フリーライターが独立から1年で、企業協賛の写真展を開催できた理由

フリーライターが独立から1年で、企業協賛の写真展を開催できた理由
フリー歴1年のフリーライターに企業協賛!? 2016年にフリーランスとして独立したばかりの古性のち(こしょう のち)さんは、210日間で17ヵ国を旅し、(株)KDDIウェブコミュニケーションズの協賛を受けた写真展を開催中。いちフリーランスが企業から協賛を受けられたその理由とは。
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「旅をしながら働く」という選択肢をみつけた

KDDIの冠を持つ企業のスポンサードを受け、写真展( ことば×写真でつむぐ 旅する写真とことば展 )を開催する古性のちさん。この写真展は、彼女の旅の記憶を、ことばと写真でシェアするイベントだ。全国6箇所で開催し、写真展自体が旅をする取り組み。

2016年6月にフリーランスとして独立後、2017年7月からこの写真展をスタート。つまり、独立から1年で企業との協賛を実現した形となる。どうやったのだろうか。その理由を聞く前に、写真展の素材となる旅のきっかけを聞いてみた。

彼女が旅に出るまで

「旅に出たいと思ったのは、16歳のときです。集団生活に馴染めなくて、高校生になると学校へ行くことが辛くなり、家でネットゲームばっかりやっていました」

「学校に行けないって、大人になっても会社に所属できないということに結びついちゃって、絶望していたんです。そんなときに、高橋歩さんの本に出会いました。自由に旅をしながら働いている高橋歩さんの働き方を知り、会社に所属するだけが働く形ではないことを知りました」

これが古性さんが旅に興味を持ったきっかけだが、その足で旅に出たわけではないそうだ。引きこもりが家を飛び出して世界へ―。とならなかったのは、両親と先生から「せめて手に職をつけて将来を安定させて欲しい」という哀願があったから。

手に職を求めて

「世界を旅しながらできる職って何だろうと悩んだ結果、ハサミが1本あればどこへでも行けるという考えにいたり、美容師の専門学校に進みました」

美容専門学校を卒業後は美容院に就職するも、長い下積み期間に耐えられずに退職。

「ハサミに代わるものは何だろうと、たくさん考えました。その中でたどり着いたのは、やはり好きなものでなければ続けられない、という答え。そこで、高校生から好きだったパソコンを使った仕事にたどり着き、花形のデザイナーを目指すことにしました」

専門学校に入り直しWebデザインの基礎知識を身に着け、デザイナーが不在の会社に就職したそうだ。その後「自分の名前で仕事を受けられるようになりたい」と、自己ブランディングが上手な社員が多く所属する会社、株式会社LIGへ。

「LIGは、自己ブランディングが上手な社員が多く所属している会社です。そこで勉強をさせてもらうことで、わたしにも徐々に、個人ファンがつくようになりました」

古性のち個人にファンがついたところで、12年間温めていた世界一周の旅に出たそうだ。果たして彼女は、どのような旅をして、いかにして企業協賛による展示会を開催したのだろうか。

『旅する写真展』開催中である、古性のちさんにインタビュー。

個人がブランディングをしやすい時代の営業手法

旅する写真展

――2017年1月に世界一周から帰国して、半年後に写真展が始まったわけですが、どうやってスポンサーを見つけたのでしょうか。

旅の記憶は、世界を回りながらブログで発信していました。帰ってきてから見返していると、また行きたいなという気持ちになったんです。

じゃあこの気持ちって、シェアできないかなって。他の人にも旅に出たいって感じてもらえたら、素敵だなと感じました。そのために、ブログに載せていたことばと写真を展示してみようと決めました。でも、せっかくやるのなら、単純な写真展にはしたくなかったんです。

世界一周から帰った方の写真展は、1箇所で展示後、終わりになるケースが多いような気がしていて。でも、せっかく長い期間をかけて撮りためた写真を、1回の展示で終わらせちゃうのはすごくもったいないことだ、と思ったんです。

わたし自身、様々な人の『世界一周に行ってきました展』に行きたいと思っても、場所が遠かったり期間が短かったりで、足を運べない経験も多くありました。

だったらいろんな場所で何回も展示を実施して、それこそ旅をしながら、日本全国の人に届けられたら良いんじゃないかと思い、「旅することばと写真展」を企画したんです。

――写真展をやるとなれば資金が必要です。そこで、スポンサー探しをしたわけですか?

最初は自費運営をしようと考えていたのですが、経費を算出してみたら、かなりお金がかかることが判明しました。会場費と作品制作費が主になります。そこにお手伝いという形で、何名か関わってくださっているので、お手伝い費だったりとか。

そこで、旅の最中使っていたブログ『 g.o.a.t 』というKDDIウェブコミュニケーションズさんが出しているサービスと、何か双方がwin-winの形でできないかと考えました。g.o.a.tは、旅に出る直前くらいにローンチされたサービスで、写真をきれいに見せてくれるブログサービスなんです。

古性さんのg.o.a.t

古性さんのg.o.a.t 

「写真を撮る人に使ってほしい」というg.o.a.t の想いに共感したこともあり、積極的に旅中も使用していました。とても好きなブログだったので、向こうからアクションが何かもらえたら良いな……と心の片隅で思っていたんです。ただ、思っているだけでは想いは伝わらないので、積極的に行動に移しました。

