ヤフー デザイナーが実践する、個人も会社もおいしい副業。

ヤフー デザイナーが実践する、個人も会社もおいしい副業。
副業デザイナーとして活躍する岡 直哉さんは、ヤフー株式会社で正社員として働いています。会社員兼フリーランスとして働くコツとは? 個人にも会社にもメリットのある副業とは? 「働き方改革実行計画」実現の課題となる、本業と副業の両立について聞きました。
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会社にも個人にもメリットがある副業事例

平成29年3月28日、政府が発表した『働き方改革実行計画』のなかで、「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定」が掲げられています。

副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。我が国の場合、テレワークの利用者、副業・兼業を認めている企業は、いまだ極めて少なく、その普及を図っていくことは重要である。 (働き方改革実行計画より)

副業や兼業の希望者数は増加する一方で、雇用主である企業側が認めるケースはまだまだ少ないという実情。これに対し政府は、明確なガイドラインを策定し、普及促進を図るとしています。合わせて、副業・兼業による新事業の創出や人手不足の解消など、先進事例を集め周知啓発を行なうとのこと。

「副業を認める企業は少ない」「副業による成果は先進事例」とされるなか、実行計画がまとめられる以前から、副業で実績を積み重ねる人がいるのも事実です。

ヤフー株式会社の正社員として、Webデザインを手がける 岡 直哉さん( Lancer of the year 2017 受賞)もそのひとり。平日は会社員として勤務し、休日を中心に副業をしています。

「副業は収入を得る手段ではない」と明言する岡さん。副業による成果は、本業であるヤフー・ジャパンの仕事に還元されていると語ります。

個人にとってだけでなく、会社にとってメリットのある副業のカタチとは?

副業に対しても、社内でポジティブな意見をもらえる

Yahoo!ロゴの前の岡さん

――新卒でヤフーに入社して5年目を迎えたそうですが、副業を始めたきっかけを聞かせてください。

2年ほど前から副業にチャレンジしました。1996年の創業時よりヤフーは副業が認められていましたが、入社時から意識していたわけではありません。

副業を始めた一番の理由は、自分がデザイナーとしてどのレベルなのかを知りたかったからです。3年くらい会社にいると、社内における自分の実力がわかってきます。でも会社を一歩出たときに、果たして通用するのか全然わからなくて。

社内でデザインのコンペが開催されたり、自分で立ち上げたりという経験はあったのですが、そのときは単純に面白かった。デザインに対する評価、デザインでの勝負で、勝ったり負けたりすることがすごく刺激的だったんです。

そんなときに思い出したのが、大学時代に使ったことのあるランサーズのロゴコンペでした。初めて参加したときは次点のような結果に終わって悔しかったんですね。しばらく続けていたら、徐々に選ばれるようになって。

ヤフーに入社してからはすっかり忘れていたんですが、外の世界を見たいと思ったときに、あそこ(ランサーズ)だったら自分の実力を計れると気づきました。だから最初はお金をもらえるとか、副業をしたいという動機ではなかったんです。

――ヤフーで副業をする場合は、会社に許可をもらうんですか?

社内のWebシステムで申請します。どのくらいの期間、どんなことをやって、いくらくらい収入があって、本業に支障はありませんといった届け出をするんです。

最終的に、上長と人事の承認がいただければ副業を始められます。ヤフーの業務に支障を及ぼす内容でなければ基本的にNGということはありません。僕の場合は本業と直結することなので、許可を得やすかったように思います。

――副業を始めたことで、上司や同僚から何か言われることはあるんですか?

上司と面談をしたときに、「どんなことやってるの?」みたいなことを聞かれたことはあります。副業をやめさせたいとかではなく、技術を磨いていると捉えてくれるので、「それは良いことだ」みたいなフィードバックをもらったり。チームのミーティングで副業の実績を披露したこともあります。

――そこで意見をもらったりするんですか?

