YOUは何しにベルリンへ? 今、多くの若手フリーランスがベルリンに集まる理由とは!
若者たちはなぜ、ベルリンの地を選ぶのか? 生の声を聞き、その理由を探る!
ドイツの首都、ベルリン。私はここに住んでようやく1年が経ちました。今までベルリンに住んでいるフリーランサーの日本人の取材を通して、どうしてベルリンを選んだのか、どんなところに惹かれたのかを探ってきた私ですが、ベルリンにやって来ているのはもちろん、日本人だけではありません。
近隣のヨーロッパ出身の若者たちも、ベルリンならではのカルチャーや空気感を求めて続々と、この地にやって来ています。
今回は、数多くの若者を惹き付けるベルリンの雰囲気や、実際にどんな人がどんな理由でベルリンにやって来ているのか、ベルリンに住むオーストリア出身のフォトグラファー、ソフィーさん(27)への取材を通してお送りいたします!
ベルリンに来たきっかけは「ベルリンに恋をしたから!」
ソフィーさんは2013年の11月に出身地のオーストリアからベルリンへ引っ越してきて以来、フリーのフォトグラファーとして活動をしています。
私が気になったのは、比較的に国際的な環境であるヨーロッパに住んでいながら、ヨーロッパの若者があえてベルリンに引っ越す理由です。日本からベルリンに引っ越してフリーランサーとして活動する人達は、こちらの開放的な雰囲気やゆったりとした時間の流れなどを求めている印象があります。
オーストリアでフォトグラファーとして活動するよりも、ベルリンが良い理由は一体何なのでしょうか? ソフィーさんはこう言います。
ソフィー:私は17歳のとき、1年間ウィーンで写真の勉強をしましたが、あまり好きじゃなかったんです。街は本当に綺麗ですが、なぜか合わなくて。その後、いろんな場所を旅しながら写真を撮っていました。
そんなある日、ウィーンに住んでいる兄を通して、ベルリンに住んでいる3人の兄の友人と知り合って。みんなが、絶対君はベルリンを気に入るから遊びにおいでよ!と言って彼らの家に5日間泊めさせてくれることになったんです。
最初は、「え〜なんでベルリン?」と思っていましたが、そのときの滞在で完全にベルリンに恋をしました! 男の子にじゃなくて、ベルリンにですよ。ここ重要です(笑)。それでウィーンに戻ってから3〜4週間後にはベルリンに引っ越しちゃいました!
世界的に有名なDJが集まる都市『ベルリン-ナイトライフ』が充実している理由
ベルリンに近隣ヨーロッパの若者が集まる理由、その一つに充実したナイトライフ事情が挙げられます。ベルリンには、バーやクラブを何時に閉めなければいけないという法的な縛りがないため、木曜の夕方から月曜の朝までぶっ通しでパーティーをしているクラブもあるほど、ナイトライフにとても寛容な場所です。
どうしてベルリンがこういう街になったかと言えば、それはベルリンが辿ってきた歴史的な背景が関係しています。1989年にベルリンの壁が崩壊したとき、東側の建物には多くの廃墟が残りました。
政治的混乱の中で、当時そうした廃墟を取り締まる体制もなく、次第にそうした廃墟はレイバー達のパラダイスと化したのです。
壁崩壊同時期、ちょうど偶然にデトロイト発のインダストリアルで実験的なテクノ音楽が流行していたことも、新しい時代を迎える脱・中央政権化したベルリンの雰囲気にマッチしました。
ソフィーさんも、仕事で煮詰まったときは時々こうしたクラブに行って友達と楽しく踊ってストレスを発散するそう。音楽が好きな彼女にとって、世界的に有名なDJの質の高いパフォーマンスが身近に、安い値段で観れることはベルリンの魅力だと言います。
ベルリンはヨーロッパの中でも特殊
ソフィーさんに聞いてみたかったのは、「地元の友達や家族など、周りの人は海外でフリーランスをすることに対してどんな反応を示したのか」ということ。
日本ではフリーランスの働き方は徐々に浸透してきているとは言え、社会的にまだまだ理解が得られない場面も多くあります。これはオーストリアでも同じなのでしょうか? ソフィーさんはこう言います。
ソフィー:私が写真でやっていくと言ったときは、友達からクレイジーなの? とか言われましたよ。でもそれは悪い意味じゃなくて、私にはそんな勇気がないから尊敬する、という意味です。
うちの家族は、母親は理解してくれましたが最初父親からの理解は得られなかったです。でも、私は親を言いくるめるのが得意なので、きちんと説明したら分かってくれて今ではみんな全面的にサポートしてくれています!
そしてもう一つ、ソフィーさんの出身地であるオーストリアのフリーランス事情を聞いてみました。フォトグラファーの種類によるけれど、オーストリアに住むフォトグラファーはエージェンシーに所属している人が多い印象で、オーストリアだけで活動するというよりはロンドンやパリなど国際的に活動しているパターンが、ソフィーさんの知っている限りでは多いということ。
仕事はコネクションが何よりも大切で、フォトグラファーの仕事に関してはクラウドソーシングで受注するのはあまりオーストリアではメインではないそうです。
そんなソフィーさんは、実は現在大学生でもあります。大学に行きながらフリーランスのフォトグラファーとして自分の作品を撮ったり、生活のためにほかのフォトグラファーのアシスタントの仕事をして生計を立てています。
そんな彼女の仕事のモットーは「頼まれた仕事は全て受ける」ということ。例えその仕事が自分のテイストや好みに合わないとしても、写真関係なら何でも仕事を引き受けるそう。
フリーランスの仕事のメリットは好きな仕事を選べるということでもありますが、そのレベルに達するまではこのくらいの必死さが必要なのだと自分自身も改めて思わされた取材でした。
ソフィーさんの作品をもっと見たい方はぜひ彼女のウェブサイトをチェックしてくださいね!
■ Sophie Köchert : http://www.sophiekoechert.com