「車離れ」なんてもったいない!車ライターが語る、スポーツカードライブの“気持ちよさ”
エコカーやミニバンよりも楽しい車がある
1908年に「T型フォード」が発売されてから早くも1世紀が経過し、車は、デザインも用途も時代に合わせて大きく変化してきました。
21世紀となった現在、街を走っている車を見ると、最も目につくのはエコカーやミニバンです。それらは、地球環境に配慮した、あるいは家族とモノをたくさん積んで外出するという目的のためにできた、必然の形であり完成形であると言えます。
でも、オートマのエコカーやミニバンよりも、運転していて楽しい車がありますよね。それは、『マニュアルシフト+FR(フロントエンジン・リアドライブ)』の車だと私は思います。
今、「お父さん」としてエコカーやミニバンに乗っている方も、若い頃にはそんな車に乗って、人車一体となる喜びを感じていたのではないでしょうか。
かつての若者は、車に夢中だった!
ここでちょっと視点を変えて、1970年代から80年代に目を向けてみましょう。それは、国内のモータリゼーションが加速度的に進化した時代で、車もバイクも、最も輝いていた時代だと言えます。若者にとって、「いい車」に乗ることは大切なステータスであり、メーカーもこぞって新型車を販売しました。
今見れば、ボディ剛性は低い、タイヤは細い、ABSもエアバッグもない。確かに欠点もありますが、何より「熱い」車がたくさんあります。具体名をあげれば、「ハコスカ」と呼ばれたスカイライン、フェアレディZ、ギャランGTO、RX-7、セリカなど。
これらは未だに根強いファンが多いです。それらに共通しているのは、もちろん70年代のデザインもありますが、運転する楽しさを存分に味わえるマニュアルシフト+FRを採用しているからに他なりません。
「名車」と言われる車の特徴
そういう視点で見ると、「スーパーカー」あるいは「スポーツカー」と言われる車は、国産車輸入車を問わず、ほとんど全てと言っていいほど、FRかRR(リアエンジン・リアドライブ)の形式を採用しています。
つまり、フロントタイヤは操舵専用、リアタイヤは駆動専用と分業しているわけです。確かにFR車やRR車にはドライブシャフトが必要ですから、車体は重くなります。また、エネルギー伝達ロスもあります。でもそれらを補っても、FR車には、運転する楽しさに満ちていると言えるのです。
マニュアルシフト+FRの楽しさ
楽しさを端的に言うと、アクセルペダルを踏む右足が後輪から路面にダイレクトにつながり、両手はステアリングを握りながら路面と対話するという感覚です。
例えば峠。迫り来るコーナーのRを読み切り、ブレーキをかけながらシフトダウンし、ギアを選びながら回転をキープ。
そしてクリッピングポイントを過ぎたら思い切りアクセルを踏み、シフトアップ。ステアリングを戻しながらミラーを見ると、風景は勢いを増して後方に飛び去ってゆく……。
こんなシーンですよね。現代のFR車は、技術も進化しており、速く、そして何より安全に走ることができます。昔乗っていた方は、その喜びを再び、そしてFRに乗ったことがない若い方には、その大いなる楽しさを知っていただきたいと思います。