PR動画は、自社商材やサービスの認知や売上、また自社のブランドイメージ対策にも貢献するコンテンツです。しかし、実際に自社のPR動画を企画するにあたり、どこから始めればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか?
本記事ではPR動画でできることやメリット、および参考事例をご紹介しながら制作方法についても解説します。これから自社のPR動画の制作を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次
そもそもPR動画とは何か?
PR(プロモーション)動画とは、自社商材やサービスなどの販売促進にくわえ、自社ブランドを広く認知するために作られるビデオ型のコンテンツです。制作の目的はそれぞれですが、幅広いプロモーション手段として活用されています。
分かりやすい例として、企業のテレビCMや歌手のミュージックビデオがあります。また昨今、PR動画の配信先はWebサイトや動画配信サービス、YouTubeやTikTok、InstagramなどのSNSまで拡大しました。
PR動画が注目されている理由
PR動画は、企業のプロモーション手段として注目されています。その背景には、動画を配信する媒体が多様化したことがあります。企業がPR動画を通して、ターゲット層に直接アプローチしやすくなりました。
また、スマートフォンやタブレットが広く普及し、SNSや動画配信サービスの利用者が増加した事情もあります。NTTドコモモバイル社会研究所「2022年一般向けモバイル動向調査」によると、2019年以降、動画配信SNSであるYouTubeの利用率は、世代を問わず全体で6割以上を記録しました。
動画広告市場の規模も拡大しています。株式会社サイバーエージェント「2021年の動画広告市場」によると、2021年の動画広告市場規模は4,205億円で、前年の2,954億円から大幅な増加がみられました。2022年には5,497億円と、さらに右肩上がりの予測を示しています。
PR動画の幅広い活用先
PR動画の活用先は、「オンライン」と「オフライン」に分類できます。
活用先 | 概要 |
---|---|
オフライン | ・投資家向けのIR説明会・株主総会 など ・自社の受付エントランス ・各種展示会 ・人材採用向けの会社説明会・就職イベントの自社ブース など |
オンライン | ・自社サイト ・SNS(YouTube・Instagram・Facebook・TikTok・Twitter・LINE など) ・動画配信サービスの広告枠(TVer・ABEMA など) |
PR動画は、一度制作すればシーンに合わせて繰り返し使用が可能です。
PR動画の主な目的と種類
PR動画には、具体的に以下の目的があります。
- 自社のブランディングを支援
- 商材やサービスを広く認知
- 人材採用活動を支援
それぞれにどのような種類の動画があるのかみてみましょう。
1. 自社のブランディングを支援
自社イメージを社会に広めるために制作されるのが、ブランディング支援のPR動画です。企業のコンセプトムービーや事業内容、企業理念を紹介するもののほか、SDGsや社会貢献を意識した取り組みなどを発信するものもあり、それぞれ「自社らしさ」が表現できます。
インパクトのあるキャッチコピーを盛り込んだり、社員の声を取り入れたりして明るいイメージを発信するPR動画も一般的です。
2. 商材やサービスを広く認知
自社の商材やサービスを広く周知して、販売促進につなげるPR動画もあります。この種類のPR動画は、訴求内容によって販売や契約など成果が数字に直結しやすいです。動画配信サービスやSNSで動画広告として出稿できるほか、自社サイトやプレスリリースなどでも活用できます。
認知向上と販売促進のためのPR動画では、商材やサービスの機能、魅力、使い方などを解説したり、お客様の声を口コミとして収録したりしたものが多いです。またイメージ戦略を重視し、芸能人やインフルエンサーを登用したり、キャンペーンの告知を取り入れたりすることもあります。
3. 人材採用活動を支援
企業は人材の採用活動の際に、PR動画を制作することもあります。社風や職場の様子、また志願者に向けたメッセージを動画にすることで志願者に自社の魅力を十分に伝えられます。
人材採用向けのPR動画で用いられることが多いのは、自社施設や職場の様子、また社員インタビューや社長の挨拶といった組織の中からの声です。入社後の勤務環境を事前に知ることで、志願者が実際に働く様子をイメージしやすくなります。
PR動画を活用する4つのメリット