先輩から「ここをもう少し、こうしたほうがいいかもね」など、デザインのフィードバックを受けることがあります。副業は副業として独立した仕事なんですが、会社の仕事においても良い循環があると感じられますね。

副業で得るべきは、会社にはない体験

副業について語る岡さん

ーーデザインのフィードバックを受けたりというのは、会社の仕事でも発生しますよね。社内の仕事に精を出すのではいけなかったんでしょうか。

もちろん社内の仕事だけをがんばるというのは、選択肢のひとつですし、とても大事なことだと思います。僕の場合は副業として多くの仕事に挑戦することで、もちろんデザインのスキルは身につきますし、スピードがすごく増したという実感があるんです。

平日は会社の仕事をやりきるので、副業をやるのは土日のどちらか。会社を定時で帰れることがあれば、平日の夜に副業をすることもありますが、基本的には休日です。

週に1日という制約のなかで作業をするので、あまり悩んでいる時間はありません。取捨選択を上手くやっていかないと間に合わない。

修正が発生した場合は、次の土日まで待ってもらえるならお待ちいただきますが、納期が迫っていたら帰宅したあとの短時間で対応します。そのおかげで、考えることも手を動かすことも圧倒的に早くなったんじゃないでしょうか。

他にも社内の仕事との違いとして、クライアントと直接やりとりすることがあります。広範囲に及ぶディレクションを経験できるのが、副業で得られた一番の体験ですね。

ヤフーでの仕事は、プロジェクトが大掛かりなことが多いので、細分化された分業になります。自分の受け持つ範囲が明確というか、限定的なんですね。僕の場合は、Webデザインという持ち場で最大限のパフォーマンスを発揮することが求められます。

これはこれでとても大変ですしやり甲斐があるんですが、個人でやるときは全部を自分ひとりでやらないといけない。いちデザイナーとしての頭でいるとスムーズに進捗しなかったり、社内ではあまり起こらない問題に直面したり。そこがすごく勉強になってますね。

――デザインスキルの研鑽、ディレクションへの挑戦と、副業によって縦と横にご自身のスキルを高めていらっしゃるんですね。

副業での経験が、本業にフィードバックできる

lancer of the year2017受賞の岡さん

――ブラック企業みたいな話になってしまいますが、会社の仕事をもっとたくさんやってスキルアップして欲しいと思う企業もあると思います。それでも副業が良いと、会社も思える理由を挙げるとしたら?

副業で依頼いただくのは、最近はランディングページの作成が多いのですが、クライアントごとに目的や業種、知識に違いがあるんです。

飲食業界であったりファッション業界であったり、金融や人材……と多様で、僕自身は本業では触れることのなかった人たちとやりとりをしますし、業務知識という面でも初めて触れることが増えています。

なにより大きいと感じるのが、Webやインターネットに対するリテラシーに幅があることです。社内では当たり前に通用していた言葉や常識でも、そのままコミュニケーションを図るとズレていくことが多々あります。

IT業者のプロと呼べる人がそろっていますので、ヤフーには高いITリテラシーを持つ人が在籍しているのではないでしょうか。でも副業先のクライアントには、それこそ小さな工房のかたや、WebやITとの接点が少ない営業担当者もいらっしゃいます。僕が社会人になって接してきた人たちとは興味関心に大きな違いがありました。

――Webのことをイチから説明する必要があるんですね。そこにわずらわしさやコミュニケーションコストを感じないのでしょうか。

理解していただくのは大変なときもありますが、それ以上に自分のデザインが伝わらないことのほうが苦しくて。説明することで受け入れていただけるのなら、いくらでも説明させていただきます。

納品時にはデザインの説明書を添えているんですが、そういう物が必要だとか、意味があると実感できたのも大きいですね。

それにYahoo! JAPANというサービスは、専門家のようなリテラシーを持つ人だけを対象にしているわけではありません。当然、リテラシーの高くない人にも使っていただきたいですし、そういう人からみても使いやすいサービスであるべきだと思うんです。

ところが社内だけで仕事をしていると、より幅広いユーザーに受け入れられる使い方を忘れがちになってしまう。接する機会もないままだったので、副業によって新しい知識を得られているように思いますね。

副業で得た知識を活かして、さらに副業によって磨かれたスキルを活かして、ヤフーだから挑戦できる規模の大きなプロジェクトに還元していけるのなら、会社としても意義を見出してくれやすいんじゃないかと期待しています。

――この先、副業や兼業をする人が増えていくと予想できます。一方で、雇っている会社がどのようなスタンスで許可していくかは、明確な解が見いだせていません。そのなかで岡さんとヤフーの関係性は、課題解決のひとつになりそうだと感じるお話でした。

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