北米ではあと3年で50%がフリーランスに!?急増の理由から学べること

北米ではあと3年で50%がフリーランスに!?急増の理由から学べること
2020年までにフリーランスの人口が労働者全体の50%になると予想されているアメリカ、45%になると言われているカナダ。北米での目を見張るほどのフリーランス人口の急増にはどのような背景があるのでしょうか? カナダでフリーランスとして活動しているライターが、肌で感じたことや周りの体験談を交えながらお伝えします。
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北米 – 2020年まで約50%がフリーランスに!?

ランサーズが行ったフリーランス実態調査2017年版によると、2017年には1,122万人もの数に達した日本のフリーランス人口。これは労働人口の17%をも占める数字で、国内でも「フリーランス」という言葉が浸透してきています。

ここ数年の日本でのフリーランスの増加には驚かされますが、さらに驚くデータがアメリカのナショナル・ポストで発表されました。なんと、2020年までに労働者の50%がフリーランスになるという見通しとのこと! 現在アメリカのフリーランス人口は5,300万人。これは労働者の35%と日本の倍にあたる数です。この数字だけでもフリーランス人口の多さを感じますが、あと3年でその数はさらに増加し2人に1人がフリーランスになるというのです。

また、同じ北米・カナダではファイナンシャル・ポストから、2020年までに労働人口の45%がフリーランスになるとの予測が。

なぜ北米ではこれほどのペースでフリーランスが急増しているのでしょうか? フリーランスという働き方が増加している理由について見ていきましょう。

北米のフリーランス人口が多い理由

1. 年齢に関係なくキャリアアップ・転職に積極的

会社に入った時点で仕事をこなせるスキルを持っていることを期待される北米。新入社員を育てていく日本とは異なり、企業は経験とスキルを持った人材を採用します。

社員は希望した仕事に就くと、経験を蓄えつつさらなるキャリアアップを目指します。そのため、より良い働き口を見つけた時には積極的に転職する人が多く、ファイナンシャル・ポストによるとカナダでは2年以内に転職する割合が51%にも上るそうです。

実務ですでにフリーランスとして活動を始められる経験やスキルが身についているので、経済的な理由や職場環境への不満があれば、転職先としてフリーランスの活動も選択肢の一つになるのです。

フリーランス=フリーターのイメージを持たれやすい日本とくらべ、フリーランス=個人事業主と認識される欧米では、フリーランスに移行すること自体に対する抵抗が少ないこともフリーランスという働き方が選ばれる理由となっています。

また、キャリアアップのため就職後に大学や専門学校に通う人も多く、フォーブスによるとアメリカの大学卒業時の平均年齢は27歳となっています。在学中は現在の仕事と別の学科を専攻し、卒業後に全く新しいキャリアを始めることもあります。

このようにキャリアアップ・転職に積極的な環境が、フリーランスとして働き出す後押しをしているのではないでしょうか。

2. ギグ・エコノミーで単発の仕事が急増

北米のニュースでよく見かけるようになった「ギグ・エコノミー」というワード。このワードは以下の様な意味になります。

バンドの単発のライブを「ギグ」と呼ぶが、ネットを通じて入ってくる単発の仕事を請け負うことを総称して「ギグ・エコノミー」という用語が使われている。

引用元:Forbesジャパン

このギグ・エコノミーによって、単発案件としてフリーランスで受注できる総案件数が飛躍的にアップし、LOCALSOLOLOOMなど日本でいうランサーズのような仕事を仲介するサイトも新規発足したりと、フリーランス市場はさらに拡大しています。

ギグ・エコノミーの代表例としてよく挙げられるのが、UberやEstyなど、インターネットを介して誰でも始められるサービスです。企業と直接契約を結ぶ必要がなく、気軽に始められる新しい働き方が浸透してきたことで、これまで働き方を模索してきた人たちがフリーランスとしての一歩を踏み出しています。

また、企業でも決められた期間だけフリーランスと契約を結ぶという、新しい契約形態が構築される動きが始まっています。企業は必要な期間だけ適切な人材を集められるので人件費の削減、さらには社会保険費の削減が見込め、フリーランスは単発のプロジェクトを複数の雇い主と契約できるためリスクマネジメントができるなど、発注側・受注側双方にとってメリットのあるシステムです。

こうした技術の発展や企業の動きが相まって、グローバルニュースによれば2015年に147,000件あった全時間雇用が、2016年には半数以下の60,400件に減少し、代わりにパートタイム雇用が153,700件に増加したようです。

加速を続けているギグ・エコノミーは、これからのフリーランスの活動をさらに拡大させる燃料となりそうです。

3. スケジュールをコントロールし理想のライフスタイルを選択

フリーランスとして享受できている大きなものと言えば、「働く時間を選べる」ということです。日本で理想的なライフスタイルを求めてフリーランスとしての生き方を選択する人がいるのと同じように、北米でも理想の生活を得るためにフリーランスに移行する人たちが多いようです。

フリーランスの労働組合Freelancers Unionの調査では、63%が「自分の選択でフリーランスになった」と回答し、必要に迫られてフリーランスになったのは37%と少数派でした。さらに、全体の79%が「元の仕事よりもフリーランスとして働く方が良い」と回答しています。

