誰もが見ている地下鉄路線図。作ったのってどんな人?

誰もが見ている地下鉄路線図。作ったのってどんな人?
働いている人々にとって、鉄道路線図は毎日視界のどこかに入ってくる身近なもの。見慣れていて親しみ深いはずなのに、どんな人が作っているのか、知っている人はあまりいません。奥深いマップデザインを手掛けるグラフィックデザイナー・大西幹治氏はそんな東京都の都営地下鉄の路線図をデザインしたデザイナーです。そして、実はランサーズで活躍しているフリーランスのデザイナーなのです。一体、どんな人なのでしょうか?今回そんなデザイナーの大西氏を取材しました。
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東京都営の地下鉄路線図を作った大西幹治氏とは?

大西氏が手がけた東京都営地下鉄の路線図は、デザインの中でも、インフォメーションデザインと言われているものです。これは人をナビゲートするデザインで、アイコンのようなサインシステムや案内図など、どんな人にもわかりやすいものでなくてはなりません。

複雑な地下鉄の路線や、各駅の位置関係など、理解しやすいものにしなければ見た人たちが迷ってしまうからです。情報を的確に伝え、案内をするインフォメーションデザインは、グラフィックデザインの中でも、人々の生活に密着しています。

利便性は元より、ずっとそこにあることで、安心感を与えてくれるインフォメーションデザインを作り出す大西幹治氏とはどんな人なのでしょうか。

インフォメーションデザインのプロ大西幹治氏へのインタビューをお届けします。

キャリアのスタートはデザイン制作会社から。9年後にフリーへ転向

――路線図を手がけられていますが、元々鉄道は好きだったんですか?

親族が鉄道会社に勤めていたこともあり、鉄道は身近でした。それゆえに鉄道は好きだったんですが、僕自身は小さい頃から漫画家になりたいと思っていたんです。東京に来て、デザイナーになろうと進路を決めてからもやっぱり漫画が好きな気持ちは変わらずで、デザインを主体としながらもキャラクターや漫画に関わるデザイン事務所を就職先に選びました。

――デザイナーとしてのキャリアはデザイン事務所からのスタートですよね

キャラクター関係のデザインが中心の事務所で9年ほど、仕事をさせていただきました。そこでは、誰もが知っているようなメジャーなキャラクターに関連したデザインをさせていただき、たとえば、ファンシーグッズやステーショナリーグッズの商品開発も担当していましたね。ちょうど入社はバブルの頃で、仕事量は多かったです。デザイナーもその会社だけで50人もいました。

今と違うのは、当時はパソコンがなかったんです。アナログな作業が多く、文字も写植。
現在はパソコンが主流ですが、当時はMacが市場に出てきたばかりでした。勤務先でも取り入れはしたんですが、価格や忙しさもあって、なかなか全員が使うという状況までにはなりませんでした。

――9年勤めた後に独立をされましたがきっかけは?

フリーランスになる人が周りに多かったので、自分もという流れです。今転職される方が多いですが、当時、周りは転職ではなく、独立する人が多かったんです。独立するのが当然という雰囲気があったので、9年目でそろそろというタイミングを感じました。フリーランスへの憧れというのも少しあったかもしれません。

インターネットが普及して、家でも仕事ができるようになったというのも、独立の大きな要因です。机についてパソコンで仕事をするスタイルが主流になると、パソコンと通信環境があればいいので、会社でなくても家でできるんじゃないかと考えたんですね。

独立にはビジョンが必要。けれど自分にはあまりなかった

ーー独立についてどう考えていますか?

月並ですが、フリーランスとして独立した後に、どんな自分になっていたいのかというビジョンは大切だと思います。

正直なところ僕自身は、周囲が独立していくのを横目で見ていたので、憧れや勢い、流された部分があったんです。フリーランスってやっぱり厳しいところがあるんですよね。営業も経理も経営も自分ひとりでやりますし、景気の波の影響も受けやすくて不安定ですから。

ただ自分は恥ずかしながら、どちらかと言えばビジョンはあまりありませんでした。流れに乗ったというところが今となって考えると大きかった様に感じます。

――あまりリスクを考えずに勢いでフリーランスになられたんですか?

