東洋経済が放つ女性向け新メディアに込めた想い/ランサー&クライアント対談

東洋経済が放つ女性向け新メディアに込めた想い/ランサー&クライアント対談
東洋経済が新メディアの立ち上げに際し、媒体名とロゴデザインのコンペを開催しました。ネーミング1112件、ロゴデザイン216件という多くの提案を集めた同コンペ。ネーミングコンペ当選者とともに、東洋経済社へ訪問してきました。ランサーとクライアントが語り合う、新媒体とメディア名に込めた想いとは。
LANCER SCORE
165

ネーミングコンペ開催! 受注者と発注者は、何を思ったのか

東洋経済社『ハレタル』編集長の堀越さんとフリーランスの笠原さん

日本最古の経済誌『週刊東洋経済』で有名な東洋経済新報社が、2016年7月に立ち上げた女性向け媒体『 ハレタル 』。子育て期の女性が漠然と抱いているモヤモヤに寄り添い、新しい気づきを提供するWebメディアだ。

『ハレタル』という媒体名と清々しいブルーのロゴは、ランサーズを利用した一般公募で決定した。創刊に合わせて、名付け親となったフリーランスの笠原氏と編集長の堀越氏の対談が実現。対談から見えてきたのは、顔の見えない仕事の受発注というクラウドソーシングにおいても、気持ちを理解し合えるという事実だ。

発注者が想いを伝える方法、受注者が汲み取る方法、集まった提案から厳選するまでのプロセスを紐解く。

Webだけで完結しない、フリーペーパー、イベントへと発展するネーミング

東洋経済社『ハレタル』編集長の堀越さんとフリーランスの笠原さん

ハレタルのネーミング案を考えた笠原さん(左)とハレタル編集長の堀越さん(右)

――自己紹介を兼ねて、なぜコンペを開催したのか、どうして応募したのかをそれぞれお聞かせください。

堀越(東洋経済社):これまでの東洋経済という会社は、『週刊東洋経済』や『会社四季報』に代表されるように、ビジネスを中心とする渋めの媒体をやってきました。数年前から『東洋経済オンライン』というWebメディアもはじめましたが、やっぱりビジネス色の濃いもの。

それが2年前に、女性向けメディアをつくろうということになったんです。構想から2年をかけて、ついにこの7月15日にローンチすることができました。

企画を膨らませていくなかで、Webメディアだけで終わるのはもったいないんじゃないかという意見が出てきたんですね。フリーペーパーの発刊や定期的なイベント開催など、インターネットの場を起点としながら広がりを持たせたいと。第1回目のイベントは、すでに場所と日程が決まっています。9月15日の仏滅なんですけど。

――ネットや紙、イベントという複合メディアの中心に据えられて、取り組みのすべてをつなぐ存在として、今回のネーミングがあるわけですね。

笠原(フリーランス):思っていたよりも、ずっと責任のあるネーミングなんだといま知りました。想像していたのは紙ものだったんです。それが、Webがあって紙もあって、イベントまで広がっていくなんて。ああ、なんだかすごいコンペに当選してしまったぞ……という気分です(笑)。

とはいえ、ネーミングを考える基本の部分に変わりはなかったと思います。媒体の冠となるネーミングですから、メッセージ性を伴って人に影響を与えたり、名前が独り歩きすることもあるでしょう。読者がどう感じるのかを考えつつ、発信者の想いをきちんと込めていく必要があります。読者と発信者をつなぐ役割を果たしますから、二つの条件を捉まえないといけない。

――そうやって生み出したのが、『ハレタル』というネーミングですね。産みの苦しみについて伺う前に、笠原さんの経歴などを教えてください。

笠原:昨年末まで、正社員として美容関連の仕事をしていました。フランスから化粧品を輸入したり、それをどう広めていくのかを考えて実行する、ブランドマネージャーという役割です。10数年間、会社員として働いていたわけですが、生真面目な性格ということもあり、働き過ぎてしまった。体調を崩して、仕事は楽しいと感じていたけど、身体がNoと悲鳴をあげたんですね。

会社のためにとか家族のためにとか、自分のことをおざなりでガムシャラに働いてきた10数年。これは一度リセットするタイミングなんじゃないか、もっと自分を大事にするべきなんじゃないかと考え、退職という選択をしました。身体を壊しましたけど、次の段階まで行ってしまったらもう帰ってこられないって、恐怖に感じたんです。

