集合知で実現、渋谷ヒカリエのブランディング映像

集合知で実現、渋谷ヒカリエのブランディング映像
再開発が進む渋谷駅において、既にランドマーク的存在として認知されている『渋谷ヒカリエ』。開業4周年を迎えるタイミングで、渋谷ヒカリエらしさを伝えるブランドムービーの制作を行ないました。渋谷ヒカリエとランサーズとフリーランスのチームは、どのようなブランディングを模索したのか。制作過程に迫ります。

フリーランスによる、渋谷ヒカリエのブランディング施策

2012年4月に開業した『渋谷ヒカリエ』。渋谷という街の特徴でもある、谷状の地形に合わせて立体的に街をつなぐ役割も果たす、渋谷のランドマーク的存在です。

都内に数多く存在するタワー型の複合施設において、差別化をどのように図っていくのか。また、そのメッセージをどのように発信するべきなのか。『渋谷ヒカリエ』というブランドのメッセージと伝播方法を模索した結果、これまでに実施してこなかった取り組みにチャレンジしました。

当プロジェクトで制作した映像

ランサーズを起点に、複数のフリーランスとつながりながらのブランド設計。フリーのクリエイターがコラボレーションして生まれる、渋谷ヒカリエのイメージ映像の制作。

取り組みの背景と制作過程を、東京急行電鉄株式会社 都市創造本部の小林 乙哉さん、吉原 聡子さんに伺いました。

対外的に広める、渋谷ヒカリエのブランド価値を考える

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小林さん(左)、吉原さん(右)

渋谷ヒカリエといえば、渋谷を象徴する高層複合施設であり、その存在は多くの人々に知られています。渋谷ヒカリエの持つブランド力と発信したいメッセージを、一番効果的に伝える方法を模索していたそう。

渋谷駅にあるTOQサイネージピラー、東急東横線車内にあるTOQビジョン。どちらも告知力のある媒体であり、渋谷ヒカリエのメッセージを伝達するには、最高の環境が整っているといえるのです。

他社には真似のできないリソースを有するわけですから、動画をつかったブランドメッセージの発信を行なうのは必然とも考えられます。

小林:渋谷ヒカリエが開業して3年以上が経過しましたが、継続的にブランドを体現するメッセージの効果的な伝え方を模索していました。開業から4年目を迎えて、渋谷ヒカリエに携わっている社員の入れ替わりが発生しています。このタイミングで、ブランド価値を表現するクリエイティブをつくってみようとなりました。社員の頭のなかにある考えを抽出して、最も渋谷ヒカリエらしく、一番効果的に伝わる手段で。

吉原:当社は鉄道会社ですから、さまざまな媒体を持っています。渋谷ヒカリエのような高層複合施設でのデジタルサイネージはもちろん、電車内のTOQビジョンもあるのに、上手に使えていないという課題がありました。動画を用いたブランディングが一般的になってきたこともあり、渋谷ヒカリエとしてムービーをつくってみよう、という流れで始まったプロジェクトです。

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ブランド価値を伝えるために、初めて試みた映像作成。特徴的だったのは、渋谷ヒカリエが独自で企画・撮影を行なうのではなく、ランサーズのディレクションによるフリーランスのクリエイティブチームを活用したこと。フリーランスによるクリエイティブの作成が主と思われがちなランサーズですが、ブランディング・プロモーション サービス という、企業やサービスのブランディング段階から手掛ける仕組みがあります。

小林:プレゼン前のオリエンテーションで、「あなたは渋谷ヒカリエをどう考えますか?」という質問をしていたんです。当社が「渋谷ヒカリエはこういうブランドです」と明示するのではなく、課題を踏まえた上で、どのような解釈と提案をしていただけるかをみたかった。結果、ランサーズから示された「渋谷ヒカリエをこういうブランディングで魅せる」という提案が刺さりました。

通常のクラウドソーシングサービスと異なり、ランサーズがブランド全体のコンセプトメイキングからクリエイティブディレクションを担当。実制作においては、フリーランスをキャスティングして、集合知でブランディング・プロモーションを実現するサービスです。

広告代理店や制作会社とは異なる、ランサーズとつながりのある圧倒的多数のクリエイター。個性豊かなクリエイター陣から、プロジェクトごとに適材適所のチーム編成を行ないます。イメージやテイストのような、発注側の感覚による違いにも対応できる、充実したポートフォリオを備えているのです。

自分たちの魅力をあらためて確認できる提案だった

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(左:ディレクター 渡辺敬吾 / 右:クリエイティブディレクター 三宅美奈子)