将来的なことは曖昧ですが、まったくビジョンがなかったわけではなく、ぼんやりとはありました。当たり前ですが、仕事をくれるクライアントがいないと収入が途絶えますよね。そのため、ビジョンがないとは言っても、やめた後のクライアントを確保することは具体的に考えていました。おかげさまで、当時のクライアント様とは、今もおつきあいさせていただいています。

――では独立されてからは順風満帆な方だったんですか?

クライアントを確保できてはいましたが、順風満帆かと言えば、そうとも言い切れません。世の中の流れに左右されやすいのがフリーランスです。不景気だと仕事が減るというように、社会の情勢の影響を強く受ける立場です。景気によって依頼される仕事量も変わりますし、業務縮小などクライアント側の体制の変化にも影響を受けることもあるので、安定はしていないですよね。

フリーランスはよく自由と言われますが、会社員と違って勤務時間で区切られるわけでもないので、自由と感じる時間は減ったかもしれません。プライベートも仕事の時間になってしまうことも多いんです。業務はこの時間に終了させようとか、できるだけメリハリをつける工夫はしています。

――会社勤めと比較して、フリーランスの魅力とはどのような部分でしょうか

働いた分だけ、自分の報酬として返ってくるのはモチベーションになります。また自分の好きな仕事ができるのは、魅力です。依頼があれば、会社なら嫌でも受けざるを得ませんが、フリーランスなら選択をすることもできます。キャラクターなどが中心の会社なら、マップデザインのような案件はあまり会社に依頼が来ないので、関わることができませんが、フリーランスであれば、挑戦したいジャンルの垣根は越えやすいです。

Lancersに登録して、マップデザインの仕事が入るようになった

――Lancersに登録したきっかけは?

仕事を幅広く受けられるかと考え、登録しました。クライアントの間口を広げるためですね。

――今までのお仕事との違いや戸惑ったことはありますか?

クラウドソーシングならではの違いはありました。対面ではないので、ひとつひとつを丁寧なやりとりができるように心がけています。今までのやり方だと、打ち合わせでお会いしたり、電話という直接的なつながりになりますが、対面や電話でないオンラインのやりとりはタイムラグもありますし、時間や反応の予測もより必要になります。

――業務の内容は登録後に変わりましたか?

興味はあったけれど、実績がない仕事に挑戦ができるようになりました。今、マップデザインの仕事は殆どLancersからいただいています。実はマップデザインは好きではあったんですが、業務として今まで、そんなに依頼されることはなかったんです。

それがLancersでお仕事を受けるようになり、マップデザインの仕事実績が増えると、今度はそのポートフォリオを見て、またそのジャンルの仕事の依頼が増えていきました。好きなジャンルの仕事が広がったことはLancersに感謝ですね。

これからの展望は働き方の転換がテーマ。人を育ててみたい

――これからの展望について教えてもらえますか?

フリーランスから一歩踏み出そうと考えています。事務所を作るとか法人化など、そういうことですね。スタッフを抱えて組織的なものを作ってみたいんです。フリーランス歴も長いですし、年齢的に考えても、働き方を考えなくてはいけないなと。

――フリーランスのセカンドキャリアを考える人は多いですね

フリーランスになってから、ひとりでやってきたので、次の働き方としては、人を抱えて育ててみたいという考えもあります。自分のやってきたことを伝えたり後継者が欲しいというよりは、今までに自分がおこなってきたことを繋いでいく、という感覚でしょうか。

――マップデザインなどの作品は後世に残りますよね

路線図はパブリックなものなので、デザインが変更しても、以前のデザインという記録としては残っていきます。自分が作ったものが後世へと残っていくと思うと、やはり魅力的です。

(おわり)

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