発注者の想いを伝える依頼方法と、受注者の自分事

ネーミング案を選ぶ東洋経済編集部

1112件のネーミングから『ハレタル』を選出する編集部の皆さん

――長年勤めた会社を辞めて、療養を兼ねてフリーランスという働き方を選んだのでしょうか。

笠原:いざ退職してみると、時間の使い方というかスピード感に戸惑ってしまって。すごい暇になって、逆に不安で仕方なくなったんです。だったら何かはじめようと思ったときに、手軽にはじめられたのがライターでした。

実は、それまで携わっていた化粧品のブランドマネージャーという仕事は、ターゲットに情報を届けるという行為に親和性があるんですね。薬事法に触れない範囲で、効果効能を伝えなくてはいけません。ターゲットの異なる商品が年間50種類以上あるなかで、それぞれの魅力を噛み砕いて伝えるというコミュニケーションの仕事でしたから。

――そんな笠原さんがランサーズを利用して、偶然にも今回のコンペに参加したわけですが、東洋経済さんとしては、クラウドソーシングで公募という試みがチャレンジングだったのではないでしょうか。

堀越:そもそも、クラウドソーシングを理解している人は少なかったですね。ですから資料のはじめは、クラウドソーシングという仕組みがあって……というところから説明を入れていました。

わたし自身がクラウドソーシングでの公募を提案したこと、社内で理解が得られたことのひとつに、『ハレタル』の想定ターゲットと親和性が強いと思ったからなんですね。

読者となっていただきたい人たちは、子育て中の女性たちです。働きたくても仕事ができなかったり、育児というとても大切で責任の重い役割を担いながらも、どこかでモヤモヤを抱えているような女性たちが主なターゲットとなります。

彼女たちにとって、クラウドソーシングという働き方は有効だと思いました。そういう働き方があることを伝えたいし、すでに活用している人も含まれるでしょうから、とても相性がいいだろうと。

――明確な想定読者と媒体に込める想いみたいなものが、笠原さんはもちろん、コンペ参加者に伝わったのだと思います。コンペの依頼文にあった「媒体に込めるメッセージ」が届いた結果、1112件もの提案があり、結果として『ハレタル』が選ばれました。

媒体に込めるメッセージ(依頼文章より)
子どもの成長をすぐそばで見守りながら、家族の幸せを祈って過ごす毎日は充実しています。でも、「わたし」自身の10年後、20年後はどうなっているのか、考えたことがありますか。子どもはやがて私たちの元から巣立っていきます。そのときのために、少しずつでいいから「わたし」自身のことを考えてみてほしいのです。日々の暮らしに新しい気づきを取り入れ、外に出てはじめの一歩を踏み出してみませんか。20年後の「わたし」のものがたりが、いま始まります――

笠原:コンペが開催されたその日に、幸運にも見つけることができたんですね。雑誌(週間東洋経済)を読むことがありましたし、表紙や電車の中吊りとかでもビっとくるメッセージがあると思っていました。その東洋経済が女性ターゲットのメディアって、いったいどんなものだろう? と興味を持ったんです。

コンペ概要をみると、まさに自分のような女性、年齢だったりキャリアを諦めた人がターゲット。子育てを経験した後にキャリアに戻れるのかという不安や疑問って、本当に多くの女性が抱えていることだと思うんです。

後ろ向きになることもあるでしょうが、それでも果敢に挑戦していく姿勢や気持ちの在り方を伝えられたら……、想定読者のような心境だった自分自身に言い聞かせるようにネーミングを考えたんですよね。

期待と責任、使命感を共有できたネーミングコンペ

ハレタルに込めた想いを語り合う堀越さんと笠原さん

――『ハレタル』というネーミングができるまでは、どのくらいの時間がかかったのでしょうか。

笠原:すぐつくれました、今回は。

ネーミングや文章、デザインなどのクリエイティブワークをする際に、アイデアノートみたいなものを使ってるんですね。音やイメージからくるものを、バーっと書き出して。

しばらく寝かせて、もう一度考えるんです。ターゲットの志はどういうものなのだろう、とか。ターゲットの状態だったり行動を、セカンドキャリアって表現するケースがありますよね。でもキャリアとは言いたくないな、もっとナチュラルだよねとかを書き込んでいく。

それから一日おいて、俯瞰して考えなおしたり、消したり書き足したり。逆説的な表現を取り入れてみたり、音の感じ、文字を声に出して読んだ印象を試したり。

最終的に5案できて全部を応募したんですが、自分のなかでも『ハレタル』がイチオシだったんです。字面のバランスがいいし、音もいいし、明るい未来を想起するメッセージ性があると思いました。

笠原さんのネタ帳

実際に笠原さんが『ハレタル』のネーミングを生むために使ったノート

堀越:そうやって考えてくださったんですね。しかも5つも。

――1112件もの応募があったわけですが、同じように考え抜かれていて、メディアの当事者のような気持ちで作成されたわけです。採用案を選ぶのが難航したのでは?

