代官山蔦屋書店が推薦 ロゴデザイナー必読の書籍3選

代官山蔦屋書店が推薦 ロゴデザイナー必読の書籍3選
ロゴデザイナー必読の書籍を3点ご紹介します。ご紹介してくれるのは、流行の発信地・代官山にある『代官山蔦屋書店』でデザインコンシェルジュを務める籔田千晴さん。籔田さんにロゴデザイン初心者向け・中級者向け、上級者向けの書籍を推薦していただきました。記事中のアナタにあった書籍を読むことで、ロゴデザインスキルが1段アップすること間違いなし。
LANCER SCORE
139

ロゴデザイナーのレベル別におすすめの書籍をご紹介!

本・映画・音楽を通してライフスタイルを提案している代官山蔦谷書店。今回、代官山蔦谷書店のデザインコンシェルジュに、デザイン関連の書籍全約3,000点のなかから、3冊のおすすめ書籍を紹介してもらいます。今、何かと話題になっているロゴデザインについて、初級者から上級者まで各レベル別に”必読”と呼ばれる書籍をまとめてみました。

紹介していただくのは、籔田千晴さん。8月22日(土)に代官山蔦谷書店で開催されたトークショーの紹介記事で『THE LANCER』に登場していただいた方です。

ご自身もエディトリアルを中心としたフリーのグラフィックデザイナーとして活躍されながら代官山 蔦谷書店のデザインフロアーのコンシェルジュとして勤務されています。日々、数多くの本を管理し、目を通している書店員だからこそおすすめできる選りすぐりの3冊をご紹介します。

初心者向け:『たのしいロゴづくり 文字の形からの着想と展開』

『たのしいロゴづくり 文字の形からの着想と展開』

- 本書の概要を説明していただけますか?

まず始めに、最近ロゴデザインを始めた初心者の方へオススメするのが、『甲谷 一』著の『たのしいロゴづくり 文字の形からの着想と展開』。2012年9月に初版発行され、第5版まで発行されています。シンプルな装丁が多いロゴの書籍の中で、カラフルなデザインが目を惹く人気の1冊です。(本体1,800円 + 税)

- 本書の特徴はどのような点なのでしょうか?

本書の最大の特徴は、アートディレクターである著者の甲谷さんがロゴデザインがどのような工程を辿り、形作られていくのかを解りやすく紹介されている点。初心者の方は、ロゴ制作というととても高度な技術が必要そうで、何を手がかりに進めていったら良いのか解らない方も多いのではないでしょうか。本書ではそんな初心者に向け、体系化された基本テクニックを紹介しています。

いくつかの既存のフォントを組み合わせ、ロゴデザインに仕上げる方法も説明しております。書体見本帖も合わせて紹介されていますので、それと見比べながら完成したロゴを確認できるのもいいですね。

籔田千晴さん01

後半部分では、甲谷さんが実際に手がけられたロゴがメイキングから完成まで紹介されています。例えばNHKの「BS1」、「BSプレミアム」のロゴなど。これらがどのようなコンセプトで、どのようなテクニックを用い制作されたのか。アイデアスケッチからブラッシュアップの過程が解るようになっています。また、クライアントから「A案とB案のミックス案を出してほしい」と、デザイナーだったらよく遭遇する状況に甲谷さんがどのように対処されたのかというエピソードがコラムで紹介されていたりして、仕事のできる先輩の話を聞いているような楽しさがある本だと思います。

中級者向け:『ロゴコンストラクション世界のロゴデザインの発想から完成まで』

『ロゴ コンストラクション 世界のロゴデザインの発想から完成まで』

- 続いて、中級者向けの本書の概要を教えてください。

続いて、ロゴ制作経験のある中級者向けにご紹介するのが、『ロゴ コンストラクション 世界のロゴデザインの発想から完成まで』。スペイン・バルセロナを拠点に活動するジャーナリスト、パウラ・ジャコムッシ。(本体 3,800円 + 税)

- 本書は通常のロゴを紹介している本と、どのような点が違うのでしょうか?