全時間労働の時間も、会社員の平均は40時間に対し、フリーランスは36時間となっており、そのうちの52%が「仕事時間に満足している」と答えています。フリーランスの半数以上が労働時間の短縮を実現し、満足しているという結果になっているのはとても興味深いですね。

またファイナンシャル・ポストでは、フリーランスの仕事をする理由として、41%は収入の足しにするため、47%は仕事時間を自由にスケジューリングするためだと回答しているそうです。

こうしたデータから、北米のフリーランスは仕事時間を自分でコントロールできるフリーランスとして、ライフスタイルを自ら選択していることが読み取れます。

4. 「できそうだからやってみた」個人でも起業にトライするフットワークの軽さ

ここまではニュースやデータの情報をまとめてご紹介しましたが、次は実際にフリーランスとして働いている身近な人々の例をお伝えしたいと思います。

私が在住しているカナダ・バンクーバーでは、前述のデータに表れていたように家族を含め友達や知り合いなど身近な人だけでも、かなりの割合で副業を持っていたりフリーランスとして仕事を請け負っています。

その職業も様々で、会社員のプログラマーが個人でプログラミングを請け負ったり、大工がネクタイのネット販売を始めるなど、全時間の仕事と同じ職種を選ぶ人もいれば全く違う業種にチャレンジする人もいます。

身近な例を挙げると、私の夫も会社員でしたが、プライベート時間の確保を目的として、パートタイムの仕事と単発で入るフリーランスの案件で収入を得るようになりました。CADデザイナーとして前の会社から繁忙期に発注があることがフリーランスを始めるきっかけでしたが、バイリンガルのため知人から翻訳を頼まれ、資料を見て「できると思う」の一言からトライし、それから翻訳の仕事もフリーランスで請け負うようになっています。

このようにフリーランスを始める人が増えたことで、「フリーランス」という働き方が認知され、社会的地位も少しずつ向上しています。

フリーランスに向いている環境や経済状況を含めても、日本でここまでの増加に繋がるでしょうか? そう考えた時、「性格・気質」というキーワードが頭に浮かびました。

私の身近でフリーランスを始めた人たちの話を聞いてみると、「できそうだったから、とりあえずやってみた」と言うことが多いのです。

例えば新しい仕事を始めたい場合、

 1.必要な材料や機材を用意して、できるかどうか試してみる。
 2.できることが分かったら、価格を安く設定して受注し、経験を増やしていく。
 3.経験が増え自信がついたら、本格的に受注するマーケティングやシステムを考える

という流れで、「まずは試してみてから段階ごとに必要なアクションを考えていく」という発想から始めます。「ビジネスが軌道にのれば本業に」「そこそこの結果であれば副業に」という具合に、その場面によって次の方向性を変えていきます。

フットワークの軽さ・チャレンジ精神・楽観性・思考の柔軟性。こうした性格や気質の部分や、そうしたチャレンジ精神が評価される環境にあることが、フリーランス人口が多い要素の一つなのかもしれません。

北米のフリーランスは増加の一途を辿りそう


本業としても副業としてもますます人気が高まるフリーランス。北米のフリーランス人口は毎年右片上がりに増加していますが、この先はどうなっていくのでしょうか?

社会保障のないフリーランスですが、最近では社会保障や弁護士仲介などのサービスを提供する、フリーランス労働組合が設立されたり、ランサーズのような仕事仲介サイトが年々数を増し、フリーランスとして働きやすい環境が徐々に整ってきています。労働者の50%がフリーランスになる日も、すぐに来るのではないでしょうか?

参考:フリーランス労働組合

日本は北米に並ぶフリーランス社会になるか?

同じようにフリーランスとしての働き方が注目されている日本。3人に1人がフリーランスという北米に並ぶ、フリーランス社会になる日はくるのでしょうか?

北米のフリーランス増加の一端には、副業している割合が非常に高いことが挙げられます。キャリアビルダー社の調査によると、北米の会社員の約3割が副業をしているとのデータが。全時間労働者でも副業としてフリーランスをしているケースが多いため、パートタイムのフリーランスは全体の53%に上ります。
参考:フリーランス労働組合

日本では企業の多くが副業を禁止しており、会社員の副業率はかなり低くなっている現状があります。こうしたままでは日本のフリーランス人口の数字が急激に大きく変化すると予想するのは難しいかもしれません。ただ、昨今では「働き方改革」などにより、日本での副業やフリーランスに対する考え方が、少しずつではありますが変わってきていると言えるのではないでしょうか。

このように転職や起業のしやすさの環境が北米とは異なりますが、北米のフリーランスから学べることもあります。それは「やってみよう!」という行動力がキャリアにつながっていくということです。社会の風潮や環境も、もちろん関係してくるところではありますが、まずは自分のモチベーションを上げること、発想を柔軟にすること、チャレンジしてみることは、誰でも始めることができます。実際に行動を起こす人が増えている結果として、日本のフリーランス人口は増加していくことでしょう。

日本も北米を一つのモデルケースとして、フリーランスとしての自分の理想の働き方・自分にしかできない働き方につなげていくことができるのではないでしょうか。

(おわり)

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