堀越:応募を閉めきってから関係者7名が、それぞれ気に入ったものを5案持ち寄ったんですね。30~40個に絞られたなか、ほとんど重複はありませんでした。重複したのは2つかな。『ハレタル』はそのひとつです。

提案の順番は880番目くらい。そんなことまで覚えているくらい(笑)、わたしともうひとりがイチオシで。全員の候補を一覧にして会議をしたんですが、他のメンバーも『ハレタル』をみたら、「こんなのあった?」「すごくいいね」という感じでした。

2~3分で決まったんじゃないでしょうか。そのくらい、関係者全員を惹きつけるパワーを感じました。メディアに込めた想いを、見事に言語化してくれた。しかも媒体名というすごく短いフレーズで。

視野が狭くなってしまったターゲットに、ちょっと視線を上げてみると全然違う世界が広がっていて、ちょっと先の方に明るい日差しが、未来があるんだということを媒体メッセージとして言いたかったんです。ユニークなものはたくさんありましたが、笠原さんの『ハレタル』が一番、伝えたいメッセージを表してくれたんです。

――そうやって選ばれた『ハレタル』ですが、もうひとりフリーランスのかたが関わっています。ロゴデザインを作成した、古賀 彩乃さんとおっしゃるデザイナーさんです。ネーミングと同じようにコンペが開催され、216案のなかから選ばれました。制作過程について伺ってきましたので、お伝えさせていただきます。

まず、『ハレタル』という名称に惹かれました。清々しい響きや凛とした雰囲気、ネーミングから受けるイメージとご依頼内容がとてもリンクしていました。採用いただいたロゴのイメージがすぐに湧いて「これ!」という完成形が頭のなかで見えたことを覚えています。

また依頼の詳細を読み進めると、込められた想いなど、希望の溢れたメディアに自分の作成したロゴを使っていただくことが出来たらとワクワクしました。

コンペで選ばれたハレタルのロゴ

古賀さんによる、ロゴの制作過程

メディアに込められている、「新しい自分」を求めている、「新しい自分」が始まるというメッセージに強く共感できたんです。わたし自身がランサーをはじめた理由が、まさに「新しい自分」を求めた結果でした。

自分の得意な事や分野、自分の培ってきたものをどうにか活かすことは出来ないか? このまま、なにものにもなれず終わるの? 「私はわたし!」と言いたい。そんな思いを悶々と抱えていました。そんな自分に、一筋の光が見える。「明日、晴れたる」。なんだかとても勇気づけられる思いでした。

そんな予感を発信するメディアは、対象読者の皆様に対しても力強いメッセージを与えられるものだと期待し、楽しみにしています。

コンペで選ばれたハレタルのロゴ

ランサーズのコンペによって作成・選ばれた『ハレタル』のロゴ

――いかがでしょうか。まさに想定読者層のお二人がメディア名とロゴをつくり、それぞれが読者としても期待しているメディアがはじまりました。

堀越:まだはじまったばかりなんですが、とても感動しますね。同時に、ものすごいプレッシャーを感じています(笑)。こんなにも期待してくださるかたがいて、わたし自身の伝えたいメッセージがきちんと届いていて。

でもそれをどのようにコンテンツに載せて発信するかは、まだまだ試行錯誤です。思いばかりが先行しても上手くいかないでしょうし。

とはいえ貴重な機会をいただけたこと、大きな期待をいただけていることから、笠原さんと古賀さんはもちろん、読者の皆さんに対する使命感をあらためて持つことができました。

メディアの更新、フリーペーパーの創刊、そしてイベントの開催とやるべきことはたくさんあります。リアルに集まっていただく場では、「なんとなく来たけど、いろいろな体験ができて、帰るときにはなんだか背筋が少し伸びている」、そんなきっかけを提供したいと思います。

――ありがとうございました。依頼主と当選者が対面でコンペについて想いを交換するという、とても興味深く貴重な機会となりました。笠原さんと古賀さん、コンペに参加したランサーさんの想いをのせたメディアが、多くの人に受け入れられるのを楽しみしています。

<おわり>

RECOMMEND
関連記事