本書の最大の特徴は、世界中のデザインオフィスが手掛けたロゴの制作背景が紹介されている点。ロゴをまとめた書籍では、完成されたロゴがカテゴリーごとに羅列されているケースが多いのですが、本書では60点以上のロゴの依頼背景やデザインオフィスやデザイナーの情報から制作プロセス、制作を終えて感じた課題などがそれぞれ述べられています。

籔田千晴さん02

制作するうえでのインスピレーションをどのようにして得たのか、など普段はあまり聞く事の出来ない「アイデアのもと」についても紹介されているところが興味深いです。完成したロゴだけではなく、Tシャツへのプリント、名刺、建築物の外壁など「デザインの展開」の事例も参考になりますね。

上級者向け:『MANUALS 2 DESIGN & IDENTITY GUIDELINES』

『MANUALS 2 DESIGN & IDENTITY GUIDELINES』_01

- 本書の概要を説明していただけますか?

最後に、企業のロゴ制作を手掛ける上級者向けにご紹介するのが、『MANUALS 2 DESIGN & IDENTITY GUIDELINES』。(本体 18,000円 + 税)

- とてもボリュームのある本書ですが、どのような内容が書かれているのですか?

本書では、1960年代からアメリカやヨーロッパで制作された、歴史的に有名な企業の「コーポレート・アイデンティティ・マニュアル」が紹介されています。「コーポレート・アイデンティティ・マニュアル」は、ロゴが出来上がった後にそれをどのように使用していくのか、大きな企業であればあるほどそれに携わる人は多くなってきますので、その人達にロゴを使用する上での共通したイメージを持ってもらうための様々な決まり事が掲載されているマニュアルです。

このマニュアルを作るのも、もちろんロゴデザイナーの大事な仕事の一つです。企業の指針となるロゴの意味や使い方を広く理解してもらう為に、解りやすいマニュアルを作る事は、ひとつのロゴを作る事とは違った力量が問われる作業だと思います。

『MANUALS 2 DESIGN & IDENTITY GUIDELINES』_02

本書は、あの「IBM」のロゴの展開方法を『ポール・ランド』がどのように設計したのか、『ソール・バス』が「Bell System」の力強いロゴと組み合わされる様々な文字の並びを統一感あるものにする為にどのような規定を設けたのか、当時のバインダーで綴じられた分厚い「コーポレート・アイデンティティ・マニュアル」を、実際にめくりながら眺めている様な気持ちになれる貴重な1冊です。

このように、歴史的に有名なデザイナーの「コーポレート・アイデンティティ・マニュアル」を参考にすることができる本書。これから大企業や海外企業の案件を受注しようと考えているロゴデザイナーには、非常に学びとなる1冊ではないでしょうか。

- カラフルな用紙(?)みたいなのが見えますが、これって何なんですか?

先日で終了した『メキシコフェア』で扱っていた商品の中に、本書の序文を寄稿した「ランス・ワイマン」に関わる物があったので、用意しておきました。それが、このメキシコ五輪のチケットです。

メキシコ五輪チケット

原色を基調としているカラフルなデザインで、当時の識字率の低いメキシコでも自分の席がすぐに解るようにピクトグラムと色と数字で構成されています。ランス・ワイマンが手掛けたメキシコオリンピックのロゴにリンクするような数字も楽しいですね。

メキシコ五輪チケットと籔田千晴さん

終わりに

いかがでしたか? 代官山蔦屋書店員の籔田さんにご協力いただき、ロゴデザイナー必読の書籍3点をご紹介しました。

お話の最後に籔田さんは「デザインで一番重要なことは”いかに情報を整理するか”です」とおっしゃられていました。つい感性やインスピレーションが最も重要だと思いがちなデザイン。ですが、発注主のニーズを正確に読み取り、そのなかで情報を整理し形にする力こそ最も重要なのです。

ロゴは企業の目指す方向を単純な形で解りやすく再現させる、情報の整理が究極に必要なものなのかもしれません。自分に合った書籍を選んで、ロゴデザインのスキルを高めてみてはいかがでしょうか? きっと、次の可能性が見えてくるはずです。

ロゴ関連書籍3冊とメキシコ五輪チケット

(おわり)

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