PR動画の目的と種類を把握してきましたが、今度はそのメリットが気になる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、以下の順でPR動画を活用するメリットをご紹介します。
- 情報やメッセージが伝わりやすい
- 視覚にアピールできる
- 覚えてもらいやすい
- ネットやSNSで拡散しやすい
1. 情報やメッセージが伝わりやすい
PR動画は、情報やメッセージを視聴者に伝えることに長けています。見ているだけで受動的に視覚と聴覚に働きかけることが可能だからです。記事コンテンツのように、内容を理解するために時間をかけてテキストを読む必要はありません。
情報やメッセージが伝わりやすい利点は、新しいサービスの利用手続きや製品の使い方など、一見複雑に思われる情報の伝達にも優れていることです。時間もかかりません。動きのある画像と説明を盛り込めば、担当者が視聴者の隣りに座って使い方を教えるように、分かりやすいクリエイティブが作れます。
2. 視覚にアピールできる
PR動画は、視覚的にアピールできるプロモーション手段です。そのため、狙い通りに作り込めば企業のブランディングなどの抽象的なコンセプトも伝えやすくなります。
また商品やサービス周知のPR動画は、初回割引や契約約款などを映像で解説することで、購入や契約の前提情報を漏れなく周知することが可能です。視聴者は購入前に商品理解を深め、疑問点をなくした状態で成約に進みます。
3. 覚えてもらいやすい
インパクトのあるPR動画は、視聴者の記憶に残りやすいです。例えば、歌手のミュージックビデオは、ストーリー仕立てで制作されているものがよくあります。演じるアーティスト本人と凝ったサウンドが、見る人の目と耳を惹きつけることが少なくありません。
実際、有名人を登場させたり、奇抜な展開で目が離せないストーリーにしたりしたPR動画がよくあります。
4. ネットやSNSで拡散されやすい
PR動画が話題になると、ネットやSNSで広く拡散されやすいメリットもあります。SNSや動画配信プラットフォームの利用者が増加するにつれて、昨今はテレビだけでなく、ネットやSNSで動画を配信することも一般的だからです。
このような背景から、PR動画がネットユーザーの心に刺さってバズると、より多くの人々の目に留まりやすくなります。拡散されればPR動画の目的達成に近づきます。
参考になるPR動画の3つの事例
続いて実際に自社のPR動画を企画するにあたり、参考になる事例を「ブランディング」「商材やサービスの周知・販売促進」「人材採用活動」の目的別にご紹介します。
- 富士印刷株式会社「発想を変えてお手伝い」
- ウォンテッドリー株式会社「Wantedly お客様の声」
- 清水建設株式会社「シミズノヒト 新卒採用ムービー」
1. 富士印刷株式会社「発想を変えてお手伝い」
富士印刷株式会社の企業PR動画は、商品のデザインから制作、発送までの過程をテンポのよいBGMとテロップで追っています。作業動画をつないだだけのシンプルな構成ですが、お客様ニーズに寄り添って製品を作り上げる様子がよく伝わってきます。
特筆すべきは、社員が真摯に業務に取り組む様子と、絶妙なタイミングで切り替わるカメラアングルです。社員の手元や稼働中の機械の様子をさまざまな角度からとらえ、PR動画をスタイリッシュに仕上げています。PR動画を見るだけで、企業イメージが感じ取れます。
2. ウォンテッドリー株式会社「Wantedly お客様の声」
ウォンテッドリー株式会社のPR動画は、自社サービスの利用者インタビューを材料に制作されています。人材マッチングプラットフォーム「Wantedly」のメリットがよく分かる例です。
企業の採用担当者と採用される個人のそれぞれが、サービスを利用した感想を語っていることで、他の就職サイトとは異なる独自の利用価値が伝わります。何気なく載せたインタビュー動画のように見えますが、ターゲット層に刺さるメッセージが散りばめられているのです。
3. 清水建設株式会社「シミズノヒト 新卒採用ムービー」
清水建設株式会社「シミズノヒト 新卒採用ムービー」は、見るだけで社風と職場の雰囲気が感じられる採用活動向けのPR動画です。自社社員の誠実さや真面目さがわかるように、社員の声を中心に自社の魅力をアピールしています。
就業環境や先輩社員の様子は、志望者が入社後のイメージをするうえで大きな助けになるでしょう。企業にとっても、志望者と受け入れ側でミスマッチを減らしたうえで選考活動に入れます。
PR動画を制作する4つのステップとコツ
ご紹介した企業事例のように、目的に沿った自社のPR動画を制作するにはどうすればよいのでしょうか?ここでは、PR動画を制作する流れを大まかに4つのステップに分けてご紹介します。
- ステップ1. PR動画の企画立案をする
