韓国のフリーランス・副業者の実態。新しい考え方と国内労働力の3割に達する副業者フリーランス

韓国のフリーランス・副業者の実態。新しい考え方と国内労働力の3割に達する副業者フリーランス
お隣の国「韓国」では現在フリーランスの数が国内労働力の3割にものぼると言われています。この状況を盛り上げているのは、ここ数年突如として現れた「YOLO族」、そして新しい考え方を持つ若者世代です。彼らは超就職難といわれるこの時代をどう生き抜こうとしているのか、模索しながらもパワフルに生きる、韓国フリーランスの現状を韓国で7年間在住しフリーランスとして活動しているライターが紹介します。
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想像以上に多かった!?韓国のフリーランス人口

LA中央日報が2017年6月19日に載せた記事によると、韓国のフリーランス人口は今や国内労働力の約30%に達しているといいます。2016年韓国の人口は5,125万人、外国人労働者は約2.1%で54万人というところもあり、韓国の総労働人口とフリーランス人口を比較するといかに韓国内でフリーランス人口が多いことが分かります。

2016年韓国のGDPは約1兆4億ドルの世界11位、英語に関しては、EF EPIの2016年英語能力ランキングでは世界第27位、アジアで第5位と高ランクに位置しました。同じ2016年、日本のGDPは約4兆4億ドル、EF EPIランキングは第35位、アジアでは第10位です。

日本の約30%しか人口がいない韓国が、これだけの急成長を遂げた一つの大きな要因には「他の先進国との国際貿易の多さ」が挙げられます。2016年韓国における貿易依存度はなんと約80%と、急成長をとげる韓国において、フリーランスという働き方を選択する人々が増えています。

働きやすさに夢がある、「YOLO族」と呼ばれる生き方

なぜ韓国のフリーランス人口は、これほどまでに増加の一途を辿ってきたのでしょうか。それはここ数年、韓国社会で問題となっていた「学歴重視社会」や「勉強ばかりを強いられる学生時代」に反発する若者たちが「社会にでても再び就職難という壁にぶち当たるだけ」という、現実を見て「フリーランス」という働き方を選択し始めたからです。

現在韓国にはYOLO族(=You Only Live Once)という、人生は一度切りだから好きなように生きようという考え方が注目され始めています。「YOLO族」たちは貯金をせず、将来のこともあまり考えないというのがモットーで、今あるお金を自由に使いながら生きようとする生き方を選択しています。

韓国の親世代ではまだフリーランスという働き方に対し「収入が不安定」「年金等、国の制度に加入できない」などネガティブな印象を持つ人がたくさんいます。しかし、フリーランスで成功すれば「働きやすさに夢がある」「好きなことをしながら生きることができる」と、若者たちや「YOLO」という考えを持つ人たちに夢を与えている環境もあります。

2015年には高等教育機関(大学・大学院など)卒業就業者のうち5.3%がフリーランスへ

2017年4月7日文部科学省・韓国教育開発院によると、2015年の韓国高等教育機関(大学・大学院等)卒業就業者のうち5.3%がフリーランスであることが分かりました。この割合は前年度よりも0.1%増加した結果となります。新卒の内5.3%もの人がフリーランスになったというのは驚くべきことではないでしょうか。

第4次産業革命に突入した韓国社会で台頭し始めるIT企業

民泊として人気のAirbnbなどのプラットフォーム企業が勢力を増す韓国の市場では今、ほとんどの企業が内製する業務を削減しており、その多くは戦略や企画のような業務は各企業の正社員が受け持ちますが、プログラムを改修したり、資料を作成するといった事務的な業務はフリーランスに業務委託されるようになってきているのです。

この影響により、韓国のフリーランスの人たちにとっては大きなチャンスを迎えており、「一部業務のアウトソーシング化」というスタイルでフリーランスの需要は年々増加の一途を辿っています。

フリーランス・副業者に対する国内の印象〜自由な人生に憧れる考え方〜

トレンドに敏感な韓国の多くの若者たちは高校時代に、大変な大学受験の為に、夕食を学校で食べなけれなならない程、長時間の勉強を強いられて来ました。しかし社会にでようとすればそこには最近のデータだと、新規求人倍率は0.6倍前後ともいわれている想像以上の就職難という壁が立ちはだかります。そんな韓国の若者たちに新しい選択肢を広げたのがフリーランスという働き方でした。

韓国国内では現在フリーランスにとって有利になる法整備はまだ充実しているとはいえませんが、フリーランスの人口が安定的に多いこと、先ほど話したような理由からこれからも需要が増えて行くことが予想されることから、フリーランス達を救おう・彼らが安定的に働いて生活できる環境を作ろうと手を差し伸べる専門家や有識者の方が多数います。近い将来韓国ではフリーランスという働き方が当たり前の選択肢の一つになり、韓国の労働力を支える日が来ると言えるのではないかという考えもあります。

フリーランスという働き方は韓国社会に衝撃を与え「YOLO族」などの自由に生きる人々を生み出してきました。残業の多い韓国のサラリーマンたちにとっては自由に生きる彼らの姿は羨ましく思える一面があるようです。

しかし、韓国のフリーランス環境は今こういった理由により注目されることで、良い方向に整備しようと変化を始めています。今後この働き方が、多くの韓国人の働き方やライフスタイルに夢を与えることになるのではないでしょうか。

お隣の国を見て考える

今ある仕事を辞めて「YOLO族」という生き方を選択することはとても勇気がいりますが、成功すれば「人生のライフプランナーは自分自身」で、好きな時にカフェで仕事したり、行きたい時に海外旅行にだって行くことが可能になります。その他、子育てに集中できたり、家族との時間も増えることでしょう。

お隣の国韓国では、様々な社会的背景からフリーランスとして活動される方が多くなっています。また、「YOLO族」という新たな考え方が社会にも広まりつつあり、より自由な自分らしい生き方を探す方が多くなってきていると言えるのではないでしょうか。

私たちが暮らす日本でも「働き方改革」も始まり、終身雇用の時代が終わりを告げようとしていると言えるでしょう。こういった新たな考え方は、グローバリズムが進む現代において世界はもとより、日本でも今後広まっていくかもしれませんね。

(おわり)

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