総額10万円のロゴコンペを開催してみた|ロゴデザインのコンペに勝つヒント1

総額10万円のロゴコンペを開催してみた|ロゴデザインのコンペに勝つヒント1
『THE LANCER』ロゴコンペの開催から選考、納品までの一部始終を公開します。どうしてロゴコンペを開催したのか、どんな提案があって、どのような基準で決めたのか。発注者はこうやってデザインを選ぶ、という参考になれば幸いです。
LANCER SCORE
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ロゴコンペの選ばれ方を知ることで、勝ち方のヒントを

いまご覧いただいている、『THE LANCER』というメディアのシンボルともなるロゴ。実はこちらは、ランサーさんに作成していただいたんです。ロゴデザインのコンペを開催し、多くの提案をいただきました。想定以上に多数のアイデアが集まり、嬉しい悲鳴をあげながら(正直、大変でした)採用するロゴデザインを決定しています。

発注者がどのような方法・視点で採用アイデアを決めるのか。あくまで『THE LANCER』編集部のケースになりますが、ひとつの事例としてご紹介します。発注側、選定者の思考を知ることで、これからの提案に活かせるヒントが見つかるかもしれません。

※本企画は前編と後編に分かれており、こちらの前編では「コンペ開催〜開催期間中」のレポートとなります。

ロゴのデザインがないです、僕たちつくれません。

2015年5月初旬。メディア立ち上げまで2ヶ月を切ったある日、『THE LANCER』編集部は重大な過ちに気がついてしまいました。

「ロゴがない。デザイナーのリソースを確保できてない」。

どんなメディアにするか、メディアの名前をどうするかが決まり、サイト構築へ向けてのミーティングを行なっているときのことでした。

編集部のひとりが、ロゴが決まっていないことに気がついた、というか考えていなかったことに気がついたのです。全員が顔を見合わせて、「ん?」「おれ?」「オマエでしょ?」と一様に責任転嫁を始める微妙な空気。

なんともお粗末な、メディアの存続(まだ存在していなかったけど)が危ぶまれる瞬間でした。

ロゴデザインのコンペで、ランサーさんから集めよう。

不穏な空気が漂い始めたそのとき、口を開いた切れ者編集長。

「ランサーさんとつくるメデイアなんだから、ロゴだってランサーさんにお願いするでしょ」

なんということでしょう。場の雰囲気が一瞬にして変わりました。

誰もが「最初からそのつもりでしたよねぇ」という白々しい表情に。この 変り身の早さ 柔軟な思考と対応こそが、『THE LANCER』編集部の強みです。何はともあれ、ロゴデザインをランサーの皆さんに考えていただくことが決定しました。

自分たちの想いに共感してくれるランサーさんから、オリジナリティ溢れるデザインを提案してもらおう!ということで、コンペ形式でロゴのアイデアを募集することに。

素敵なロゴデザインを集めるために、仕様書をつくろう。

ロゴコンペの開催を決断したのは良かったのですが、また問題が発生しました。実は編集部の誰一人として、ロゴコンペを開催したことがなかったのです。運営者として、ランサーさんが提案しにくい変な依頼はできない。プレッシャーです。

早速、「ランサーズ」で募集されているロゴコンペの情報を改めてチェック。数十件を見渡して、どんな依頼をしていると多くの提案が集まっているのかを調べます。今までに、ここまでロゴコンペの募集ページを熟読したことがあったでしょうか。

多くの依頼ページを見ることで、少しずつ依頼文章に書くべき内容が分かってきた…ような気がします。早速、『THE LANCER』というメディアに込めた想いをロゴにしてもらうために、きちんと要件定義をして、オリエンシートを作成することになりました。

「メディアの概要をシンプルに伝えよう」「メディアのターゲットについても伝えよう」「ロゴ仕様については別紙で細かく指定しよう」

続いて検討したのが、報酬額をいくらに設定するのか。良いものをつくっていただくためにも、少しは無理をする必要があるでしょう。コンペ案件の依頼相場もチェックしました。

「話題性も考慮して、100万でどうでしょうかね」

突拍子もない提案がなされました。確かに面白いです。編集長権限で承認しようかと思ったところ、マーケティング担当者から一言。

「ロゴに出せる予算って決まってましたよね?」

良い質問です。そうなのでした。まだ世の中に出ていないメディアをつくろうとする貧乏編集部です。限られた予算の中で運用する必要がありました。

同席してもらった役員に恐る恐る上限を聞いてみると……「10万円」との回答。桁がひとつ減ってしまいました。それでもコンペの相場と比較すると、高めの報酬額。本当でしたら「ロゴひとつで100万円!」というニュース性ある募集をしたかったのですが、仕方ありません。

その代わり、予算内で当選報酬と参加報酬を上手に割り振り、少額かもしれませんが、一人でも多くのランサーさんに報酬を支払えるようにしました。

当選報酬:86,400円×1案、参加報酬:2,160円×10案

依頼用の文章、報酬額が決まり、募集期間については1週間でコンペを開始することになりました。果たしてどれくらいのランサーさんが提案してくださるのか。編集部の数名で提案数を予想してみましたが、どれも大きくハズレる結果になるとは……。

コンペ期間が半分経過したとき、提案数に驚きを隠せなかった。

ロゴコンペの選び方

2015年5月12日18時36分、『THE LANCER』ロゴデザインの募集をスタート。2日目までに30件以上の提案をいただくことができ、ランサーさんのスピード感に驚かされました。短期間で作成したとは思えない「これがプロのデザイナーなのか!?」と感じられるクオリティ。

コンペ期間が半分過ぎたところで、総提案数の100件超えが見えてきました。それでも、まだ2日以上の期間が残っています。果たして、何件の提案をいただけることになるのか。提案が寄せられるごとに喜んでいた編集部。

この時点でも、まだ分かっていなかったんです。多くの提案の中からひとつだけの採用案を選ぶ難しさを。あんなにも、編集部の意見が分かれることになろうとは…。

2015年5月19日18時36分、『THE LANCER』ロゴデザインの募集期間が終了しました。応募総数は393件。393件!?そうです。400個近くのロゴデザインを提案してもらえたのです。

再び集合した編集部のミーティングで、誰からともなくこぼれた一言。「わー、400件か。どうやって選ぼう……」。

予定では、締め切り当日に全員で提案内容を見て、「これがいいね!これ採用しよう」「そうだね。このロゴ、すっごく良いよ」「そうしよう、そうしよう!」と満場一致で決定するハズでした。愚かです。あまりに愚かでした。数日前の自分に出会えるのであれば、きちんと説教したい。ランサーズのコンペを舐めるな!と言ってやりたい。

さて。いったいどのようにして、393件もの提案の中から採用するロゴデザインを選んだのか。選考会の様子は、後編にてご紹介させていただきます。

コンペを開催してみると、大きな気づきがたくさんありました。期間中にランサーさんからたくさんの質問をいただけるのです。募集ページへのコメントだけではなく、むしろ直接メッセージで質問をいただくことが多くありました。ランサーさんが疑問に思うことを初めから提示できず、まだまだ勉強不足なことを実感した出来事です。

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