個人事業主が住宅ローンを借りるときに知っておくべきこと

個人事業主が住宅ローンを借りるときに知っておくべきこと
個人事業主の方も、住宅ローンを借り入れて住宅を購入することはあります。しかし、個人事業主の場合はサラリーマンと収入の見られ方が異なったり、審査ポイントが異なったりする場合があるのです。上場企業にて新築マンション販売の経験のある筆者が「個人事業主が住宅ローンを借りる時に気をつける事」を解説します。
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個人事業主は住宅ローンを借りられるか

個人事業主も住宅ローンを借りることはできます。しかし、サラリーマンが住宅ローンを組むよりは、個人事業主が住宅ローンを組む方がハードルは高いのも事実です。理由は、住宅ローン審査は「継続的に」「安定的に」収入があることに重きを置いているからです。

住宅ローンの審査基準については次項で詳しく解説しますが、住宅ローンを融資する金融機関が、最も恐れることは「債務不履行(返済不能)」状態です。そのため、債務不履行にならないプロフィールとして、安定的かつ継続的に収入があるという点を審査基準に置いています。

その「安定」「継続」の観点からは、個人事業の方がサラリーマンよりも厳しいという風に見られやすいのです。そのため、個人事業主の方が住宅ローンを組むことは困難になるというワケです。

住宅ローンの審査ポイント


住宅ローンの審査ポイントについて解説します。金融機関が住宅ローン審査でポイントに置くのは以下の通りです。

  • 収入に関するプロフィール(年収、会社規模、勤続年数など)
  • 個人に関するプロフィール(年齢、転職歴など)
  • 信用情報に関する履歴(延滞履歴など)

まずは、借入者の年収や会社規模、勤続年数などを審査されます。これは、前項で解説した「収入の継続性・安定性」を審査するためです。ここで大事になるが、「返済負担率」です。返済負担率は「月々返済額×12か月/年収」で算出されます。

要は、「年収に対して住宅ローンの返済がどの程度の金額になるか」というものを数値化しているのです。この返済負担率は、借入者のプロフィールにもよりますが、多くの金融機関では35%で設定しています。また、月々返済額は「審査金利」と言って少し高めの金利で算出するので、一回金融機関で算出してもらうと良いでしょう。

ただ、返済負担率が数字内で収まっていても、年齢が高かったり、転職歴などが多かったりすると、審査が否決になることもあります。さらに、「自己資金率」も審査対象になります。自己資金率がどのくらいであれば審査に通るという明確な基準はありません。ただ、1つの目安は「10%」と思っておきましょう。

最後の「信用情報」は、金融機関が最も厳しく見るポイントです。過去に延滞歴があった場などには、まず住宅ローン審査は通らないので注意しましょう。

住宅ローン審査に必要な書類


つづいて、住宅ローン審査のときに必要な書類を紹介します。個人事業主が住宅ローン審査するときの主な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書3期分
  • 身分証明書(運転免許証など)
  • 借入償還表(ほかの借り入れがある場合)
  • 職歴書(転職歴がある場合)

まず、収入を証明するために確定申告書が必要となります。金融機関によっても異なりますが、収入の浮き沈みをチェックするために、大体の金融機関では「3期分」を求めることが多いです。なぜなら、直近だけ収入が良くても、浮き沈みが激しい場合は審査に否決になるケースがあるためです。

また、ほかの借り入れがある場合には借入償還表が必要ですし、転職歴がある場合には職歴書が必要になります。

住宅ローンは現在低金利ですので、まずは各金融機関を比較することが重要です。そして、各金融機関を比較した後は、「変動金利」「全期間固定金利」「一定期間固定金利」のいずれかを選択する必要があります。

たとえば、全期間固定金利であれば、「フラット35」がおススメです。各金融機関は毎月金利を変えますので一概には言えませんが、フラット35が全期間固定金利の中でも最も低金利であることが多いからです。また、フラット35の審査は会社員や個人事業主などの「勤務形態」よりも、収入によって判断されるケースが多いです。ただ、いずにしろ各金融機関の金利を比較してみましょう。

住宅ローンを組むための今からできる準備

個人事業主が住宅ローンを組むときにできる準備は、「確定申告の所得金額」を調整することです。端的にいうと、「経費計上して所得を減らしすぎないようにする」ということです。なぜなら、個人事業主とサラリーマンの大きな違いは、「収入の見方」にあるからです。

サラリーマンの場合には、源泉徴収票の「額面金額」で審査されます。つまり、源泉徴収票に記載されている最も大きな金額ということです。しかし、個人事業主の場合は額面金額ではなく、「経費」を差し引いた所得金額でジャッジされます。

そして、個人事業主は所得を少なくして節税するために、できるだけ経費を多く計上しようとするのです。経費を多くして所得を下げれば、所得税・住民税額も下がります。しかし、一方で金融機関の審査時に見られる「所得」が下がってしまうのです。

そのため、個人事業主の方で将来的に住宅ローンを組みたいと思っている方は、余計な経費を計上しないようにしましょう。また、先ほどいったように個人事業主は3期分の確定申告が見られるので、前もって所得額を多くしておかないと住宅ローン審査には通りにくいです。

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