熊本地震で再認識。いつでもどこでも働けるフリーランス

熊本地震で再認識。いつでもどこでも働けるフリーランス
雑誌の編集者として編集の道に入ったという井手さん。現在はWeb媒体を中心にフリーランスのライター・編集として活動をしています。雑誌では取材撮影・原稿執筆だけでなく、カメラマンやクライアントとのやりとりなど多岐に渡る仕事を学んだとのこと。もともとは紙媒体の出身ながら、ランサーズなどWebの仕事にシフトしたのはあの熊本地震が契機。場所や時間に制約されない、避難先でもどこでも仕事ができることに魅力を感じたと語ります。
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「好き」だけで入った編集の仕事

もともと文章を書くのが好き。小学校の読書感想文では、いつも賞をもらっていていました。そんな私が大学卒業後就職したかったのは、大手出版社。

しかしロクに対策もしていなかったため、当然、全敗でした。

その後紆余曲折を経て、20代終わりに地元の雑誌社に転職。ここから、私の編集者人生がスタートしました。実際入ってみると、地方の雑誌社の宿命か、本当に何から何まで一人でやらないといけませんでした。

編集の仕事で原稿を書くのは2〜3割程度でその他は、企画立案、クライアントやカメラマンさんとのやり取り、取材撮影、校正……。営業をすることもありました。

「思っていたのと違う!」と感じながらも、雑誌が発行される度に、何とも言えない喜びや重みを感じました。多くの人が携わって、はじめて1冊の雑誌が完成します。段々と文章を書くだけでなく、担当したページのディレクションを考える楽しさも分かっていきました。

現在、Webライティングや編集の仕事がメインになりつつありますが、この時に学んだ色々な力は、フリーランスとして働くに当たっても多いに役立っています。

紙の編集からWebの編集へ

最初に作った雑誌は、女性向け月刊誌でした。企画立案、外部の方々とのやり取り、取材撮影などとても忙しかったけれど、一通り仕事を覚えてやりがいが芽生えたころ、大事件が起こりました。

よくある「誤植」ですが、なんと大手ブライダル会社のブライダルフェアの日付を間違える、という大変なもの。担当は私ではありませんでしたが、雑誌の回収、アルバイトまで雇って誤植部分のシール貼りなど、すべて編集部総出で行なったのを覚えています。

広告代もおそらく請求できなかったと思います。この事件は、私に仕事の重みを考えさせるものでした。

その後、結婚して夫の赴任先ベルギーで在白日本人向けフリーペーパーの編集や、帰国後企業広報誌の編集長業務などキャリアを重ねました。編集長業務では、雑誌1冊すべてをディレクション(総編集)する技術を獲得できたと思います。

そして、出産を経て、フリーランスに転身。地元・熊本の雑誌を中心に、取材撮影・原稿作成などをメインにフリーランスとしての仕事をスタートしました。フリーランスとなって最も気をつけていることは、雑誌ごとのターゲットによって文章をかき分けることです。

テレビやラジオなどより明確に雑誌はターゲットが異なります。女性誌、観光用雑誌、郷土の歴史本、企業広報誌など、それぞれの読者の性別・年齢・嗜好などを考慮に入れて、読者目線の「分かりやすい」「読みやすい」をモットーにいろんな原稿を書いてきました。

いつでもどこでも仕事ができる、ということの大切さを地震で実感

現在、私が住んでいるところは熊本です。2016年4月にあった「熊本地震」で私の仕事も大きく方向性が変わりました。というのも、地震で地元の仕事がなくなる中、手元に残ったのは、クラウドソーシング(ランサーズ)を経由してのWeb媒体の仕事だったからです。

4月16日本震の夜、少しの着替えと食べ物、パソコンと取材ノート、WiFiルータを持って余震の続く中、外へ脱出したことは今でもはっきり覚えています。

隣から落ちてきた瓦で車は全損、遠くに逃げられず、近くの小学校の運動場で家族全員で一夜を明かしました。夜が明けてから夫の車を置いている少し遠い駐車場まで歩いて行き、隣の県の実家へとやっと避難しました。

心の中は混乱していましたが、ランサーズで受けていた仕事があったため実家で仕事をし、さらに「熊本地震」の体験記事を一つ書きあげて納品しました。

この記事が「Yahoo!」のトップ記事となり、多くの人々にSNSを通じてシェアされ、Web上に記事を発信することの面白さを感じました。また、地元では出版社、印刷会社すべてストップしている中で、やるべき仕事があるというのは大きな驚きでもありました。

避難先でもどこでも仕事をしたり、仕事を受けたりできる……。熊本に帰れるかどうかわからないなかで、「仕事がある、食べていける」ということが大きな心の支えとなったことは間違いありません。

地元から世界に発信していきたい!


今の私は、編集やライティングの仕事をしていますが、もう一つ子育てという大切な仕事もあります。どちらもバランス良く、仕事と子育てを両立できるのも、好きな時間に働けるのもフリーランスならではですね。

紙・Webと両方の媒体の編集経験をして思うことは、基本は一緒だということです。目的は読者の目に止まること、読者に読んでもらうこと。

そのために見やすくて綺麗なレイアウトでなくてはいけないし、読みやすい、分かりやすい記事であることが大切です。面白い・楽しい・ためになるなど、読者に何らかの価値や感動を与え、何らかの行動をしてもらうことが編集者の役割だと思います。

どちらも出来る・わかる編集者として、これからはメディアミックスにも興味があります。手元にしっかり残る紙媒体、自由度の高いWeb媒体を組み合わせて、地元の特産品などを発信するお手伝いができればと思っています。

これからも新たな媒体がでてくるかもしれませんが、どんどん新しいことを取り入れ、いろんな可能性を信じて楽しく仕事ができればと思います。

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