- ステップ2. 具体的な構成を練る
- ステップ3. PR動画を制作する
- ステップ4. 動画を編集し、サムネイルを作成する
また、コツについてもふれていますのであわせてご参考ください。
ステップ1. PR動画の企画立案をする
まずは、どのようなPR動画にするのか企画を練ります。
具体的には、下表のとおり以下の点を明確にします。
明確にしたい項目 | 内容 |
---|---|
ターゲット層 | コンテンツを視聴する層の明確化 |
目的 | 目指す最終的なゴール |
メッセージ | アピールしたい内容 |
コンセプト | 動画の基礎となるテーマ・アイデア |
方法 | 実写、アニメーション、CGなど |
配信先 | SNS、自社サイトなど |
動画の長さ | 6秒、15秒、数分など |
PR動画の方向性を決める大事な工程になるため、それぞれをよく検討しましょう。動画そのものの制作手順を詳しく知りたい方は、動画作成の基本的な流れの記事もご一読ください。
ステップ2. 具体的な構成を練る
企画ですり合わせた内容に沿って構成を作成します。具体的には、ナレーションや登場人物のセリフなどを含めたシナリオを作る工程です。
実写動画の場合、出演者のキャスティングを行います。PR動画のテーマによっては、外部のインフルエンサーに出演してもらう方法があります。アニメーションを取り入れる場合は、全体の流れを示した絵コンテを作成して制作専門のチームに依頼するのが一般的です。
ステップ3. PR動画を制作する
構成(シナリオ)をもとに、撮影を行います。ブランディングや販売促進など具体的な目的はそれぞれですが、撮影は清潔感のある明るい印象になるように心がけましょう。撮影時には、出演者の表情や光の加減を調整するのはもちろん、話し方やその内容についても想定したものであることが望ましいです。
また、カメラワークも重要になってきます。上記でご紹介した富士印刷株式会社の例のように、カメラアングルを工夫して魅せたいものを明確にしておくことも大切です。手ぶれしないように三脚やカメラを固定するジンバルなども活用しましょう。
ステップ4. 動画を編集し、サムネイルを作成する
撮影が終わったら、動画編集ソフトでテロップやサウンドを取り込みながら、インパクトのある作品に編集していきます。画面の明るさや音の大きさを変えて、映像を見やすくカットするなどの調整が必要です。動画に文字や画像などのテロップを入れてわかりやすく加工していきます。
動画の編集が終わったら、サムネイル作成の番です。サムネイルはPR動画の看板になります。SNSや動画配信サイトにPR動画を投稿する際に、魅力的なサムネイルはクリックされやすいです。
PR動画を制作するおすすめの方法
上記のステップをふめばPR動画の制作はできますが、洗練されたクリエイティブを制作するには、やはり動画制作ノウハウが必要です。社内で制作する選択肢もありますが、あくまで社内にスキルのある人材がいる場合に限られます。
そこで、PR動画の制作をプロに依頼する2つの方法をおすすめします。
- 制作会社に依頼する
- フリーランスに依頼する
1. 制作会社に依頼する
映像制作会社の手を借りれば、PR動画を効率的に制作できます。自社が求めるコンセプトの設定から構成の作成、出演者の選定や撮影を行うスタジオの手配、また撮影後の編集までオール・イン・ワンの依頼も可能です。
制作会社にPR動画の制作を依頼すると、スケジュール通りにプロジェクトが進行することが多く、必要な時期に合わせて制作ができます。一方で、PR動画の種類によりますが費用は50万円以上になることが多いです。PR動画の制作に費やせる予算と照らし合わせて依頼先を検討しましょう。
2. フリーランスに依頼する
フリーランスの動画制作者にPR動画の制作を依頼する方法もあります。組織に所属していないフリーランスの場合、制作会社よりフレキシブルな価格で制作を依頼しやすいです。
例えば企画から動画の制作、編集までの全工程の場合、フリーランスなら15万円程度から見積もりをもらうこともできます。まずは、気になる依頼先候補をピックアップして、希望するPR動画の制作対応が可能かどうか問い合わせてみましょう。
自社のPR動画を効果的に活用しよう!
今回の記事では、企業のPR動画制作について解説しました。昨今、PR動画は企業のブランディングや販売促進、採用活動などさまざまな目的で活用されています。とはいえ、社内に制作体制がないとなかなか取り組めない事情もあります。
自社のPR動画を制作するにあたって方法をお探しの方は、プロに相談することも1つの方法です。ランサーズには、PR動画の制作ノウハウを持つフリーランスが多数所属しています。ぜひ一度ご検討ください。
