食を通し、幸せをつくる料理研究家・五十嵐豪のフリーランス独立秘話

食を通し、幸せをつくる料理研究家・五十嵐豪のフリーランス独立秘話
「食を通して大切な人との暮らしをもっと楽しく」をテーマに様々な”食”に関する取り組みを行なっている料理研究家・五十嵐豪さん。彼は大学在学中にフードコーディネーターの資格を取得し、就職することなく、料理研究家としてフリーランス活動を開始。何も実績のないフリーランス成り立ての彼はどのようにして仕事を獲得し、ステップアップしていったのでしょうか。今や雑誌の掲載やTV出演など、幅広い活躍を見せる彼の独立時の秘話に迫ります。
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大切な人との暮らしを、楽しく過ごす人を増やしたい。

「冷蔵庫に〇〇しかない」という時でも簡単な1品レシピができる「しかない料理」。カロリーを減らす代わりに、旨味や香りをプラスし五感を満足させながら痩せることのできる「大盛りダイエット」など独自の料理メニューを考案し、注目を集める料理研究家・五十嵐豪さん。

五十嵐さんは大学在学中にフードコーディネーターの専門学校に通い、企業への就職を経ずに料理研究家として独立。フリーランスとして活動を開始しました。

学生時代の出来事がきっかけで料理研究家としてフリーとなる道を選んだ五十嵐さん。ただ、独立当初はスキルも実績も何もない大学生でした。

彼はいかにして仕事を獲得し、現在のように活躍の場を広げていったのでしょうか? 独立にいたった経緯と、独立当初の秘話をお伺いしました。

最初のきっかけは小学生の頃に出会った進研ゼミの付録でした。

五十嵐さん1

- 大学在学中にフリーランスの料理研究家となった五十嵐さんですが、いつからこの道を目指そうと考え始めたのですか?

今、思い返せばきっかけは小学校のときに出会った”進研ゼミの付録”でした。毎月送られてくる答案は嫌いでしたが、中に入っている付録はいつも楽しみにしていました。

ある月の付録に、環境問題が取り上げられていたんです。「人間はこれだけゴミを出している」とか「蛇口の水は有限なんだよ」っていう内容が、イラスト付きで説明されていました。こんな世界もあるんだと驚いたのを覚えています。

この出会いを機に、普段の何気ない生活でも水の使用量を考えたりと、自分の外に広がる社会のことを意識して生活するようになりました。自分も将来、社会に貢献し、影響を与えることのできる人間になりたい。進研ゼミの付録との出会いが、自分の将来像を描く大きなきっかけとなりました。

偶然、目にした料理番組。栗原はるみさんと出会い料理研究家を目指し始めた。

グラタン

- 進研ゼミの付録がきっかけとのことですが、すぐに料理研究家の道を歩んだわけではありませんね。では、実際に料理研究家の夢を描くようになったのはいつからですか?

20歳ごろ「自分が本当にやりたいことをやる」という行動基準を持っていました。自分のやりたいこと、実現したいことを全部やってやろうと思ったんです。そのため、公認会計士の資格取得に向けた勉強や、スターバックスでのアルバイトなど様々なことにチャレンジしました。

ある日、たまたまTVで料理研究家の栗原はるみさんを目にしたんです。見た瞬間、それまで知らなかった「料理研究家」という仕事に釘付けになりました。料理研究家という仕事に興味をもった直後にインターネットで料理研究家のことを検索。どうやら”フードコーディネーターの資格”が必要であることを知りました。

「やりたいことは全部やる」。沸々と料理研究家になりたいという想いが湧き上がってきた私は、明確な夢として料理研究家を目指すことを決めました。

20通のメールを送るも効果なし。それでも前のめりに進んだ独立時の自分。

五十嵐夫妻

- 独立当初は実績もスキルもない大学生だったはずです。まず初めにどのような活動を行なったのですか?

フードコーディネーターの資格を取得した後は、一度だけ就職活動を行ないました。でも、進研ゼミとの出会いから抱いていた「社会貢献できる仕事」は、企業ではできないと実感。ならば独立して夢を追いかけようと思い、フリーランスの料理研究家として活動を開始しました。

独立当初の所持金は約4万円。ツテもコネもない状態でした。そこで私が行なったのは、出版会社に「仕事をください」とメールを送ること。合計で20通ほど送りました。でも、ほとんどの会社は撃沈。面談が許されたわずかな会社も、会って5分ほどしか話は聞いてくれませんでした。

一旦、作戦を立て直そうと考えなおした後に、偶然の出会いがありました。今まではいつも自転車で通っていた道を、歩いていた時のことです。自転車の時は気づかなかった雑貨屋を発見したんです。

店に入って店員さんに話を聞いてみると、今後カフェのように料理も出していきたいとのこと。「これはチャンス」と思い「0円でいいので、食事メニューのチラシを作らせてください」と頼みこみました。あまり手ごたえはなかったのですが、「0円ならいいよ」と店員さんは戸惑いながら承諾。お給料をいただくことはありませんでしたが、料理研究家として初めての仕事を行なうことができました。

アイドル撮影会の仕事をきかっけに仕事が増えていった!?

スープ

- では、”タダ”ではなく”報酬”をもらえる仕事にはどのように繋がっていったのですか?

当時はSNSのmixiが全盛期だったころ。世間を何も知らなかった当時、社会人の仕事は「異業種交流会」なるもので生まれていると思っていました。そこでよく分からないながらも、仕事の種を見つけるために参加してみたんです。

会場入り口で並んでいると、たまたま後列に並んでいた男性と仲良くなりました。男性は今でいうアキバ系アイドルのプロダクションをしていて、後日ランチに行くことになりました。社会人の人とランチって実は生涯初体験です。一緒に仕事をしようと意気投合して、萌えアイドルと料理をコラボさせた企画で、DMMの流通で動画コンテンツをつくることになりました。

男性に連れられ撮影場所に移り、プロデューサーの男性、途中から加わったカメラマンの男性、そして料理担当の私で動画制作を行ないました。0から動画制作を行なう経験は、フリーランス成り立ての当時の私にとって貴重な体験でした。ただ、残念ながらアイドルの動画は販売されずに終わりました。いわゆるお蔵入りです。

お蔵入りにはなりましたが、フリーランスとして1人で仕事に出会い、実際に仕事をやりきる経験を与えてくださったことを非常に感謝しています。

五十嵐2

- 五十嵐さん自身が食を通して今後実現していきたいことは何ですか?

現在の弊社の理念は「大切な人との暮らしをもっと楽しく」。これは社員全員で意見を出し合い、生み出しました。私たちは、幸せのために特別お金をかける必要はないと思うんです。

何気ない日常の中で大切な人と幸せを感じる瞬間が増えていけばいい。これからも私自身が生活の中で感じることができた「楽しめる出来事や楽しめる観点」を多くの人に伝えて生きたい。

「食」は我々にとって非常に大きな存在ですから、弊社の理念を明確に発信し、作りたい世界を実現したいと思います。

(おわり)

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