ブランディングを手掛けるにあたって、人選はもちろんだが、最も重要なのがコンセプト立案。ランサーズはいかにして、渋谷ヒカリエが発信したいブランドイメージをカタチにしたのでしょうか。

吉原:当社へのヒアリングを繰り返しながら提案いただいたのが、渋谷ヒカリエの立ち位置を明確化することでした。いくつか存在する他の高層複合施設と肩を並べる存在でありながら、ビル周辺の環境を含めた都市開発を行なっていることや、東急文化会館の跡地ということもあり、この場所で親しまれていた文化やアートが存在していたことを踏まえて、ファッションだけにフォーカスするのではない企画提案だったのを覚えています。

働いている私自身も、あらためて渋谷ヒカリエらしさとは何なのか、もっとも伝え広めていきたい空気感は何なのかを考えるきっかけにもなったんですね。そこで見えてきたのが、渋谷ヒカリエを居心地の良い空間として来館者にご利用いただく様子でした。建物として切り取るのではなく、休憩スペースで話していたり、窓の外に広がる景色を見ている自然な姿こそが、渋谷ヒカリエらしさを表していると思ったんです。利用いただく方々の日常に、ごく自然に溶け込む様子を表現したかった。

小林:一言で言い表すならば、「心地のよさ」でした。直感的に、居心地の良い場所が選ばれていて、われわれが感じる場所やシーンが、外部の人からみても同じような印象になるんだと嬉しく思いました。

渋谷ヒカリエの良さは、ファッショナブルな面はもちろんですが、文化的な雰囲気や他の施設よりもオープンスペースが多いこと、抜けの良さとか……。そういうものを自分たちも再確認できました。

渋谷ヒカリエという施設は非常に多面的なんです。ファッションがあり、アートや文化があり、街づくりのなかのイチ施設という面もあり。すべてを表現するのは、難しいですし散漫になります。では、どこを切り取っていくのが動画というツールでの表現に適しているのか。ここの議論は何度も、綿密に繰り返しましたね。

渋谷ヒカリエが届けたかった世界観が伝わる出来栄え

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クリエイターをまとめるランサーズ側と想いのあふれる渋谷ヒカリエ側で、認識の統一をする作業には予想以上の時間を要しました。何度も、何度も打ち合わせを繰り返し、お互いが同じ方向を目指せると確信できてから、撮影がスタートします。発注者として少なからず不安に感じるのが、果たして話し合ったことがアウトプットに落とし込めているか。映像作品であれば撮り直しは難しく、一発勝負の要素を多分に含みます。

小林:撮影中は全体をとおして面白かったです。ディレクターやカメラマン、モデルさんのやりとりには何度も笑わせてもらいましたし。みんな個性が強くて、「なんだこのチームは!?」って(笑)。

何よりもモデルさん。実際に見たら、めちゃくちゃかわいかった。いやー、かわいかった。あまり世の中に出ていない人でもあり、渋谷ヒカリエから発信する、原石を発見したみたいなこともやってみたかったので、素晴らしいキャスティングでした。

吉原:仕上がってきたムービーは、全体的に良かったです。少しだけ、本当に少しだけ直せばOKだなというレベルで。

実は撮影中に、小林と話をしていたことがあります。「これは間違いなく良い絵になる」って、二人でそう感じられた瞬間があったんです。11階で朝陽を浴びながらジャンプしたシーンなんですが、その姿とかシルエットが美しくて。編集後の映像にも、あのとき見た絵がきちんと組み込まれていて。

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プロジェクトを成功に導いたポイントは、発信者とつくり手が共通認識を持てたこと。そして想いを具現化するチームアップにあったといえます。いかに両者が握り合えていても、実際の作業をするクリエイターは未知の人物たちです。ランサーズが自信をもって送り出した人選と、信じて任せることができた渋谷ヒカリエの信頼関係が生み出した結果ともいえるでしょう。

吉原:本当に良い出来栄えですよね。まだまだ露出は少ないのに、反響をいただいているんです。

渋谷ヒカリエ地下3階のTOQサイネージピラーで放映したときは、通行する人々が足を止めて見ていました。Shibuya Hikarie号という10両編成の車両で流した際には、お客さまセンターに問い合わせがあったんです。モデルはだれ? この服はどこで買えるの? いつ流れるの? って。成果を計るのはこれからですが、評判は上々です。

小林:渋谷ヒカリエに訪れるお客さまは、女性の方々が多いんです。女性の方々に届いて、「心が動くメッセージとはなんだろうか」「男性の方が見ても、自分に関係ないと思わない情報とはなんだろう」ということをずっと考えていました。

今回作成した映像は、男性が見ても良い雰囲気で、渋谷ヒカリエが発信したい世界観が伝わってくると思います。