ガートナー発表 2017年のテクノロジートレンド概要

ガートナー発表 2017年のテクノロジートレンド概要
「AI(人工知能)」、「IoT(モノのインターネット)」、「AR&VR」などのテクノロジーに対して、まだまだ研究段階の別の世界のことと感じていませんか。
しかし、それらのテクノロジーが私たちの身近な生活の至る所で活用されるのは、そう遠い未来のことではなく目と鼻の先にあるようです。
米国のIT系リサーチ会社のガートナーが発表した『Top 10 Strategic Technology Trends for 2017』では来たる2017年のテクノロジーのトレンドが紹介されています。
     
  • ・AI&マシンラーニングがすべての業界を変えていく
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  • ・デジタル世界とリアル世界が統合される
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  • ・消費者⇔ブランドのコミュニケーション手段の進化と変化
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  • ・デジタル・メッシュ(digital mesh)「分散している様々なネットワーク端末をつなげる概念」の現実化

ガートナーのレポートが報告するテクノロジートレンドの概要と、テクノロジートレンドが今後の企業のデジタルマーケティングに与える影響について考察します。

戦略的テクノロジートレンド

デジタル空間

AI&マシンラーニング

従来のマシンラーニングでは、ルール・ベースのアルゴリズムに頼るものが多かったのですが、最近ではマニュアル的なアルゴリズムを超えるものが登場しつつあります。このテクノロジートレンドは今後も発展すると予想されており、AI&マシンラーニングは深層学習、ニューラルネットワーク、自然言語処理を応用し、履歴データを元に将来を予測する、人間のように学習する自律性を持っています。

インテリジェントアプリ

前述のAI&マシンラーニングを活用したインテリジェントアプリは、これまでなら人間がやっていたようなカスタマーサポートやセールスを自動化します。企業はインテリジェントアプリの活用でカスタマーサポートの人件費を削減できるのです。

AI&マシンラーニングは多大な開発コストと技術力が必要です。
そのため多くの企業がAI&マシンラーニングを研究・開発する企業のインテリジェントアプリのパッケージを採用することになると予測されます。

インテリジェントなモノ

AI&マシンラーニングをモノに応用し、周囲の人間、環境に対応して自律的な動作をさせるのがインテリジェントなモノです。インテリジェントなモノの代表例としてはロボット、ドローン、自動運転車などがあげられます。

ガートナーは今後、インテリジェントなモノはそれ一つだけで動作するのではなく、他のインテリジェントなモノ同士が相互に連携するようになると予想しています。

AR(拡張現実)& VR(仮想現実)

ガートナーによると、AR、VRのヘッドセットの販売台数は今後大幅に伸びて、2020年には4,000万台以上になる見通しとのことです。

AR&VRの普及により満足度の高いユーザー体験の実現が可能になります。国内大手自動車メーカーなどではAR技術を使って試乗体験ができるブースを展示会に出展するなど、すでにARをマーケティング活動に取り入れ始めています。
また、AR&VRは他のネットワーク端末と連携すると予測されます。たとえば、ユーザーの他のネットワーク端末(スマホなど)から入手したユーザーデータを使用して仮想空間を形成することが考えられます。

デジタルツイン

デジタルツインはリアル世界の物理的な事象をデジタルに再現することです。たとえば、リアル世界の工場の稼働状況をそのままコンピューター上に再現することがあげられます。
工場の生産効率を上げるための改善策をリアル世界の工場で実施するとなれば手間・コストがかかりますが、デジタルでシュミレーションすることで手間・コストを大きく抑えることができます。

ブロックチェーン

ブロックチェーンとはビットコインなどの複数の取引履歴をひとまとめにブロック化(グループ化)し、そのブロックごとにデータベースに記録する分散型台帳のことを指します。金融サービスにおいて活用され始めているということは、ご存じの方も多いでしょう。ブロックチェーンには「情報と情報が紐づく」という特性や、「改ざんが困難」という特性があります。一つの情報に対して様々な情報が紐づき、改ざんが起こってはならない業界への転用が期待されており、音楽配信や身元証明、サプライチェーンなどにも活用される見通しです。

会話型システム

会話型システムは従来のチャットボットから、私たちが日常的に接するネットワーク端末まで広範囲に適用され始めます。この会話型システムの適用範囲の拡大と、それぞれのネットワーク端末のデジタルメッシュ(連携)はユーザーのデジタル体験を変えることでしょう。

メッシュアプリとサービス構築

メッシュアプリとサービス構築にはWeb、モバイル、デスクトップ、IoTアプリが含まれます。様々なものがインターネットと繋がるようになってきていますが、それらが保有する個別のデータは連携させるのが難しく、ユーザーが個別に対応しなければなりませんでした。それが今後は、スマートフォン、車などの異なるネットワーク端末が連携し、断絶のない一貫したユーザー体験が可能になると予測しています。

デジタルテクノロジープラットフォーム

ガードナーは、デジタルビジネスのビジネスモデルを実現するための重要なポイントが5つあることを見出した、と言っています。その5つとは「情報システム、顧客体験、アナリスティクス・インテリジェンス、IoT、ビジネスエコシステム」。企業はこれらのデジタルなプラットフォームのいずれか複数を保持することになる、と予測しています。

デジタル・メッシュに適応したセキュリティ構築

前述のデジタル・メッシュ、デジタルテクノロジープラットフォームには、ハッカーによる攻撃対象になりやすい脆弱な面があります。IoTによるユーザーのシームレスな体験には、ユーザーの行動など、実生活の情報を取得することが必須になります。ただ、今後発展が予測される分野のため、新たな商品やツールが生まれてくるのは明白ですが、その分セキュリティに脆弱な箇所が出てくることも予想でき、セキュリティ対策のための新たなツールや対応策が必要になります。

テクノロジーが生み出す新たな顧客体験

デジタルメッシュ

ガートナーのレポートから分かるのは、テクノロジーの進展に伴い今後、企業はますますデジタルマーケティングに力を入れることになるだろうということです。
実際に米国では、企業が積極的にAIのチャットボットをWebサイトのカスタマーサポート用に導入し始めており、日本でもその動きは日に日に拡大しています。

AI&マシンラーニングのツールをカスタマーサポートに採用するのは単に人件費を節約するだけでなく、スピーディに顧客に対応する、顧客の履歴データを活用し顧客の属性に合わせた最適な対応をすることで顧客満足度を高めることにもつながります。

また、AR活用事例を本文で少しご紹介しましたが、VR&ARによって商品の模擬体験を提供するなど、これまでにない顧客体験を創出するデジタルマーケティングがトレンドになっていくのではないでしょうか。

AI&マシンラーニングの発展が多くの業界を変えていくことは間違いないように思えます。
これらのテクノロジーをうまく活用することができれば、競争上の優位性を生み出すことができるでしょう。

参考:Gartner Identifies the Top 10 Strategic Technology Trends for 2017