成には目的があります。せっかくいい動画を作成しても、ターゲットに見てもらえないことには目的を果たすことができません。Webサイトで動画を公開したからと言って、自動的にターゲットが動画を見にきてくれるわけではありません。動画作成にあたっては、作成する動画をどのようにターゲットに見せるか、また視聴した後にターゲットにどのように行動して欲しいのか、動画の目的を達成するための導線までしっかり検討しましょう。
たとえばターゲットに見てもらうために、自社媒体のほかSNS広告やWeb広告を利用する、また動画のURLをQRコードに落とし込み紙媒体へ印刷するなどの方法などが考えられます。動画を見終わった後には商品やサービス・問い合わせページへリンクさせる、SNSへシェアさせるなどの導線が考えられます。
動画作成にあたっては、動画の最終目的を達成するための施策までしっかりと設計しましょう。
動画作成の重要ポイント②:動画作成の流れは前に戻れない
動画作成の流れにおいて、基本的に前工程には戻れません。
データ量が大きい動画データは、Webや紙媒体などとは異なり修正前のコピーデータを保存せず、基本的に上書きして修正します。そのため「元に戻す」という作業が非常に困難です。
また決定した構成に基づいて撮影を行っているにも関わらず、途中で構成を変更すると、撮影シーンを改めて検討する必要が生じてしまいますし、編集時点で撮影もれなどがあると、再撮影のための費用やスケジュールの遅延が発生してしまいます。
クリエイティブな動画作成では、作成過程や撮影中にさまざまなアイディアが浮かんだり、違和感を感じたりすることもあるかもしれません。目的を達成するためのよりよい動画を作成するためには、変更や軌道修正をした方が良い場合もあります。
ただしその場合それ相当の時間・費用が伴うため、動画作成の工程では基本的に「前工程に戻ることは困難」ということを意識しておきましょう。
流れを把握して、効率良く動画作成をしよう
マーケティングやPRなどに欠かせない動画。動画作成においては、「目的とターゲット設定」「段取り」がとても大切です。あらかじめ動画作成において決めておくことや各フローにおいてすべきこと、ポイントなどを把握しておくことで、動画作成がスムーズに進行し、余計な費用の発生やタイムロスを防ぐことができます。
動画作成を自社で行うケースもありますが、動画作成に特化した人材や部門が社内にない場合、外注した方がクオリティが高いものが仕上がるだけでなく、その分別の仕事をこなすことが可能です。動画の外注は、大規模なものでない限り、予算的にもアドバンテージがあり、意思の疎通がしやすい個人クリエイターがおすすめです
ランサーズには、構成作成から撮影、編集までをこなす数多くの動画ディレクターやクリエイター、カメラマンが多く登録しています。また、ランサーズで個人のクリエイターに相談することは無料です。
動画作成を検討中であれば、ランサーズのクリエーターにまずは相談をしてみましょう。