独立前から始まっている?フリーランスの営業術!(後編)

独立前から始まっている?フリーランスの営業術!(後編)
フリーランスに憧れても、なかなか独立に踏み出せない理由の一つに"仕事が不安定"ということがあげられます。今回ブロガーとして、フリーランスについてのエントリで注目を集めるwebデザイナーのたけ氏に2回に分けて寄稿して頂きました。
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どうも、LUNA SEAの13年5カ月ぶりのアルバム『A WILL』が傑作過ぎて打ち震えているたけ(@take_it02)でございます。
終幕(解散)から復活、そして40歳を越えても復活前より素晴らしい作品を届けてくれるというのは、計り知れない努力と修練の賜物でしょう。僕も40越えてもいい仕事をしたいものです。

 

さて、前回の続きを。

自分のスキルとマッチした決裁者を見つける!

 

「フリーランス」というと、社員時代もバリバリ働いていて、社内でも一、二位の実力者!というイメージがあるかもしれません。が、当然ながら実力はピンからキリまであります。僕だって「デザインなら誰にも負けないですよ?^^」なんて口が裂けても言えません(あ、でもWordPressはわりとがんばってますよ!!)。

 

逆に、お客さんのニーズも予算もピンからキリまであります。同じラーメンでも、カップラーメンで満足する人もいれば、500円のラーメンで充分な人もいますし、二郎じゃないと食べた気がしないという人もいます。お客さんのニーズに優劣はなく、相手に合ったものを提供できれば、それで仕事になるのです。

 

よく独立すると「技術力より営業力だ」といいますが、僕は営業力よりマーケティング能力だと思っています。ここでいうマーケティング能力というのは、自分の腕や価格に合った相手を見つける能力です。

 

前回、最後に書いた目黒雅叙園のパーティーとアマチュアバンドの新年会ですが、僕の場合は後者の方が仕事に繋がりましたが、人によっては前者の方が仕事に繋げやすいかもしれません。大きな仕事ならお任せください!業界で実力一番です!じゃなくていいのです。自分の身の丈に合ったお客さんに、自分の得意な武器で挑めば仕事になります。

 

ポイントは、「決裁者」に直接働きかけるという点です。単純に社長と直と話をするというのも大事ですが「この人がGOといえば、実際に仕事が動く人」を見極める必要があります。以前お世話になった営業会社の社長さんは、営業のコツをそう仰っていました。

持ってない人にはそれが武器になる。フォーカスすればより強くなる。

 

「デザインはそこまで自信がないけど、WordPressはわりとがんばってますよ!!」とPRしたのは、ただの宣伝ではありません! 断じて!! 上を見れば当然キリがありませんし、特にクリエイティブな分野ではNo1なんてなくて、単純にお客さんの好みで決まる部分もあります。じゃあ、どうやって選んでもらうか。

 

バンドの新年会では「HPが作れる」という武器でご発注頂けました。でもweb業界の集まりの中では、HPが作れるのは大前提すぎて誰にも刺さりません。でも「WordPressをがんばっている」というフォーカスを絞ることで、差別化が可能です。

 

カメラマンならブツ撮りが得意とか、笑顔を撮るのが上手いとか、ライターなら恋愛ネタならけっこう書いてますよとか、ちょっとしたPRポイントがあると思います。自分にとって当たり前のことでも、相手からすると新鮮だったり、充分な魅力になりえます。「力を入れていきたい」という希望でもいいんです。それが相手にはフックとなって、その仕事が回ってくる=より技術を磨くチャンスになるという、好循環を生み出せます。

 

では、いろんな所に顔を出して決裁権のある人をおさえる、フォーカスした武器をPRする、でも他にもライバルがいる中で、選ばれる極意とは。

頼みやすさこそがフリーランスの最大の営業力?

 

以前プロバイダーで働いている大学時代の先輩と飲んだ時にあれこれ伺ったのですが、企業側からすると外注先は技術もですが、人柄が大事だと仰っていました。一流のスキルがあっても気むずかしい人よりは、最低限のクオリティは保ちつつ、仕事をしやすい相手の方が長いお付き合いになるそうです。
発注の時点では「仕事のしやすさ」はわからないので、頼みやすさでしょうか。

 

特に長くやっていくのであれば、年上はもちろん、年下の人からもお願いしやすい人であるというのは、重要になってきます。年をとっていくとそれなりの地位になってしまい、ギャラもあがって依頼しづらくなるというのは、どんな業界でもけっこう聞きます。

 

年の上下はあまり気にしてもしょうがないとは思うのですが、実際発注する側になると、年上の方にはなんだか申し訳なくて少々お願いしづらい部分が正直あります。もちろん信頼関係があれば、堂々とお願いできますが、信頼関係=頼みやすさ、頼みやすさ=仲の良さでもあります。

自然体で、自分が楽な営業スタイルを見つける

 

ここまで書いてきて、なんだか自分が凄いコミュ力高くてリア充に見える気がしてきましたが、基本的に一人でいるのが好きなタイプで、実は口を開くのさえ面倒なタイプですし、そもそも話したいことなんてないし、女性とデートするなら映画か美術館という地味な方です。飲み会が好きなくせに、はじっこのほーにいて、話しかけられるのを待ってるタイプです。

 

そこで話しかけられやすくするちょっとした工夫を心がけています。冒頭の挨拶でLUNA SEAが云々言い出したのも、それです。先に自己開示をしてしまえば「たけさん、ランサーズの記事読みました。LUNA SEAお好きなんですねー!」と相手が話しかけやすくなりますし、LUNA SEA好きな人からはより覚えてもらえやすくなります。
僕は自分の事務所のHPには趣味や細かいプロフィールを掲載しているのですが、打ち合わせに行くと、お客様から好意的な反応を頂くことがあります。趣味や出身地など共通点があれば、親近感が湧いてお互い話しやすいですしね。

 

「僕は○○が得意です!何かあったら仕事ください!」とガンガン営業をかけても、自分も相手も疲れるだけです。
飲み会とかはもちろんですが、僕は仕事自体も楽しみたいと考えています。替わりの効く「外注業者」ではなく、肩の力をぬいて冗談も交えながら仕事のできる「パートナー」になった方が、お互い気持ちよく仕事ができるかと思います。
うまく「自分はこういう人間です」というのをスキル的な面はもちろん、人柄も含めてさらけ出して行ければ、相手が選びやすくなります。僕の場合は、そういったスタイルになっていきました。

 

もちろんこのスタイルで逆に仕事を逃している可能性もあります。ですが、あまり意識しないでも継続的にできる自分にあった営業スタイルを構築した方が、息切れせずに「営業」を続けていけます。それがフリーランスならではの楽しみだと思います。

自分自身がタネになる。

 

「お客さんを見つける」というよりは、「お客さんに見つけてもらう」。飲み会でお客さんを開拓する・人脈を作るというより、お客さんの人脈になっているかが、仕事に繋がるか否かだと思います。あちこち顔を出すのは人脈を作るためではなく、自分が相手の人脈=いざという時に頼れる相手になるためです。
そう、農耕型営業は刈り取るのではなく、自分自身が実となって刈り取られるやり方と言えるかもしれません。

 

もちろん、この農耕型営業は時間がかかりますし、「来月はこの人から仕事がもらえそうだな」といった予測がつかないのが難点ではあります。
そこはランサーズで仕事を獲ってくるなど、狩猟型と組み合わせれば、攻守そろってより安定したフリーランス稼業に繋がるのではないでしょうか。

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