たとえば、ブログを書いたらすぐにTwitterでシェアしたり、関連するツイートをリツイートしたり。Twitterでもハッシュタグをつけてつぶやいたり。実際、世界を旅をしていた7ヵ月間は、2日に1回ペースでブログの更新をしていました。「好き」が伝わるようなアプローチを日々していました。そしたら幸い、g.o.a.t さんがわたしのことを認識してくれました。そういう地道な行動でも継続していると、大きな力になるんですよね。

たまたま何かのイベントで、KDDIウェブコミュニケーションズの役員の方にお会いしたんです。名刺交換をしたら「いつもg.o.a.t 使ってくれている古性さんですか?」と声をかけてくれました。そこで思い切ってTwitterのDMで「写真展に協賛してくれませんか? その代わり、貴社のサービスを積極的にプロモーションさせていただきたいです」とお願いしてみました。

企画書を添えてメッセージを投げたら「企画書の中身はよく見ていないですけど、サービスをこれだけ使ってくれてる古性さんがやりたいなら協力します!」と、快く協賛してくださったんです。培ってきたものがないままお願いしたわけではなく、コツコツと積み重ねてきた関係の中で成立したという感覚が、近いのかもしれません。

特に今は、個人がブランディングしやすい時代だと思います。SNSを経由した広がりで仕事を依頼してもらえるようになりました。個人で働きたいひとにとって、チャンスを掴みやすい時代になったと感じています。

旅は特別ではなく誰もの日常にある

旅する写真展 古性のちさん

――旅についても伺いたいのですが、17ヵ国というのはどうやって決めたんでしょうか。

旅先を決める軸は2つありました。ひとつは、LCCでひたすら安いフライトを調べて、20パターンくらいの行き方を出し、一番旅費を抑えられる場所。もうひとつが「カワイイを切り取る」をテーマに旅をしていたので、自分の好みにあいそうな、カワイイものが集まりそうな国です。

後者は自分の趣味半分、ブランディングが半分だったのですが、帰ってきたときに、例えばフォトジェニックというテーマで仕事をしたかったというのが理由としてあったんです。「この人にお願いすると、こんなカワイイ写真を撮ってくれるんだな」と知ってもらえたら良いな、と思っていました。

――そうして訪れた各地の中から、展示用の写真を選んだわけですね。

具体的に言うと、実は写真展というわけではなくて、「ことばと写真展」なんです。伝えたい想いの部分、ことばがメインの写真展にしたいと企画したんです。なので最初は、ブログから自分のことばを抜粋して、それが一番伝わる絵はどれだろうかという視点で写真を選びました。

ことばを選んだ基準は、自分の心が激しく震えたときに書いた文章かどうか。すごい風景に出会ったときに綴ったブログから、その気持ちがわかるような文章を抜粋したり。そういったことばや風景のほうが、見た人の心にちゃんと届くんじゃないかと思うんです。

そのときの心情が伝わったり、読んだ人自身が、ドキドキしながら旅の疑似体験ができると良いなと思いながら写真やことばを選びました。来てくれた方に、「自分も旅をしたい」と感じてもらえる材料として写真やことばがある、みたいなところかもしれないですね。

旅する写真展 長野開催

――フォトグラファーの写真展であれば写真がメインですが、古性さんの写真展は、写真ではなく旅が目的なんですね。

そうです。旅する人を増やしたいとか、旅に興味を持ってくれる人が増えたら良いなというのが今回の目的です。なので究極を言ってしまえば、誰の写真展に来ているかわからなくてもかまわないんです。旅に興味を持ってくれて、実際に旅をすることで視点が変わったり、自分の国や地域の良さに気がつける人が増えたら、もっと良い世の中になるんじゃないかと思っています。

もちろん、みんながみんな旅に出なきゃいけないわけじゃないんですけど、選択肢として旅に出る自由を認識して欲しいという気持ちはあります。旅をしながら働くという選択肢が確かにあるわけで、行きたいと思っている人が、行きたいときに旅ができる世の中だよって。

旅って、特別なものじゃないんです。お金も期間も必要で、その間、仕事どうします? 家や家族はどうします? みたいに、特別でハードルが高いものだと思い込んでいるんじゃないかって。

でも実は意外と簡単なんです。海外でも国内でも、長期でも1泊2日でも日帰りでも旅ですし、途中でやめてもぜんぜんかまわないと思うんです。だからわたしの写真展も、各地でやるので、ちょっと足を伸ばしてみようかな、散歩がてら小さな旅をしてみようかなという、いつもとは違う場所に向かうきっかけになったら嬉しいですね。

旅に必要なものって、海外ならパスポートは必要ですけど、あとは何も持たなくて大丈夫なんです。旅は、ふらっと出かけられる日常にあるものですから。

【旅する写真展 開催場所・日時※入場は無料】
旅する写真展
長野:7/22(土)/23(日)京都:8/19(土)/20(日)広島:9/16(土)/17(日)福岡:10/14(土)/15(日)沖縄:11/11(土)/12(日)東京:12/1(金)/2(土)/3(日) 詳しくは こちら からご確認ください

<photo by http://www.brightlogg.com/>

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